カンボジアのテレビ体操【第2回ワッティーってなに?】
カンボジアへ来て3年経った2015年、ワッティーとインディーいうキャラクターのデザインを作った。しかし、キャラクターを作ったからといって、それがすぐに『キティちゃん』や『ドラえもん』のようになるわけではない。
みんなに知ってもらわなければ、それは単なる落書きだ。
当時、まだ通訳だったJessyAnと議論した。どうすれば、ワッティーとインディーはカンボジアで有名になるのか?
出てきた意見が、カンボジア人は「体操」や「ダンス」が大好きだということだ。確かにカンボジア人は夕方になると、リバーサイドや公園でエアロビのような、太極拳のようなものをやっている姿をよく見かける。
そして思い出したのが、カンボジアで体育教育の普及を行なっているNPO法人ハートオブゴールドだった。
NPO法人ハートオブゴールドは、オリンピック銀メダリストの有森裕子さんが立ち上げたNPO法人。『スポーツを通じて希望と勇気をわかちあう』を掲げ、アンコールワットハーフマラソンなどの『スポーツを通じた開発・支援』を行っている。
カンボジアに来たばかりの時に、そのハートオブゴールドのカンボジア現地所長の西山直樹さんから、カンボジアの体育教育のために、カンボジア伝統の『クメール体操』というリズム運動の普及の相談を受けていたのを思い出したのだ。
クメール体操とは、ポルポト内戦以前までは、カンボジアの人々の多くに知られた伝統的な体操だったらしい。しかし、多くの教育者が虐殺されてしまったため、その体操を教えることができる人は途絶えてしまっていたのだ。
すぐに電話してみた。
2年ぶりにハートオブゴールドにコンタクトしてみると、プロジェクトは進んでいた。リズム体操を含めた教員用の体育教育指導書をカンボジア全国の学校に配布し、カンボジアの教育省の面々を日本へ連れて行き筑波大学でリズム運動の視察・指導などを進めている最中だった。
そして、やはり動きのある『体操』を広めるのには、紙の教科書に載せるだけでは伝わりづらい。そこでワッティーとインディーを使わせてもらって、クメール体操のアニメーションを作ることになった。
アニメーションは私が作り、背景のデザインは当時インターンだった貝塚乃梨子さんが担当。音楽は青年海外協力隊だった清水ちえみさんに作曲して貰った。クメール語の歌詞はJessyAnやHeng Kakadaなど当時のメンバーと一緒に考えた。(日本語版のクメール体操はこちら)
そこからはとんとん拍子。サンプルを作り、教育大臣にみてもらい、JICA草の根の予算がついて、完成したのがアニメーションはカンボジアの国営放送TVKで放送された。毎朝6時50分から、4年間ほど放送は続いた。
こうして、ワッティーとインディーのプロジェクトは動き出したのである。
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