【瀬戸内海国立公園の食と自然環境の循環】ファムトリップに専門家として参加|1日目レポート
2021年11月に実施された「瀬戸内海国立公園(淡路地域)食と自然環境の循環」をテーマとする環境省のファムトリップに、食と持続可能性の専門家として筆者が参加しました。
この記事では3日間のファムトリップの、1日目の概要を紹介します。
1日目のテーマは、グジュアリー層向けのコンテンツ検討です。
本日のターゲットは、50~60代が中心で他者や世間における評価に価値を置き、旅行の全ての事項で高額な消費を行う従来型ラグジュアリー層(Clasic & All Luxury)ではなく、20~30代が中心で新しいことへの挑戦や経験、自分にとっての意義に価値を置き、優先度の高い事項に重点的に投資する新型ラグジュアリー層(Modern & Selective Luxury)です。
1. まずは淡路島の地場産業を訪問
最初に訪問したのは福良港のすぐ近くで淡路島特産のちりめんを加工する「やぶ水産」です。漁港の真向かいに加工場があり、水揚げされた新鮮なちりめんをすぐに茹で、ひとつずつ手作業で天日干しにしていきます。
殆どは豊洲に出荷される名産品ですが、今回は特別にここでしか体験できない茹でたて、干したて、しっかり干した完成品の食べ比べをさせていただきました。あ〜もぅっ白いご飯かチャコリが欲しい(ってまだ朝ですが)!
続いて訪問したのは、淡路島特産の素麺を製造する「金山製麺」です。風が強い淡路島は素麺づくりに適した気候で、風が強く漁に出られない日の漁師の仕事として、明治から大正にかけては140軒近くの製麺所がありました。
金山製麺は伝統的な手延べで素麺を製造しており、私たちも手延べ素麺づくりを体験させていただきました。代々受け継いでこられた年季の入った機械も味わい深く、伝統産業のかっこよさを改めて感じる時間になりました。
2. 大浜海岸にて特別なランチ体験
さてお腹が空いてきました。1日目のランチは大浜海岸につくられた特別なテーブルセットで、淡路島で活躍する「食のわ」の神瀬さんと「空想燕」の岡田さんによるケータリングです。
この日のメニューは淡路島の食材を使った全5品。木箱に入った前菜盛り合わせの蓋を開けるわくわく感からはじまり、どの料理も淡路島と季節を感じられる素晴らしいコースに仕上がっていました。器も地元の作家さんのものを利用されています。
3. 農を通して新たな可能性を拓く
おいしい食事をいただいた後は運動ということで、大阪湾が見える小高い丘にある「farm studio」を訪問。農と観光の取り組みを見学したり、みんなで自由にハーブを詰んでオリジナルのハーブティーづくりを体験しました。
また「テーブルと燕」の藤田さんによる、この畑で採れた麦を使った煎りたて麦茶と、同じくこの畑で採れた全粒粉小麦を使ったスコーンをいただきながら、淡路島に移住してきた若手夫妻からここで生まれている関係人口や交流のお話を伺い、農からはじまる新たな可能性を感じました。
4. 明石海峡大橋から夕日を眺めて
たのしい時間はあっという間に過ぎていき、続いては明石海峡大橋へ。普段は昼間しか提供していない明石海峡大橋の一番高いところへ登るツアーですが、今回はコンテンツ検討のため特別に、夕暮れを眺められるマジックアワーに提供していただきました。
まるでブラタモリの収録です。みんなでヘルメットを装着し、ところどころで解説を受けながら、眼下に海を眺めるスケスケの通路を歩いていきます。橋のてっぺん、海抜289メートルから眺める夜景は最高でした。
5. ひょうご五国のフレンチコース
食べては歩いてが続く1日目の最後は、グランドニッコー淡路で「ひょうご五国物語スペシャリテ地産地消コース」ディナーです。今回はコンテンツ検討のため、通常のコースと一緒にヴィーガン対応コースも特別にご用意いただきました(写真は通常コースです)。
この日のメニューは兵庫県産の食材を中心に使った全7品。豪華な食材を使ったホテルらしいフレンチのコースで美味しくいただきました。
今回の想定ターゲットを考えると、もう少し持続可能性を意識したメニュー構成でもいいかなと思いましたが、どの料理もとても美味しかったです。筆者の別記事「世界の食のトレンドと消費者が食に求める3つの視点」では、これからの食に求められる要素を詳しく紹介しています。
< 2日目に続きます >
より良い食体験をすべての人に届ける株式会社フードピクトでは、全国の自治体や観光協会などを対象にしたファムトリップへの専門家派遣や、ガストロノミーツーリズムのコンテンツ造成支援を提供をしています。ご相談・ご依頼は気軽にお寄せください。