ロックダウンとジェニーにありがとう
息子の日奈太が、幼稚園に復帰した。
毎日、ベビーシッターのジェニーに連れられて、楽しそうに通っている。
ありがたくて、嬉しくて仕方がない。
日奈太が幼稚園に入園したのは、今から1年以上前だった。
コロナの影響で妻とともに日本へ一年弱帰国していて、戻ったばかりの2021年2月。私のオフィス近くの幼稚園に通い出した。
毎日の送り迎えは、私の仕事。
最初の一週間は良かったのだが、段々とつらそうになる。
カンボジアに戻ったばかりで、慣れない環境。
英語も話せない。
ともだちもいない。
毎日、幼稚園に通うのを嫌がり出すのも、当たり前だろう。
泣きじゃくる日奈太を、幼稚園に置いて来るのは、本当に苦しかった。
まるで、虐待しているのではないか。。。と、考えずにいられない。
保育園に行けずに、自転車で日奈太と二人、プノンペンを徘徊する日も一日ではない。
私も、悩む。
一緒に、泣きたくなってくる。
そんな時に起きたのが、ロックダウンだった。
保育園もクローズ。
入学金も授業料も安くはなかったのに、二週間程度しか通わず、パ〜!
とはいえ、日奈太は幼稚園に通えなくなったわけだ。
正直、ちょっとホッとしたの覚えている。
とはいえ、妻も私も仕事は止まらない。。。
そんな時に、フルタイムで来てくれたのが、フィリピン人のジェニーだった。
元々、友人のお店で働いていたジェニー。面識もあったので最初から信用できた。とはいえ、ベビーシッターの経験があるわけではなかったので、一か八かの雇用だったのも否めない。ロックダウンで、町中も移動制限もかかっていたので、我が家の目の前に引っ越してもらった。
フィリピン人なのでコミュニケーションは英語。
日奈太もすぐに懐いて、英語もみるみるうちに上達していく。
何よりも良かったのは、フィリピン人のベビーシッターコミュニティで、何人かの子どもたちと一緒に面倒をみてくれることだった。
フィリピン人ベビーシッターだと、カンボジアでは外国人なので、ビザ代やワークパーミット取得代など、経費も掛かる。カンボジア人ベビーシッターに比べると、決して安くない。だから、結構良いところで働いている西洋人のお子さんを面倒見ているフィリピン人が多いのだ。
おのずと、フィリピン人ベビーシッター繋がりで、日奈太の友だちも育ちの良い西欧人の子どもが多くなる。
自分の息子が、金髪西洋人と幼馴染になるということが、不思議で仕方がない。
所詮、我が子なのに。
カンボジアも、コロナも落ち着いて、幼稚園自体は半年近く前から通常運営し始めた。
友だちも徐々に、幼稚園に復帰する。
日奈太も幼稚園に戻そうかと考えてはいたが、ベビーシッターのジェニーをフルタイム雇用してしまっている。
悩ましい。
というのも、幼稚園に通い出したからと、ある日突然、給料を半分にするのも忍びない。
とはいえ、保育園とベビーシッターの両方を支払う甲斐性が、自分にあるのか悩ましい。なかなか、幼稚園に復帰するタイミングを見失っていた。
ジェニーは元々、日本食レストランで働いていた経験もあるので、日本食も毎日作ってくれている。中村家は、完全にジェニーに胃袋までつかまされてしまっているのだ。
ベビーシッターというより、もう家族になっている。
幼稚園に復帰した日奈太は、以前より英語でのコミュニケーションも苦ではなくなっているし、友だちもできた。
毎日、ジェニーに連れられて、楽しそうに通ってくれているのは、本当に感謝しかない。
とりあえず、日奈太は幼稚園復帰したが、ジェニーの給与はそのまま据え置きにしている。
泣きじゃくる日奈太を連れて行くより、ずっとリーズナブルなのではないだろうか。
私が仕事を頑張って、どうにか稼げば良いだけなのだ。