
日本映画祭とクレヨンしんちゃん
プノンペンで、第8回カンボジア日本映画祭(Japan film festival)が開催中。
国際交流基金から招待していただき、家族でオープニング上映の『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』をみて来た。

日本映画祭は、国際交流基金が主催する映画祭。日本の映画にクメール語字幕をつけて、色々な作品が上映される。
特に今年2023年は、日本とカンボジアは外交関係樹立70周年を迎えるのを記念して、30作品を超える作品が公開。
鬼滅の刃から、キングコング西野原作の『えんとつ町のプペル』、小津安二郎作品まだ幅広い作品がプノンペンで見ることができるのだ。
今回、息子の日奈太にとって、初の映画館での長編映画鑑賞。「耐えられるかなぁ」と、心配していたが、見ながら「怖い、怖い」と、怯えていながらも最後まで鑑賞仕切れた。
クレヨンしんちゃんなのに、怖がっていたのである。
今回見た『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』とカンボジアとの関わりも深いようだ。
日本画家の山田隆量氏が経営するカンボジアに拠点を置くアニメーション制作会社『YAMADA ANGKOR ANIMATION』が背景制作を担当しているのだ。
そして私にとっても、大学生時代2001年9月に初めてカンボジアへ来たときに『クレヨンしんちゃん』との、深い縁があった。
クレヨンしんちゃんは新しいコミュニケーション手段
思い出はほぼセピア色。
十七年前のプノンペンは、砂けむりが吹き上がる発展途上国のイメージ通りの街だった。トゥールスレイン強制収容所やキリングフィールドの生々しさが、ポルポト内戦の爪痕を強く感じさせた。
そんな旅の最中のある晩、ふらふらとローカルのクイティウ(カンボジア麺)の屋台に立ち寄る。
指差し注文をテキトーにして、座席に着く。
すると屋台のカンボジア人のおばちゃんが
「What your name??」
とカタコトの英語で聞いてきたので、こちらからも聞き返す。
おばちゃんは笑いながら、
「ミサエ、ミサエ」
と答える。
訳も分からず不思議そうな顔をしていると、おばちゃんは続けてその辺で走り回っている自分の息子を指差して
「シンチャン、シンチャン」
と言い出した。
それは、日本のテレビアニメ『クレヨンしんちゃん』の登場人物のみさえとしんちゃんのことを言っていたのだ。息子さんは野原しんのすけの様にいたずらっ子で、おばちゃんはいつもしんのすけの母・みさえのようにガミガミと怒っていると言いたかったのだろう。
言葉の壁がある中で、日本のアニメーションを通じてカンボジア人とコミュニケーションが取れたことに、単純に感動した。
これは写真なんかを撮っている場合じゃないと感じ、フォトジャーナリストからアニメーションの世界へと興味が移って行った。
ある意味、『クレヨンしんちゃん』は、私とカンボジアを繋いでくれたのだ。
そんなことを思いながら、息子といっしょに見る『クレヨンしんちゃん』は感慨深かった。
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