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世界はフラクタルだから真っ向勝負しない
フラクタルとは
近寄っても遠ざかっても同じように見える自己相似性。これをフラクタルと言います。特に野菜のロマネスコではその構造がはっきり分かります。
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螺旋状に突起が配列されていて、個々の突起も螺旋状になってます。外形に相似する縮図を内在する自己相似性、これがフラクタルです。他にも自然界には波や雲や海岸など至るところにフラクタル構造が見つかります。
人間社会もフラクタル
「類は友を呼ぶ」 これは似た者同士が集団を形成すること。
「朱に交われば赤くなる」 これは同じ集団の構成員が似てくること。
人間は社会的な動物なので似た者同士の集団が自然に形成されていきます。
似た者同士の集団は個々の思想も似ています。その集団が今度は似た思想の別な集団と繋がって、各所でそのネットワーク形成が繰り返されるとコミュニティができます。そのコミュニティを俯瞰すると元の集団と似た構造、つまり自己相似性が浮き彫りになります。
このように、個人と社会は地続きのフラクタルなのです。
逆に、独特の思想を持つ個体は、異なる思想の小集団では存続できません。自分の思想を捨てて環境に染まるか、集団を飛び出して孤立するか、もしくは死滅するかしかありません。これが社会不適合者の発生プロセスです。
社会はフラクタルだから多数派が力を持ちやすく少数の異質を排除しがち。排除する社会が悪いわけではなく、フラクタル構造の特性に過ぎません。
合わせ鏡もフラクタルだけど向きが違う
合わせ鏡でも外形に相似する縮図を内在する景色が見られます。同じ景色が果てしなく奥に続いているので、自己相似性という意味では合わせ鏡もフラクタルと言えるでしょう。
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その景色は、奥の一点に収斂されますね。奥に行くほど景色が暗いのは、合わさった鏡をなん往復もして光が自分の目に届くから。つまり奥に行くほど過去の風景です。合わせ鏡の奥を見れば過去に遡っていけるのです。
ここから、フラクタルの形成過程には2方向あると気づきました。
合わせ鏡は外と同じ構造を内在させて、一点に収斂するフラクタルです。内部が外部に倣って一極に微細化していくフラクタルは過去に遡ります。
一方、コミュニティ形成は個体構造が周辺を似せて、外に拡散するフラクタルです。外部が内部に倣って拡張していくフラクタルは未来に向かいます。
このように、これらは時間も空間も真逆にフラクタル化しています。
人間は物質に過ぎないのでしょうか?
社会はフラクタルだから異質は存続しづらい。
個性を捨てて長いものに巻かれる生存戦略が蔓延っています。だから表に出たくない。確かに個性を捨てる生存戦略で自分の肉体は存続できますが、代わりに自分の精神を棄損します。それは精神の自殺ではないでしょうか?
この世界では肉体に価値があって精神は価値が無いのでしょうか?流通野菜のように僕らの個性は不都合なのか?人間は物質に過ぎないのでしょうか?
今の世界ではそうかもしれないし、そうそう変わらない。だけどそんな世界じゃ生きられない。個性を尊重して排除しない世界を諦めたくありません。
その手段はあると、2人の偉人の格言からヒントを得られました。
ガンジーの言葉です。
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ガンジーは「世界は自分の写し鏡にすぎない。外界にあるすべての傾向は自分自身の中にある。己を変えることができれば、世界も変わる。自分の性根を変えた男には世界も態度も改める。これこそが教えの極意だよ。こんなすばらしいことはない。幸せはここからはじまる」と言いました。
自分が変われば世界も変わる。逆に言えば、課題は世界のせいではなく自分のせいなのだ。課題を抱えた世界の風景は、写し鏡の向こうに自分の振る舞いが見えるだけ。自分自身もその風景の一部だという現実を受け容れねば。
つまり人は元来フラクタブル(フラクタル化が可能な構造)なのだ。見たいと思う世界に相応しいよう自分を変えれば景色が変わる。自分から変わる。
次はバックミンスター・フラーです。
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建築家であり発明家だったバックミンスター・フラーは「既存の現実と戦っても、物事を変えられない。何か変えたいのなら、既存モデルを時代遅れにしてしまう新規モデルを創ろう」と言いました。これは大きなヒント。
実験室に籠もって開発に勤しむように、人目につかないところに籠って新規モデルの創造に勤しむ。既存の現実と真っ向勝負しない戦略が、独自性を捨てない心の支えになりました。工房、アトリエ、実験室…好きな場所です。
フラクタブルな新規モデルの開発までもう少し。実験的運用を経て、美しくフラクタル化した暁にはお披露目させていただきます。ガンジーが言うように、幸せはここから始まるのでしょう。拡張的なフラクタルの原始にする。