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科学データが世に出ていないという社会課題。研究のデータベースを「現在より進んだ世界の実現」につなげる挑戦。 | 杉原 淳一氏(株式会社バイオインパクト)

 日本国内で研究されている研究課題や研究者についての国内最大級のデータベースサイト「日本の研究.com」を運営するバイオインパクト杉原淳一氏。

「研究」というブラックボックスを可視化させることでどんな未来を見据えているのか、なぜいつも楽しい場所にフットワーク軽くいられるのかを杉原さんに聞いてみました。

― まずこの度は、ソーシャルキャリアフェス2024を応援&サポートいただきありがとうございました!

杉原淳一さん(以下、杉原):いえいえ!良く分からないまま即答でYesと言いましたが(笑)

― 即答でサポートいただけた理由はズバり何だったのでしょうか?

杉原:ヒトですね。主要な運営メンバー全員深く知っている友人だったので。

― それだけが、、理由ですか?(笑)

杉原:はい!特にこの2-3年は人とのつながりを最も重視しており、お金はそのつながりを作るための手段の一つだと考えていますので。

― だから毎週楽しそうな方とご一緒してるんですね(笑)

杉原:そうですね(笑)

―  研究内容や研修者のデータベースってあまり馴染みが無いのですが、なぜ作ろうと思われたんですか?

杉原:日本の研究者は世界的にみても優れた成果を出しているのに、なかなかそれが社会に伝わっていないことに課題感を感じました。大学からのアウトリーチ活動も不十分で、企業や学生が専門性の高い研究者とつながる機会が非常に少ないんです。

― たしかにほとんど見かけない情報ですね。

杉原:自分はもともと製薬会社で研究資材の調達担当として働いてたんですが、大学の研究室や教授の情報をコツコツ自分でまとめていた所、同僚や同業者からものすごいニーズがあって。日本の研究者や研究内容に関する情報が、世の中にこんなにも伝わっていないんだなと気付きました。

―でも世の中に出回っていない=入手困難な情報ですよね?どうやって集めたんですか?

杉原:コツコツです(笑)もともと自分で集めていた情報にプラスして、主な研究機関のプレスリリースを毎日チェックし、研究者向けFacebookグループの書き込みもすべて読んでデータベース化しました。そうやってコツコツ集めた研究者20万人分のプロフィールや研究内容を集約し、企業向けにマーケティングメディアとして展開しています。医療分野ではエムスリーさんが、医師のデータベースを起点に大きなプラットフォームを作り上げました。僕は研究分野でも、研究者や研究プロジェクトのデータがイノベーションを加速すると信じています。

―コツコツと20万人分も!具体的にそのデータベースがあることで何が出来るようになるのでしょうか?

杉原:従来は、研究者の氏名で検索しても所属、経歴、論文などの断片的な情報のみでした。でもそれでは研究者の実力はわからない。例えば研究費規模のデータがあれば、その研究者への期待値が浮かび上がってくる。そうした客観的な指標をデータベースに取り入れることで、研究者を有機的な情報にひも付け、可視化したい。そうすれば、 企業も探している研究者を見つけやすくなり、アプローチもしやすくなるはずです。

―なるほど。ほかにも考えられていることはありますか?

杉原:博士課程を修了しても研究職に就けない人が増えている。一方、企業はそうした即戦力を求めているはず。この需給ギャップを埋めるために、研究者データベースを活用したマッチングの仕組みを作りたいですね。

―確かに企業のニーズは高そうですね!

杉原:でもまずは順番が大事だと考えています。
まずは、データ分析ツールとしてより多くの企業に利用いただき価値を感じていただく。
今はここをしっかりと固めるフェーズです。
次のフェーズで、専門性の高い研究職と企業のマッチング。
それ以降のフェーズで、研究者同士や企業と研究室の橋渡しなどを構想しています。

―ありがとうございます!杉原さんご自身のことも聞かせてください。毎週色んなすごい方たちと楽しそうな場所に行かれていますが、そのフットワークの軽さはどこから来ているんでしょうか?

杉原:この2-3年、「人生で一番大事なのは人とのつながり」と考えるようになりました。お金を稼ぐことではなく、家族や友人、お世話になった人と一緒に時間を過ごす、人との繋がりを太くすることに比重をおいたら人生観が変わりましたね。お金に代表されるような定量的な価値観って他人向けで、自分の人生を豊かにしてくれるものはもっと定性的な価値観だと思うようになりました。だから人とのつながりやご縁をとても大切にしています。

―経済合理性曲線を飛び越えるヒントになりそうです。

杉原:アカデミアの中だけで仕事をするのではなく、もっと社会に科学の価値を伝えていくためにも、もっと色んな人とつながりたいですしね。たとえば、研究者と企業担当者が気軽に交流できるような"場"を増やしていくことが大切だと考えています。

―本日は貴重な機会をありがとうございました!最後に一言お願いします。

杉原:枠にとらわれない自由な発想を持ちつつ、データの力で研究と社会を結ぶ。
自分が望む未来を想い描き、そこにいたる小さな一歩を着実に積み重ねていきたいと考えています。「未来を想像し、今を歩もう」ですね!

【編集後記】

杉原さん、貴重なお話をありがとうございました!

研究という専門性の高い領域と社会をつなぐ。そのために人とのつながりに重きを置きながら一歩ずつを着実に自分と社会を進める。 インタビューを通じて、杉原さんの情熱と哲学に触れた気がします。アカデミアの変革には一朝一夕ではいかないかもしれません。しかしデータと人とのつながりを信じる杉原さんからはワクワクする未来しか感じませんでした。

最後までお読みいただきありがとうございました!

友人の子ども(3歳)と一緒に
シルバニアファミリーの配置を検討する杉原さん。

バイオインパクト採用情報:

日本の研究.com:

https://research-er.jp/



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