ボードゲームのメカニクス

 突然ですがみなさん、ボードゲームやってますか。

 トランプでもウノでもジェンガでもオセロでも、何かひとつくらいプレイしたことはありますか?
 巷に溢れるボードゲーム。ボードゲームの数だけ、そこには『ルール』や『システム』が存在します。そして、ゲームの構造を紐解いていくと、別のゲーム同士でも、共通点が見えてくるんですよ。ボードゲームを構築する要素。これをメカニクスと言います。この記事はそんな話。


メカニクスってなんだ?


 『ボードゲームのメカニクス』とは、そのゲームを構築するシステム、ルール、制約、ゲームの流れなどを指します。ボードゲームは複数のメカニクスが組み合わされて成り立っています。
 簡単な例で説明しましょう。みなさんはババ抜きをプレイしたことはありますか?ありますよね? ババ抜きには以下のメカニクスが存在します。

・シングルルーザーゲーム / ゲームの勝敗に関して
  →複数人でゲームを行い、最終的に『一人の敗者』を決める。
・固定ターンオーダー / ゲームの進行・プレイする順番
  →時計回りで順番にプレイする。途中で順番は変わらない。(勝ち抜けによる人数の減少はあり)
・カードプレイ / 自身のターンに行う行動・解決に関して
  →隣プレイヤーの手札から、カードを一枚引く。『同じ数字のカードが2枚揃う』という条件を達成したら、カードをプレイ(ペアを手札から捨てる事)が出来る。
・プレイヤーエリミネーション / ゲーム終了の条件
  →プレイヤーの排除(ババ抜きでは勝ち抜け)が繰り返され、最後に一人が残った時点でゲームが終了する。

 上記のようなメカニクスが組み合わさり、『ババ抜き』というゲームを構築しています。
 さらに言えば、多くのトランプゲームには、ランダムネス(無作為性)のためにカードのシャッフルが行われ、スート(スペードやダイヤなど)を用いた振り分けなどが存在します。
 このボードゲームと、あのボードゲームは似ているなと感じた方。紐解いてみれば、同じメカニクスが使われているかも知れませんよ。


メカニクスがもたらす効果


 メカニクスを理解する事で得られる利点は、「新しいボードゲームのルールを理解しやすい」だと思います。実際に、様々なゲームをプレイしているボードゲームプレイヤーは、ルールの飲み込みが早いものです。これは、単に頭の回転が速いのではなく、「同じメカニクス」が使用されているゲームをプレイした経験があるためです。
 ・ドンジャラをプレイした事がある人は、麻雀のルールも理解しやすい。
 ・将棋をプレイした事がある人は、チェスを初めてプレイしても困惑しないだろう。
 ・原付に乗り慣れている人は、全く乗らない人よりも車の運転を覚えるのが早いかもしれない。
 「メカニクスの理解」と書いてしまうと小難しい話に聞こえてしまうかもしれませんが、なんてことはありません。ボードゲームに限った話ではなく、誰だって日常生活の中で、経験を基に考え行動しているものですよ。

 ボードゲームにおいて、メカニクスの理解が役に立ったと実感したケースを話しましょう。
 みなさんは、「ハーツ」というトランプゲームを知っていますか?昔のWindowsでは、ソリティアやピンボール、フリーセル等と一緒にデフォルトで収録されていたゲームなので、名前だけ見た事ある人が多いのではないでしょうか。
 ハーツは、「トリックテイキング」と呼ばれるジャンルのゲームです。トリックテイキングの原則は、

可能であればリードスートをフォローし、同じスートの中で一番高い数字を出したプレイヤーが、トリックを獲得する。獲得プレイヤーは、次のラウンドでリードプレイヤーとなる。

と言った内容になります。……理解出来ましたか?
 私が最初にトリックテイキングをプレイした時に、サマリー(説明書)を読みながら、困惑しました。用語が何一つ理解出来ません。
 一つずつ紐解いていきましょう。

・リードプレイヤー
  →そのラウンドにおける親(最初に手札を出すプレイヤー)の事。
 ・リードスート
  →親が出したカードのスート(絵柄・スペードやハートのこと)
・リードスートのフォロー
  →自身の手札に、親が出したスート(絵柄)と同じスートがある場合、そのカードを絶対に出さなければならない。同じスートが一枚も無い場合に限って、別のスートを出すことが許される。
・トリックの獲得
  →リードスートを出せたプレイヤーの中で、一番高い数字を出した人が、場に出ているカードを獲得出来ます。これは手札には入らず、一まとめにして、自身の手元に置いておきます。
 ・次のラウンド
  →上記の流れで、全員がカードを一枚出してトリックの獲得を終えたら、次のゲームに移ります。流れは先ほどのゲームと同じです。トリックテイキングは、小さなラウンドを繰り返して進んでいくゲームです。

 「ハーツ」では、トリックで獲得したカードによって諸々あるんですけど割愛。
 トリックテイキングゲームは、このようなルールになっています。もちろん、ゲームによっては微妙に差異があったりしますが、コレを基準に考えたうえで改変されています。
 つまり、ハーツをプレイした事があり、トリックテイキングのメカニクスを理解しているプレイヤーは、別のトリックテイキングゲームを初めてプレイする際にもリードスートやフォローの概念を既に覚えているため、他の要素のみを理解すればゲームがプレイ出来るのです。メカニクスってすごい。
 ちなみに私は、「妖怪セプテット」というボードゲームでトリックテイキングを覚えた後に、ハーツをプレイしました。子供のころにプレイした時は全くルール理解をできなかったのですが、この時は割とすんなり理解出来ました。


ゲームインストにメカニクスを活用しよう


 ボードゲームのルール説明をインストと言います。これは、今回の記事とは関係ないので覚えなくてもいいですよ。ボドゲ豆知識。
 さて、あなたがプレイしたゲームを、別の友人とプレイしたいと思った時はどうしますか?そのボドゲの経験者はアナタだけ。何も知らない友人たちに、アナタがルールの説明を行うでしょう。どうやったら伝わりやすいのか?困ったときのメカニクス

 他人に何かを説明する時、分かりやすい例え話を盛り込める方は、説明上手です。ここでポイントとなるのは、分かりやすいと言うこと。Aさんに伝わっても、Bさんに伝わらなければ意味がないのです。相手に合わせて適切な例えを引き出せる人間こそが、説明上手なのです。ルール説明に限った話ではないですよ。
 インストを行う相手が、一緒にボードゲームをプレイした事がある人ならば、以前プレイしたボードゲームと今回プレイするボードゲームで、共通するメカニクスを見つけましょう。そのボードゲームの名前、システムを思い出させることで、相手は理解が進みます。
 もしくは、かなり有名なゲームから引用するのもひとつの手です。一般的に、ババ抜き、神経衰弱、オセロ、七並べ、UNO、大富豪、将棋、人生ゲーム、麻雀など、これらのゲームは相手がルールを理解している事が多いため、利用しやすいです。
 しかし、これらは共通のメカニクスが存在している時にしか使えません。アナタ自身も相手も、あまりボードゲームをプレイしていない場合は、難しいかも知れませんね。ものによっては、ボードゲーム以外でも例えやすいゲームがあったりします。捻りだせ!がんばれ!
 これは今回のメカニクス話とは逸れてしまいますが、実際にカードやコマを動かしながら説明すると、言葉だけで伝えるよりも理解しやすいですよ。


最後に


 メカニクスに関して、少しでも理解出来たでしょうか。すべてのメカニクスを説明しようとしたら膨大な量がありますし、そもそも私自身も把握してません。
 この記事を読み終えたアナタが、「このボードゲームが好きだな」「このシステムは面白いな」と感じた時に、メカニクスを読み解いてみる事で、同じメカニクスを利用したゲームを探しやすくなると思います。
 今度ボードゲームをプレイする機会があったら、どのようなメカニクスが使われているのか考えてみてくださいね。
 それでは、良きボードゲームライフを!



いいなと思ったら応援しよう!