現代資本主義の金融経済(9)
2. 新興国経済の台頭
② アジア新興国の登場
アジアでは、韓国、香港、台湾、シンガポールといった国の工業化が始まった。これらの諸国の工業化は、繊維など比較的労働集約的な輸出産業から始まっている。日本をはじめとし、中小企業を含む外国資本の進出を受け入れ、賃金の安さを優位性にした輸出志向の工業化であった。
韓国の場合は、工業化の進展は外資とともに、国内の財閥系の資本に負う部分が大きい。韓国の財閥では現代財閥が造船(重工業)、自動車などを主に育成し、サムスン財閥が半導体をはじめとする電子工業などを育成してきた。現代財閥は1997年の経済危機で経営困難に陥った後、4つの企業グループに再編されている。
香港は中国を背景とする中継貿易に加え、70年代以降は外国資本を導入した製造業の興隆も目立った。繊維やプラスティック加工などの分野で加工貿易が盛んとなったが、所得水準が上昇するにつれ、商業や金融など第3次産業にシフトしていった。
台湾は80年代から電子工業が盛んとなり、当初の最終製品の組み立て工程を中心とするところから、半導体、ハードディスクなどの部品の供給企業が発達し、日本、米国などへの輸出をメインにした発展をとげた。
シンガポールはもともと東南アジアの要衝にあり、華僑が中心的な存在として中継貿易を担う港として発展していたが、80年代には香港と同じく製造業の展開がみられた。そののち、地理的な条件や国情の有利さを活かして国際金融センターとして展開、1人あたりGDPは68,540ドル(2013年)にまで増加している。