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ボーイズステイト

2月か3月に、Apple TV限定で公開されているアメリカのドキュメンタリー映画がAcross The Skyで紹介されていた。

“ボーイズ・ステイト”とは、米国在郷軍人会が主催するイベントのこと。参加するのは、テキサス州全土から集まった1100人以上の男子高校生。生徒たちは連邦党と国民党に分けられ「知事を選ぶ」という模擬選挙を体験していく。劇中では、弁が立つ黒人・レネ、腕と足に障害を抱えるベン、お調子者の白人・ロバート、メキシコ移民の親を持つスマートなスティーブンらを中心にストーリーが展開。

出典:映画.com

高校生が政治を学ぶための実在するイベントなんだけど、この模擬選挙が本物さながらの展開をしているのだろう、1100人以上の少年が無作為に2党に振り分けられて争う選挙”戦”が生々しく映されていた。

出演した高校生から様々な感想が出てきたが、概ね「ゲーム(戦い)」だというものと「誠実なリーダー」というものの二手に分かれ、各党の戦術の違いに現れた。きっと、そういう展開を期待して少年たちを振り分けたのではなく、自然発生的に発生した戦術の差なのだと思う。

勝つためならば手段を問わない。勝つことが最優先。有権者の心を掴むための試行錯誤は、候補者の政治信条と演説に乖離を生じさせる。

政治家は嘘ばかり。世界中どこでも言われていること。そうなる構造を見たように思える。選挙演説で、本心ではなく、有権者に受けの良い言葉でプロモーションする。勝つために。そして当選したら本性を発揮する。有権者にとっては騙された感が否めない。

記憶が曖昧だけど、確か旧ソ連でゴルバチョフが政権トップとして改革を推進したときも、本性を発揮できる場が得られるまで猫をかぶっていた、と思う。政治家として大きなことを成し遂げたいなら、それまで猫をかぶるのは仕方がない戦略なのか?有権者としてはやるせないね。

具体的な政策を示す政治家を選んで市民が託しても、当選後に騙されるなら、期待しないで市民が主体的に公益に努める、なんてことが仕組みとして出来ている国がどこかにあれば、ぜひ視察しに行きたいな。

さて、映画に戻る。みんな素直な表情で自分らしさを表現していたから、人間模様が鮮やかに見えて面白い映画だった。日本ではそうもいかないだろうな。みんな良いキャラクターだけど、特にレネとスティーブンは良かった。

多くの人に観てほしい映画だった。


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