スパゲッティ。

子供の頃。
この食べ物は『スパゲッティ』だった。

わざわざ話すようなことでもないけれど。

で、『スパゲッティ』はいつの頃からか”わたし”にパスタと呼ばれるようになり、そのうち太さによって名前が変わるのかもしれないと思われるようになり、ニンニクを炒めたりベーコンを炒めたりしたものと合わされで製作されるようになった。

わりと簡単にできるじゃん。パスタ。

極めようとしなければある程度の欲求を満たすものはつくれるのだ。

ボンゴレだアラビアータだカルボナーラだなんだかんだと名前があるのは知ってるがアサリのやつ、トマトのやつ、たまごのやつ、という呼び方で家庭内ではことが足りる。
書いててそこまで大雑把でもないかとも思うけど…。

で、休日の昨日の昼。
ドラマ『グランメゾン★東京』を見ながら写真のパスタを食べいた。

テレビの中の料理はそりゃもう素材から包丁さばきからとにかくひと皿へのこだわりが半端なくキラキラしている。
すごいなあ気合いがちがうなあ、高いんだろうなぁ、難しい名前だなあ、すっごく美味しいにちがいない。

が、自分が食べているものもまずくはない。
なにせ某有名メーカーのレトルトソースだ。
もちろん美味しいのだよ。

素材が新鮮で技法も驚きで器具も驚くほど高額で見映えはすばらしい。
世界中のセレブがうなるような作品はそれは本当に素晴らしいのだろう。
賞賛されるものだろう。

でもドラマの中で食べていたおにぎりにいちばん心惹かれた。
厨房じゃなくお台所で作られたおにぎり。
キラキラなんてしてない。
ふつうのおにぎり。
でもいちばん美味しそうで、食べたかった。

映えなくてもカッコいい名前なんてついていなくてもじんわりと好きって思われるような写真にしあげたいなあと『スパゲッティ』を食べながら思った。

スパゲッティ。

パセリと食べるラー油みないなやつをのせてみた。
タバスコがみあたらなかったから。