【インタビュー】ソーシャルベンチャー・NPOでの複業・転職のリアル~MVP検証からサービスリリースまで vol3【エンジニア編】 株式会社スターコネクト【後編】
【スピーカー】
水本 洋志 株式会社スターコネクト代表取締役CEO 製薬会社(武田薬品、ノバルティスファーマ)、外資系コンサルティング会社(PwC)でヘルスケア業界の営業・マーケティング領域を中心に、戦略立案~実行支援まで幅広い経験を積む。 独立後、ヘルスケア業界の新規事業開発、営業・マーケティング組織立ち上げ支援を行う傍ら、株式会社ボーダレス・ジャパンが運営する「ボーダレスアカデミー」にてソーシャルビジネスに出会う。 「社会をより良くする事業創りの為のエコシステム構築」に向け、第一弾となるサービス「ソーシャリア」をローンチ。 製薬営業・マーケティング専門誌「Monthlyミクス」での執筆、講演実績など多数
武井 聡 株式会社スターコネクト執行役員CPO 東京大学を卒業後、株式会社ビズリーチにソフトウェアエンジニアとして入社。 その後、医療系スタートアップの株式会社CureAppに転職。 プロダクトマネージャーとして、日本初となる“治療アプリ“のリリースをはじめ、新サービスの立上げを経験。 CureAppでの経験から医師という存在の特別さを知り、医師を志す。 2022年、三重大学医学部に入学。 医学生兼フリーランスとして新規事業立上げや中途採用の支援を経験。 2023年1月から「ソーシャリア」に携わり、現在は執行役員CPOとして開発組織を統括。 ノーコード開発ツールであるBubbleを活用した新しい開発スタイルに挑戦中。
外村 大 大学を卒業後、株式会社ベイカレント・コンサルティングに入社。システム開発プロジェクトのPMO、IT-SMEを担当。その後、株式会社ローカルベンチャールームに転職し、UXエンジニアとして複数の新規プロダクト開発に従事。現在は、フリーランスのUXエンジニアとして、新規事業の 0→1 フェーズのプロダクト開発を支援している。
事業立上げにおける、複業のリアルとは?
ーここからは複業にて参加されているエンジニアのお二人にご質問させていただきます!まずは、複業をすることになったきっかけを教えてください。
武井さん:
代表の水本さんとは、前職のヘルスケアスタートアップ時代に一緒に仕事をしていた時期があり、水本さんが独立後、「週に1回の壁打ち」から複業を開始しました。
当時は他の仕事を請け負っていたのですが、ビジョンに共感する部分もあり、徐々に稼働を増やしながら、半年くらいの期間を経て、本格的に稼働を開始することになりました。
ー半年の中で、なにか心境の変化のきっかけとなる出来事があったんですか?
武井さん:
β版の段階で、数社を集めてワークショップを行ったのですが、普段の生活の中では、あまり出会うことの無い社会起業家の真っ直ぐな思い、勇気や苦労に触れ、私だけでなく、参加者の方々の心が動かされる様子を目の当たりにしたのが大きいです。
ソーシャリアを通じて同じような場を作っていくことにより、意義ある事業に挑戦する仲間が増えるのではないかと体で感じました。
こういった場を通じて、よりソーシャリアの事業にコミットしていきたいと思うようになりました。
ー事業立ち上げの0→1フェーズで、特に印象に残っている苦労や、大変だったことはありますか?
武井さん:
その時々で大変なことはありましたが、特に2024年3月のソーシャルキャリアフェスの運営準備は大変でした。
外村さん:
私もソーシャルキャリアフェスの準備は大変でした(笑)
イベント直前の時期は、武井さんも運営側に入っていたので、ほぼ一人でソーシャリアの開発をしていたので、バグが起きた時の対応などプレッシャーは大きく、精神的にも大変でした。
武井さん:
ソーシャルキャリアフェスのタイミングで、本リリースも行ったため、何とか期限に間に合わせないといけないというのがあり、皆それぞれの持ち場で最大限業務を行っていました。複業だからとか正社員だからとか関係なく、チームでやり切るという感じでした。
ソーシャルキャリアフェスの前に、私たちのチームの中での歴史があったので、乗り越えられた気がします。助走期間があって良かったなと思っています。
ー大変なことがある一方で、立ち上げ時だからこその、やりがいはありますか?
外村さん:
エンジニアとしては、プロダクトを作っている以上、実際にユーザーに使ってもらいたいという想いがあります。
ソーシャルキャリアフェスの時には、求人が50件程度掲載され、実際に使われ始めたのはそれまで経験したことが無かったので、立上げから関わっているからこそ味わえた感覚だったと思います。
武井さん:
外村さんと同じく、手掛けたプロダクトで、実際に出会いが生まれるというのは作り手冥利に尽きると思いますし、やりがいもあります。
あとは、ソーシャルキャリアフェスの運営メンバーとして参画し、文化祭の様な充実感や楽しみはありました。
そして、今はサービスリリースを終えて、少しづつ成果が出ている段階で、より大きくさせていこうというタイミングです。この時に、どの様に仲間を増やしていくのか、組織を作っていくのかという段階に入っていますが、その様な一つ一つの歴史に喜びを感じますね。
最後に、まだまだ小さいチームなので、一人一人の頑張りが事業に反映される度合いは、大きな組織の中でやるのとは全然違います。影響力の大きさ、責任の部分にやりがいを感じています。
ーおふたりは今後のキャリアプランはなにか考えていますか?
武井さん:
数年後を見越した具体的な目標は特にないのですが、まずはこの事業を広げていくために軌道に乗せていきたいと思っています。
そこから先は、ソフトウェアの力で、誰かを幸せにしたいと思っています。その為に必要な力を付けていきたいと思っています。
また、将来医師を目指しているので、エンジニアとして、医師として、ソーシャリアも成功させたいですし、医師でも成功していきたいと考えています。
外村さん:
私もキャリアプランというものはそこまで明確にあるわけではなく、どちらかというと「今をいきること」を大事にしています。
ただ、自分がやりたいこととしては、「エンジニア×新規事業立ち上げ×ソーシャルビジネス」というテーマを持っており、その為に必要なスキルを今後もつけていきたいと思っています。
「大企業」×「ソーシャルベンチャー」の可能性とは?
ー最後に、「大企業人材×ソーシャルスタートアップでの複業」の可能性について、一言お願いできますか?
武井さん:
私たちの世代で、大企業をはじめとした安定した企業に勤める人達が、30代でキャリアに悩む姿をたくさん見てきました。
一方で、家族や生活がある中、いきなり大きな挑戦をする事が出来ないですし、自分が本当にやりたい事に向き合うことも年齢と共になくなってくる事が多いと感じます。
ただ、それ自体が悪いことではないと思うのですが、自分が心から意味があると感じられる仕事をすることの喜びは、全員に共通する事だと思います。
既存の枠組みの中で、そこそこ儲かるといった領域に、優秀な人材が集まるよりも、課題の難易度は高いが、解決した時の社会的インパクトが大きい領域に優秀な人材が集まってくる方が良いと思っています。
人材流動性が低い日本において、すぐに実現させるのは難しいかもしれませんが、少しでも課題感を感じている方がいらっしゃったら、ソーシャリアを是非使ってもらって、複業という形で同じ仲間が増えていけばよいなと思っています。
外村さん:
「大企業人材×ソーシャルスタートアップでの複業」の価値は、とても大きいと思っています。
私は元々従業員1000人程のITコンサルの会社にいて、そこから従業員5人のベンチャーで働いたのですが、その時カルチャーや人の違いをとても感じました。
いい意味でも悪い意味でも、一つの企業には比較的同じような学歴、スキル、マインドを持った人たちが集まることが多いと思います。しかし一歩外に出てみると全然違うと感じました。
外に出る前は、自分が社会に還元できるスキルは特にないと思っていましたが、外に出てみて、今まで自分が当たり前にできていたことが実は、役に立つスキルだと感じました。
周りのアドバイスもあり、自分がエンジニアに向いているかもしれないと思い、3、4年程前からエンジニアを目指すきっかけにもなりました。
そう考えると、大企業に勤める人がソーシャルベンチャーに限りませんが、外に出ることで得られるものはとても多いと思います。
そのきっかけとして、ソーシャルベンチャーでの複業は、大きな可能性があると思っています。
水本さん:
私は可能性しかないと、感じないと思っています。
それは自分自身がその様に信じて、初めたプロダクトだというのもありますが、ソーシャルキャリアフェスや、実際にソ-シャリアに登録いただいている方々とキャリア面談をさせて頂き、改めて感じています。
誰しも、大なり小なりキャリアに対するモヤモヤを感じていることはあると思いますし、自分の可能性とか、エネルギーのぶつける先を探していると感じます。
そのエネルギーをぶつける先として、ソーシャルベンチャーはとてもやりがいを感じる場所なのだろうなと感じています。
大企業の方々は、元々優秀な方々が多いと思います。
そんな方々の、ソーシャルベンチャーへの人材流動性が高まることはとても価値があることだと思います。
ただ人材流動性を高めるうえで、「転職」である必要は必ずしもなく、「複業」という形で人材交流が活発になり、将来的には本業との「事業共創」という形に繋がっていく。
そんな動きが、今後益々起こってくるだろうなと最近感じていて、本当に可能性しかないなと思っています。
【編集後記】
会社員、フリーランス、医学生との並行など、多様な働き方を実践してきたお二人。
その話し方からは「働き方の型に捕らわれず、ただ純粋に自身のやりたいことや得意なことと向き合ってきた」という生き方が伝わってきました。
怒涛の立ち上げ期を振り返り、「あの時は辛かったね」と笑い合うお二人には、どこか”戦友”としての絆やかっこよさを感じました。
お二人を見ていて、複業・本業に関わらず、このような「心に残る仕事の思い出」をいかに残せるかが、人としての幅を作るのかもしれないな、と思いました。
最後までお読みいただきありがとうございました!
▼あなたのスキルと情熱、社会課題にぶつけませんか?
▼ご質問・ご要望はこちら