
フィールドセールスのKPIと商談の進め方
今回はフィールドセールスのKPIや商談の進め方について解説いたします。
多くのB2B企業では最初に「リードが足りない」という課題に直面します。
リードの増やし方については以下にまとめたのでご参照下さい。
マーケティングを強化してリードが潤沢に獲得できるようになると、次は「リードから商談や受注に繋がらない」という課題に直面します。
そこで今回は、リードから受注に繋げる為に必要な要素である「フィールドセールスのKPI」や「商談の進め方」について解説いたします。
リードからどのように商談に結びつけるのか?
参考となるKPIについて
THE MODELの様に営業プロセスを分業している組織の場合、獲得したリードはインサイドセールスが中心となってフォローすることになります。
この時に注視してモニタリングするKPIは大きく以下です。
①商談化(アポ)率:リード → 商談獲得になった割合
②受注率:商談(アポ) → 受注になった割合
ここでの商談の定義は「見込み客が自社のソリューションに興味があり、営業と1時間の打合せの時間を確保してくれた」とします。
またリードは年間で3,000件以上獲得している前提とします。
その場合の参考となるKPIは以下です。
①商談化(アポ)率:10%〜20%
②受注率:8%〜12%
①の商談のきっかけは、85%以上が資料ダウンロードなどの興味度が低いリードであることが殆ど。従って受注率も資料ダウンロードからの数値がベースとなります。
この時ベンチマークとなるKPIは資料ダウンロードからのアポ率は10%、アポからの受注率は10%。
このKPIが大きく下振れしていると、営業プロセスに何らかしらの問題が起きています。
「リードからの商談転換率が低いので改善して欲しい!」とご相談頂いて現状確認すると、上記のKPIより上振れている企業もあります。
この場合は求めている基準が高いだけで、実態はそこまで悪くないというケースです。
KPIの相場を把握することは、自社の状況の良し悪しを判断する一つの指標となりますので、是非比較してみて下さい。
受注率を上げるために必要なこと
先程、平均受注率は10%程度と解説しましたが、ここで見落としてはいけないのは平均受注率である点です。
これはどういうことかというと、トップセールスだと30%を超えることもあり得るからです。
この差はどこにあるかというと、トップセールスは顕在ニーズがない見込み客からも受注に繋げられるスキルを有していることにあります。
年商5,649億円、家電量販店ノジマのエース販売員の言葉。
— 柳澤大介 | B2Bスタートアップのグロース実践家 (@socialselling84) September 28, 2022
「カタログを見れば機能は書いてあるが、それが"生活をどう変えるか"を伝えないと10年に1回の買い物で感動してもらえない」
営業の7割はレベル1のProduct sellingしか出来ない。商品説明しか出来ない営業は、近い将来ECにリプレイスされる。 pic.twitter.com/lWsKlFpoT9
そしてそのスキルこそが上記のVision sellingなのです。
Level2以上のスキルを身に付けるために必要なことは、解像度の高い仮説を持つことです。それは事前準備で補うことが可能です。
具体的には、資料ダウンロードがきっかけで取れたアポはソリューションに興味はあったとしても顕在ニーズがないことが殆ど。
そんな見込み客に自社商品に興味を持ってもらうためには潜在ニーズを顕在ニーズへと昇華させる必要があります。
そして、それを実現する要素の一つが解像度の高い仮説です。
受注率を上げる為の取り組み「外報」
仮説の解像度を上げる取り組みをご紹介します。
それが外報(外出報告)です。

外報とは「外出報告」の略で、キーエンスの営業組織で実施されているセールスイネーブルメント手法の一つです。
私が過去に在籍していた企業でも、この取り組みを実施していました。
営業は全ての訪問に対して上司に事前相談・事後報告を実施します。
※オンライン商談も含む
事前外報では、見込み客の課題の仮説を立てソリューション提案の壁打ちを行います。
事後外報では、仮説が正しかったかの検証を行い、商談のネクストアクションを明確にします。
キーエンスの営業は最低でも年間600件は商談をしますので、外報の数は事前と事後あわせて1,200回行うことになります。
年間1,200回も商談の事前準備と振り返りを行い、改善を重ねていると成果が出ないはずはありません。
ただし、外報で成果を出すためには欠かせないポイントがあります。
それは報告を受けアドバイスする側のスキルが高いことです。
これにより事前準備の際の仮説の精度が高くなり、興味の低い見込み客でもニーズを作りだし受注へと繋げるプロセスが回るのです。
まとめ

フィールドセールスが成果を出すためには最低限の活動量は必要ですが、商談の質を高めることも欠かせません。
Level1のProduct sellingのスキルは知名度のある会社や商品力があるプロダクトなら売れますが、PMF前後のプロダクトで受注を重ねることは困難を極めます。
Level2以上のスキルを有している営業は、商談前から見込み客の課題の仮説を持ち、潜在ニーズを顕在ニーズに昇華させるための事前準備をしています。
その為の取り組みとして、セールスイネーブルメント手法「外報」はとても有効です。
B2B企業の営業組織では非常に効果的な取り組みとなりますので、チャレンジしてみて下さい!
次の記事を書く励みになるので、この記事が良いと思っていただいた方は是非「いいね」をお願いします。
月に1〜2回メールマガジンも配信しています。
興味のある方はこちらからご登録ください!