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【レビュー】ザハリャンの共存 第22節 オサスナ - レアル・ソシエダ

勝てない。

レアル・ソシエダは公式戦3連敗中。
少し前の調子の良さが嘘のよう。

今節の相手は、9試合勝ちなしでこちらも絶不調のオサスナ。
しかも数日後には、コパデルレイでまたすぐ当たるため連戦となる。

次の試合のためにも勝って、オサスナに絶不調を継続させたいところ。


前節、ヘタフェ戦はこちらから



チームコンディション

  • オドリオソラは怪我(肋骨)のためお休み

  • EL、PAOK戦から中2日

  • 一方のオサスナは前節から中6日


スターティングメンバー

オラサガスティは前節ヘタフェ戦に続き、リーガでは今季2度目の先発。



試合結果

 1ー2

得点者:オスカルソン

チームスタッツ

数値は FotMob.com より

正直、負ける試合ではなかったような…

シュート位置

前半

xG: 0.56

後半

xG: 1.48

個人スタッツ

オスカルソンはPAOK戦と合わせて出場98分で3得点、ビッグチャンス5。
タッチ数こそ少ないものの、FWとして素晴らしい結果を残している。



試合内容

オサスナの攻撃プラン

先にオサスナの攻撃の狙いから。

4−3−3

ここから右SB12番アレーソが高い位置を取る。

右WG14番ガルシアが絞ってきて右のハーフレーンに、OMF10番オロスが左のハーフレーンにポジショニングする。

サイドから攻め上がり、あまり時間を掛けずにCF17番ブディミルにクロスを送る、というのがシンプルながら強力。

ソシエダの対応として珍しかったのは、オサスナの左WG11番バルハが持った時に、久保の位置をいつもより下げていたこと。

本来マッチアップするはずの左SB3番フアン・クルスが上がってきていない時でも、久保は戻ってきてディフェンスに参加。

これはオサスナの左WG11番バルハが右利きであること、切り返しからのクロスだけでなく、カットインからのシュートも得意としていることを考慮した思われる。

最近は久保をカウンター要員として前残りさせることもあっただけに、ソシエダのこの試合は攻撃よりもまず守備からという姿勢がうかがえる。

久保の使い方という点ではやや賛否が分かれそうなところではあるが、直近の失点数の多さを考えれば納得のいく采配でもある。



ソシエダの守備シフト

オサスナのビルドアップに対して、ソシエダの明確なマンツーはオヤルサバルとスビメンディ、それとハビ・ロペスの3箇所。

久保とアランブルは全体のバランスを重視し、それぞれのマークする相手を監視する感じ。
両CBスベルディア&アゲルドは、どちらかがCF17番ブディミルをマークし、どちらか1人が余る。

残ったスチッチとオラサガスティ、それとバレネチェアの3人でオサスナの4人(12、7、6、24番)をカバーする。

スチッチがCB24番カテナへのプレスに行けば、オラサガスティが連動してマークをずらす。バレネチェアは残った2人(7、12番)を担当。
その後の展開に応じて再びスライドし、マークを戻していくというもの。

このディフェンスの形は、数試合前に3−1の勝利をおさめたラージョ戦で使われたものとよく似ている。下図はその時の。

(ラージョ戦で用いた図)

この時もスチッチとオラサガスティ、バレネチェアのセット。良いイメージを共有できているという面で、再び同時起用したのかもしれない。

ただ、今回のオサスナ相手にはラージョ戦よりもうまくいかない
なにしろオサスナは、右サイド前方に空けたスペースへ右SBが走り込んでくるのを攻撃の型としている。

これにバレネチェアが1人で対応するのはなかなか厳しい。

しかも右SB12番アレーソに走られると、バレネチェアは前向きでディフェンスが出来ない。長い距離を走らねばならず、守備面での負担も増してくる。


ソシエダの守備は反対のサイドでも少し問題を抱える。

序盤からアランブルが積極的に前へ出てマンツーマンのプレスに出ていっていたが、何度かその裏を狙われるようになる。

スベルディアがカバーすることで事なきを得ていたが、アランブルの出足が鈍くなっていったことからも、ソシエダにとって好ましい対応ではない感じは見受けられた。


そんなわけで、前半20分頃からはすっかりミドルブロック中心。

そして、ボールを奪ったらそれがフィールドのどこであってもまずは速攻を目指す。もし前を止められてしまったら、一度下げてゆっくりとビルドアップにシフトチェンジ。
オサスナの方はネガトラの一瞬こそとても対応が早いものの、ソシエダの速攻が止まればプレスよりもまずは帰陣を優先する。

トランジションは早く、その後はペースダウンというところは、お互いの利害というかスタンスが噛み合っている印象がある。

そうしたこともあり、だんだんとソシエダがボールを持つ時間が長くなる。



左肩上がりの3−2−5

ソシエダの攻撃はいつもの4−3−3から、徐々に左肩上がりの3バックにシフトしていく。

右サイドでは久保が大外に張ることが多いのに対して、左サイドのバレネチェアはむしろ中に絞ってきていることの方がやや多いくらい。

ハーフレーンにも人を配しているおかげもあって、縦パスがわりと刺さる。
ライン間への出し入れをしながらサイドチェンジを織り交ぜ、久保の1対1(or2)や左サイドのポケット侵入を試みる。

ゴールを奪えないまでも目指す形は明確で、惜しいシーンも作れていた。


0−1のビハインドで前半を折り返したことを受け、後半のソシエダはより攻撃に重心をかける。

右の久保のプレーエリアを広げ、しつこくマンマークについてくるオサスナの左SB3番フアン・クルスを剥がしにいく。
時に低い位置まで引き取りにきたり、時に左のポケットに侵入したり。その動きに周りも連動し、前半以上に流動性のある攻撃を見せる。

そしてだんだんと、攻撃時3−2−5の形が顕著になっていく。

左は大外にハビ・ロペス。バレネチェアは相変わらずハーフレーンだったりセンターレーンだったり。

最近のソシエダの左サイドからの攻撃は、この形がとても多い
相手の最終ラインがボックスの外にくるような位置を目安にポジションを取り、ポケットにスルーパスを送る。

あるいはハビ・ロペスが縦に突破してクロス。アーリークロスはたまに。どれもダメなら下げてやり直し、というもの。
もし大外がバレネチェアの場合は、ポケットに走り込む味方を利用してカットインというパターンもある。


このハビ・ロペスのポジショニングに対し、オサスナは右WG14番ガルシアをマンツーにあてて5バックを形成する。リードしていることもあって、完全に守備重視。前半のように積極的にスペースを狙って上がってくるということはなくなった。

その一方でスローインの時には、人を集めてからのロングスローで高い位置に起点を作ろうとする。

後半30分頃、似たようなロングスローから追加点を許してしまった。

その前までに何度かあった決定機を決めきれなかったソシエダと、たった1発のチャンスでネットを揺らしたオサスナ。その明暗が分かれた。



ザハリャンの共存

長かった足首の怪我から復帰し、今季初出場を遂げたザハリャン。
久しぶりということで、そのポジションについて少し言及してみたい。

昨シーズンまでのソシエダはミケル・メリーノがいたこともあり、ザハリャンは主に左WGで起用されることが多かった。

メリーノが抜けた現在も、4−3−3をベースとするソシエダにおいて、2枠しかないインテリオールの競争率は依然として高い。

・ブライス
・スチッチ
・トゥリエンテス (ピボーテ?)
・オラサガスティ
・マリン
(・セルヒオ・ゴメス)

・ザハリャン

ただ、今回ちょっと面白い起用があった。
ザハリャンが入った時の中盤の顔ぶれは次の通り。

先に説明したようにソシエダは後半から攻撃時3−2−5、ないしは3−2ー4−1を採用していた。
左WGとは名ばかりで、中盤はボックス型の構成。そのためザハリャンとブライス、スチッチの3人が共存している。


こちらは後半43分。
スチッチからブライスを経由し、ザハリャンへと渡った場面。

ザハリャンがボールサイドへと流れたことで、もはや左WGというよりもトップ下的な位置で前を向けている。たぶんザハリャンがやりたいのはここ。

今後もこうした左SBを高い位置に上げる攻撃が続くなら、ザハリャンにも、もちろんオラサガスティにも出場の機会が増えそうな気がしてならない。

唯一、懸念点をあげるとすれば、ポケットからクロスを上げにくいところ。
右利きのザハリャンの場合、左足のダイレクトで折り返すのは難しい。

とはいえ、左利きのブライスが右ポケットに侵入しているので、もしかしたらあまり気にするところではないかもしれないが。

なんにせよ、ひとまずはおかえりなさいということで。



まだ希望はある?

リーガで3連敗。
ついに再び下位に落ちてしまった。

オスカルソンの2戦連続ゴールやザハリャンの復帰といったポジティブ要素もあるが、いかんせん勝てないのはきつい。
しかも相手が最下位バレンシアに、14位ヘタフェに、9試合勝ちなしだった9位オサスナ。どれも負けていい試合じゃない。

まだEL圏内を狙える勝ち点差ではあるのが、唯一の救い。
でもそれにしたって過去10年のデータで見れば6位フィニッシュのボーダーは勝ち点57〜63。
すでに折り返しを過ぎている現状で、やはり勝ち点はかなり低い。


次節の相手は、降格の危機に瀕する17位エスパニョール。
どうか順当に勝って、悪い流れを断ち切ってくれますように。



最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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