アレックス・レミーロは今季のラ・リーガで最も優れたGKですか?
レミーロは今季いくつもの決定的なシュートをブロックし、何度もソシエダのピンチを救ってきた。低く速い弾道のキックも見事だし、ビルドアップ時のドリブルミスもない。試合中いつも冷静なのに、味方の得点時は全身で喜びを表現するギャップもとても良い。そしてなにより、かっこいい。
今回はそんなレミーロに焦点を当てつつ、今季残り4試合となったソシエダを応援する上で、次節バルセロナ戦はこんなところにも注目してみてはどうかという提案みたいな話です。
最も優れたGK、という曖昧な表現
ゴールキーパーに求められる能力はとても多い。
シュートセーブはもちろんのことながら、ハイボールの処理や飛び出しの判断力、1対1で距離を詰めるスピード、的確な指示出しにロングキックの精度。今やビルドアップへの参加は当たり前で、足元の技術も不可欠だ。その他にPKの対応、冷静さ、洞察力などなど、細かく挙げればキリがない。
では何をもって最も優れたと言えるのか。ラ・リーガではこういうことになっている。
ラ・リーガでは、と断ったのはこの基準がリーグによって異なるからだ。
たとえばプレミアではクリーンシート(失点0の試合)の数で決まる。セリエAとブンデスでは、ファンやクラブからの投票という客観的評価で決まる。
サモラ賞
概要
最優秀ゴールキーパーに与えられる賞は、サモラ賞と呼ばれる。初代受賞者であるリカルド・サモラの名に由来したもので、1929年から続いている。
ソシエダでは79-80シーズンから3年連続で同じGKが受賞した歴史がある。そして以降40余年、獲得できていない。
ちなみに同賞はスペインのスポーツ紙マルカが表彰しており、ラ・リーガ公式のものではない。ただスポーツの世界では、主催者が別団体(主に新聞社)というのはわりとよくある話なのであまり気にするところでもない。
条件
失点率が最も少ない
28試合以上に出場している
失点率とは失点数 ÷ 出場試合数の単純計算で求められる。仮に2試合に出場して5点取られたのなら、失点率は2.5といった具合だ。
ラ・リーガは1シーズン全38試合なので、28試合は約7割に当たる。なお、1試合とは60分以上出場した場合のみをカウント。60分未満の出場だった時に失点していれば、失点数のみ加算されてしまう。
レミーロの失点率
考え方を確認したところで、我らがソシエダの守護神、アレックス・レミーロのここまでの成績を見てみる。
レミーロは今季1度だけレッドカードを受け退場している。第19節アラベス戦、ペナルティエリア外でハンドを犯した時だ。これが前半36分のものだたったので、出場試合数に加算されていない。
他チームGKの失点率
続いて、ライバルとなるGKをピックアップしてみた。
現在トップは、ビルバオのウナイ・シモン。とはいえ失点率1のレミーロが追いつくチャンスはまだある。
昨年度サモラ賞を受賞したテア・シュテーゲンは、シーズン中盤に怪我で長期離脱をしていたため、規定試合数を満たしていない。だが、残りの4試合に全て出場するとぴったり28試合に到達する。やはり賞レースに絡んでくることになるだろう。前節バルセロナホームのジローナ戦で4失点を喫したため、0.96だった失点率を大幅に悪くしてしまった。
失点率がずば抜けて低いルニンは、シーズン中盤から起用され始めたため、出場試合の規定数にはもう届かない。
サモラ賞とEL出場権
残念ながらもうビルバオとの直接対決はない。なのでウナイ・シモンに関しては、今後もそのままの失点率で推移していくものと仮定する。シーズン終了時には全37試合35失点で失点率0.946ぐらいだろうか。
これをレミーロが上回るためには、残り4試合で2失点、全36試合34失点で失点率0.944というのが可能性のあるラインに思える。
はっきり言ってめちゃくちゃ厳しい。
でも、もし、万が一、レミーロが今季のサモラ賞を取れれば、それは必然的にソシエダがヨーロッパリーグの出場権を得ることにも直結する。ソシエダは守備の強いチーム、あり得ないことではない。
ついでにテアシュテーゲン相手に点を取って、バルサから勝ち点も奪おう。
サモラ賞とEL出場権、二兎を追おう。
〈了〉