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【インタビュー】ソーシャルベンチャー・NPOでの複業・転職のリアル~イベントでの出会いから複業開始まで vol4【事業開発】テクノツール株式会社

「本業で培ったスキルを活かして社会課題解決に挑戦したい」
一方で、自分のスキルは社外で通用するのだろうか?限られた時間の中で、どうやって複業に取り組めばよいのか?

ソーシャルベンチャーでの複業に興味はあるものの、一歩踏み出すことに躊躇する方も少なくはないのではないでしょうか?

そんな方々のお悩みにお答えする本企画、「ソーシャルベンチャーでの複業転職のリアル」。

今回は、「本当の可能性に、アクセスする。」をコンセプトに、難病や事故等で重度の肢体不自由を抱える方々に向けて、パソコン、スマホ、ゲームへの入力デバイスやアームサポートなどを提供する、「テクノツール株式会社」の複業事例を紹介します。

一般的に経済性と社会性の両立が難しい障害福祉の分野に、新規事業開発、営業の分野で結果を積み重ねてきた安藤さんが、どの様なきっかけ、想いで複業を開始されたのか?

是非、インタビューをご覧ください!


【画面左下】テクノツール株式会社 代表取締役 島田真太郎 氏

 大学卒業後、電子部品メーカーで3年間法人営業を担当。2012年にテクノツールへ入社、2013年に取締役就任。経営企画、営業を担当し、2021年から代表取締役を務める。2020年「第1回スタ★アトピッチJapan」アトツギベンチャー部門賞、野村ホールディングス賞、2022年「Industry Co-Creation(以下ICC)サミット KYOTO 2022」のピッチイベント「ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦– 」で2位入賞、2023年「第3回アトツギ甲子園」優秀賞など、ピッチイベントへも積極的に参加。

【画面右上】複業人材 某食品製造会社 安藤和政 氏

大学卒業後、スタートアップ企業にて新規ビジネスの立ち上げ、フランチャイズ事業の立ち上げを経験。株式会社ケイシイシイ入社後、様々なビジネスの拡大・立ち上げに従事し社内表彰を5回受賞。 またグループ間異動後、新規販売チャネルを立ち上げ年間優秀社員表彰と社内表彰を複数回受賞。

熱量、ビジョンを持つ人達と集まることができる場は、とても価値があった

ーこの度は、ソーシャルキャリアフェスに参加頂きありがとうございました。まず初めに、第一回目のソーシャルキャリアフェスに参加いただいた理由を教えてください

安藤さん:
私は、株式会社COTENの個人クルーに参加していまして、代表の深井さんが登壇されるというお知らせを見て本イベントを知りました。
登壇者の方のお話を聞きたかったのもそうなんですが、私自身ソーシャルビジネスにキャリアを移していきたいと考えていたタイミングでもあったので、参加させていただきました。
 
島田さん:
お声がけを頂いたときに、丁度、自社で新規事業の立ち上げを考えていました。
ビジネススキルの高い人に関わって頂きたいが、最初から正社員としての雇用ができる程の予算がないうえに、優秀な人と出会う機会もそこまで多くないという課題を抱えていました。
そんなタイミングで、複業という雇用の選択肢と、その出会いの場を作って頂けるということだったので、これは参加しない理由はないなと思い参加させていただきました。

ーありがとうございます!ソーシャルキャリアフェスの良かった点、改善点など、感想をお聞かせください

島田さん:
良かった点は採用において他の企業さんと心地よい競争関係にあったという点です。
ソーシャルビジネスと言っても、そこに転職しようと考える人たちにとっては、その企業の成長性だったり魅力は、他の業界と同様に重要になってくると思います。
同じ障害福祉分野の企業の中から、候補者の方々に興味を持っていただくためには、私たちのメッセージの出し方を工夫しなければいけないなと感じました。その為には、私たちが、「どの様な方に参加して頂きたいのか」を明確にする必要があり、採用戦略を考える、凄く良いきっかけになったと思っています。
改善点としては、会場全体は広かったのですが、企業ブースエリアの中で、自社に与えられたスペースが狭く、他の企業との距離感も近かったので、もう少しゆったり落ち着いて話せるスペースがあると良かったかなと思っています。
 
安藤さん:
大前提としてこの場を作っていただいたことに凄く感謝しています。私の周りの友人で参加された方も同じことを言っていましたが、あの熱量だったり、ビジョンを持つ人達と集まることができる場は、とても価値があると感じました。
改善点は、候補者に対するイベント参加企業の告知を、もう少し早ければ良かったと思いました。
あとは自分がどんな社会課題にアクションしたいのかが明確ではない人に対しても、自分の志向性を元に、企業をマッチングできるような仕組みがあれば、マッチングの精度・数が上がると感じました。 

残りの人生を、自分が意義を感じられることに時間を使っていきたいと思った

ー安藤さんにお聞きします。ソーシャルキャリアという選択肢を考えたきっかけを教えてください

安藤さん:
残りの人生を、自分が意義を感じられることに時間を使っていきたいと思ったからです。
私には、双極性障害と発達障害を持っている家族がいるのですが、日常生活の中でその才能や能力に可能性を感じていて、自分の家族や同じような障害を持っている方々の能力を、もっと世の中に還元できる場所があるのではないかと感じたことがきっかけで、障害福祉の分野や、ソーシャルキャリアに興味を持ちました。

事業や想いに対する「共感性の高さ」と、「スキル」双方がマッチングの決め手

ー今回複業先としてテクノツールを選んだ理由を教えてください。また、挑戦することに迷いはありましたか?

安藤さん:
イベント参加時は、自分がどんな社会課題に取り組んでいきたいかが今ほど明確ではなかったので、自分が持つスキルセットを発揮できる企業に参加することが、最もソーシャルグッドに近付きやすいのではないかと考えていました。
私の場合ですと、「セールス」や「新規事業開発」で探していたところ、テクノツールさんが求めていたものとマッチして、なおかつ島田さんの人柄に惹かれたというのがきっかけになります。
チャレンジすることに迷いはほぼなかったです。
障害福祉の分野で自身のスキルを使いたいという方向性を決めていたので、中身の部分は修正をしながら進めていけばいいと思っていましたし、スキルや経験の部分で足りないところは、あとからつければいいと考えているので、躊躇することは特になかったですね。 


ー続いて島田さんにお聞きします。安藤さんを選んだ決め手はどのような部分でしたか?

島田さん:
2点ありまして、弊社の事業や想いに対する「共感性の高さ」と、「スキル」の部分です。
実際に複業を始める前に弊社のイベントにボランティアスタッフとして来ていただいたり、何回かお話させていただく中で、とても共感してくださっているなということを感じられたので、それは凄く有難かったなと思ってます。
スキルの部分は、安藤さんのセールスと新規事業開発が、丁度弊社に欠けている部分でしたので、是非ご一緒できればと思いました。 

実際に現場に入り、当事者が求めているものなどの、より具体的な部分を確認中

ー現在複業が始まってから1ヶ月ほどになると思いますが、
実際に依頼している業務や、進め方を教えて頂けますか

島田さん:
有難いことに安藤さんは最初に現場を理解したいと言ってくれましたので、今は、現場を見て頂いています。
実際にオフィスや福祉施設に来て頂き、社員やユーザー、ヘルパーや医師など多くのステークホルダーが、どのような関係の中で弊社の商品を使っているのかを見て頂いています。
最初はこのような形でご一緒させていただきつつ、順次話し合って進めていきましょうという流れで進めています。 

ー安藤さんは実際に現場に入られてみて、感じたことや気づいたことはありますか 

安藤さん:
実際に現場を見て、サービスのステークホルダーが多いということと、制約条件が私の想像よりも多いと感じました。外から見ると表面的な部分しかわからないので、当事者が求めているものなどの、より具体的な部分を確認しています。現場に触れる機会を島田さんが作っていただいてるので、それが何よりありがたいなと思っています。

ー最後に、「大企業人材」が「ソーシャルベンチャー」に「複業」で関わることの可能性について、ご自身のお考えをお願いします

島田さん:
このマッチングの可能性は年々高まっていってほしいし、高まっていくだろうと思っています。ソーシャルセクター側にビジネス力が足りていない部分はあると思いますが、逆に言うとビジネス力さえついてくれば、色々なことができるような時代になってきたと思いますので、期待しています。
お金儲けだけのモチベーションで動ける人は必ずしも多くないと思いますし、働く事の意義を求めて、ソーシャルセクターに目を向ける人が増えていくのではないかと思います。
 
安藤さん:
私も島田さんのおっしゃったことに、とても共感をしておりまして、ビジネスのあり方自体が近年、変わってきていると感じています。
自分自身もそうですが、今後仕事に意味・意義を求める人は増えていくと思いますし、それは社会変容という規模で起きていくと思います。
働き方の形も、一人で複数の企業に所属することが当たり前になり「複業」という言葉すらなくなるくらい当たり前になるのはそう遠い未来ではないと思います。


【編集後記】

経済性と社会性の両立が難しいソーシャルビジネスの中でも、障害福祉の分野はより難易度が高いのではないかと感じます。
そんな障害福祉の分野に、新規事業開発、営業の分野で結果を積み重ねてきた安藤さんが加わることで、どんな変化が起きるのか。

ソーシャリアとしても、個人としても引き続きサポートを行っていきたいと感じました。

過去に異なるキャリアを歩んできたお二人が、同じ目的で繋がる。実際にお話を聞いているとそこにはドラマがあり、感動があり、難しさがあり。お二人の熱い気持ちにウルっときたインタビューとなりました。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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