社会の変え方について
クローズアップ現代+のジェンダー教育に関する記事が、いま思っていることに通じると思いました。社会の変え方について思っていたのです。どうして通じると思ったのか、それについて考えをまとめたいと思います。
「社会を変えたいなら、自分がその変化になれ」みたいなこと(原文は違う)をガンジーさんが言っていたと。それはたしかにそうだと思うのは、道徳はみんなで作る、というか無意識に作っているから。みんなの感覚(センス)が社会の不文律を作っている、そのみんなには自分も含まれている。だから社会を変えたいなら、自分が真っ先に変わらないと始まらない。たしかにそうだ。
そして自分の意識は、意図的に学んで吸収したものが多いかと思いきや、置かれた環境、それは家庭環境、家族構成、学校や職場の環境、友人関係、地方や国の文化、そして時代に大きく影響されて、無意識的に形成されている。自分の意識を変えるには、自分のたどった道を批判的に観察する作業。社会を変えるためとはいえ辛い作業。だから、すすんで意識改革に勤しむひとは少ない。誰かが社会を変えてくれるのを待つようになる。
自分と全く同じ道をたどった人など誰ひとりいない。だからひとりひとり異なる感覚を持っていて当たり前。社会の風潮は、その最大公約数。似たものが集まるほど暗示的な規則(コンテキスト)が多くなり、異なるものが集まるほど明示するのが礼儀となる。後者は面倒だけど不安は少ない。前者は気楽だけど息苦しくなる。その息苦しい風潮に自分が加担しているとは思いたくない。他人のせいにして気を休めたくなる。
自分の意識に目を向けるためにエンパシー(共感・感情移入)は効果的。相手の立場に立ったとき自分はどう思うか。エンパシーをブレイディみかこさんは著書で(息子さんが)「他者の靴を履く」と表現していた。その人が置かれた環境に仮想的に自分を置くことで、相手の意識を思いを馳せつつ、自分の意識が浮き彫りになる。意識の元となる自分の歴史に冷静に向き合って、自分の意識が環境の影響によるものだと理解できれば、自分自身を否定することなく、意識変化に舵を切るきっかけを得られる。
ここ数十年、家庭から独り立ちする年齢が高まっているが、そこに少し心配している。なぜなら家庭から離れて初めて学ぶ文化は沢山あるから、独り立ちが早いほど、自分の意識に固執せずに、異なる考えを柔軟に吸収できると思うから。個人のライフスタイルが多様になり、多様な人々が交流しやすくなった現代では、異なる考えに触れる機会が多く、その都度「自分が否定された」と癇に障っては、社会が穏やかではなくなる。
コロナのせいでどんどん交流人口が減っている。各々が持つ感覚を大事にしつつ、異なる考えを尊重するには「他人の靴を履く」ような想像力が、今まで以上に大事になるでしょう。そうして自分の歴史や過去の風潮の呪縛を解いて、自分の感覚をアップデートすることができれば、社会は穏やかに、道徳が成熟していくと思うのです。
ブレイディみかこさんには、いつも学ばせてもらっています。感謝。
【 #ブレイディみかこ さん! #ジェンダー など #無意識の偏見 を解消するにはどうしたらいいですか? 】
https://www.facebook.com/NHKgendai/posts/2209771615831009
ブレイディ みかこさんに聞く “他者の靴を履く”ことの意味https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/WV5PLY8R43/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/p4aAJ0Y874/