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「機織り」と「唆すこと」の関係
「唆す」は「そそのかす」と読みます。
「唆」という漢字は中学生で習いますが、その意味はこうです。
①「そそのかす」、「けしかける」(例:教唆、示唆)
ア:「その気になるように仕向ける。特に、おだてて(気持ちよくさせて)
悪いほうへ誘い入れる」
イ:「早くそうするように勧める(誘いかける)」
あまり感じ良くない漢字ですね(ダジャレではない)。
なのに、なんでここで取り上げたかと言うと、その漢字の由来に僕の仕事に関係する「織り」が含まれていて、それを不思議に感じたからです。
会意兼形声文字です(口+梭の省略形)。「口」の象形と「木の象形(省略)と頭のひいでた人の象形と下向きの足の象形」(「左右にひんぱんに往復する織布の工具」の意味)から、人の心を不安にさせて「けしかける」を意味する「唆」という漢字が成り立ちました。
んー、ちょっとわかりにくいので、もう少し調べました。
「教唆」の漢字を分析して、言葉の意味をより深く理解してみましょう。まず「教」という漢字ですが、左側の部分は「教えるものと習うもののまじわり」を表しています。そのためこの漢字は「教える」「習う」という状況を示す意味を持つようになったのです。次に「唆」を見てみましょう。「す」を送り仮名をふれば「そそのかす」と読むこともできます。この漢字は体の一部である「口(くち)」と「梭(ひ)」がセットになってできた漢字です。「梭」とは織物の工具の一つで、左右を頻繁に往復させて使われるのが特徴でした。そんな左右に動き回る様子から、「心が不安な状態」を表すようになります。「口」と「梭」がセットになることで、「人の心を不安にさせるようにけしかける」という意味の「唆」が生まれたのです。そんな成り立ちを持つ二つの漢字が、この「教唆」という熟語を作り出しています。
梭(ひ)は「杼」と書かれる機織り道具。下の写真のような形でシャトルとも呼ばれます。これを左右に振って横糸を織り成していきます。
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で… 左へ右へシャトルを振るように、人の心を左へ右へ振り回して不安にさせるのが「唆す」だと!?
先の説明では「唆」の”つくり”の上部分は頭の秀でた人の象形とされてます。頭の良い人が他人を言葉で振り回す…ソシオパス?最低~。
コクトーの名著「恐るべき子供たち」に登場する姉エリザベートが、弟ポールと同居人アガートを唆していたことを思い出しました。
人を言葉で振り回すなんてNo Wayだ!
うちは織りを障害者に提供しても、シャトルのように障害者の心を揺さぶりませんからご安心を!(笑)