社会課題の解決法を語る日常を目指して。
「わたしのソーシャルビジネス物語」はソーシャルビジネスに携わる人を発信する企画です。読者の皆様に「ソーシャルビジネスを身近に感じてもらうこと」を目的として運営されています。
社会課題をビジネスの力で解決する。ソーシャルビジネスだ。様々な社会課題を日常生活で話し合う。そして、それがどのようにすればビジネスで解決されるか話し合う。そんなテーマで話す人が当たり前の日常を目指している人がいる。現在は株式会社小さな一歩で経営戦略室室長で働き、自身も起業家である南様にお話を伺った。
南 翔伍(みなみ しょうご)|三重県出身。株式会社小さな一歩経営戦略室室長。新卒でSEOコンサル会社に就職。その後、福祉領域のベンチャー企業に転職。その後、ソーシャルビジネス 関連の会社に転職をして2019年に独立後、株式会社SHIROを創業。現在は休眠中。
教員志望からITベンチャーに飛び込んだ理由
――南さんのキャリアでソーシャルビジネスに携わっている期間が長いと思うのですが、最初からこの領域に関心があったのですか。
元々は違います。最初は教員になりたくて教育学部にいました。ずっと教員採用試験の勉強をしていたのですが大学3年生の3月に『渋谷のITベンチャーに行こう!』と決めました。
それは社会科の教員になった時にビジネスを知らないのに子どもたちに『教科書に載っていないこと以外に自分は何を教えられるのか』と疑問に思ったことがきっかけです。
――いきなり凄い急展開ですね!
そうかもしれませんね(笑)もうひとつ就職しようと決めた理由がありました。
僕は大学2年生の時から子どもの貧困や障害に関する活動をしていました。その時に『対面で出会わないと支援できないモデルだと、日本全体にアプローチするには限界がある』と感じたのです。そこで、『出会わなくても支援できるモデル』を模索した結果『ウェブだ!』と思ったんです(笑)
――それでITベンチャーなのですね。でもなぜ渋谷なのですか?
当時僕は山梨大学に所属していました。IT系の企業ならどこがいいかなと考えた時に『ITといえば、東京、渋谷、ベンチャーっしょ!』と思い上京をすることにしました。その時からベンチャー経験を3年したら独立することを決めていました。
――渋谷の理由が面白いですね。(笑)3年間で身に付けたいスキルとかは決まっていたのですか?
自身が活動する中で広い意味でのマーケティングがないと社会問題解決は無理だと感じていました。社会問題の渦中にいる方にアプローチするためには、まずは集客が壁でした。行政の力だけではリーチできない層がいたし、大学時代にいたNPO法人の方々、あの時の自分だけではどうすることもできなかったんです。
そこでたどり着いたのがWebマーケティングでしたね。Webマーケティングを身につけることができれば、適切な人に、適切なタイミングでリーチでき、必要としている情報を届けることができるんじゃないかと。
その結果、Webマーケティングを学べる会社に就職しました。あとはビジネスをやる上でのポータブルスキルを身に付ける必要があるなと感じていました。なんせ、大学時代の論文・レポート作成でWordとPowerPointをちらっといじれる程度だったので、、、。
早すぎたニーズからの方向転換
――そこで修行期間を経て、3年後に独立をされたと思います。しかし、結果的にもう一度組織で働くということをされていると思いますがそれはなぜなのでしょうか。
早すぎたことですね。創業した株式会社SHIROがやろうとしていた事業はまだニーズが生まれる前でして、妄想のニーズを突いていました。いい学びになりました。
――どんな課題にどのようなアプローチを考えていたのですか。
『どうやったらある社会課題をビジネスで解決できるだろう』という日常会話が世の中に生まれていない。という課題に対してアプローチしようとしていました。
『昨日のニュース見た?』と同じくらいの感覚で『子どもの貧困をどうやったら、ビジネスで解決できるかな?』みたいな雑談が至る所で行われている社会を実現させようとしていました。
――確かに今でも全然当たり前ではないのに数年前とかだともっと普通から遠いですもんね。そもそも何故そこの課題を考えたのですか。
社会問題をビジネスで解決する。という会話を日常にするには2ステップあると考えています。
1ステップ目が日常的にある社会問題について雑談している状態、2ステップ目がその社会問題をどうビジネス(持続可能なモデル)で解決できるかを雑談している状態。。
山梨大学時代に、1ステップ目にいる人が周りから冷ややかな目でみられて浮いてしまっていると気がついたのです。それっておかしいよね。と思い1ステップ目にいる人が2ステップ目に移れないかと思い立ち、この課題に取り組み始めました。
――その課題を解決したあとにやりたいことはありますか?
日本をソーシャルビジネスにおける先進国にしたいと思っています。今僕たちは社会問題の宝箱にいると思っています。日本は熟している国ということもあり、他の国がこれからぶつかるかもしれない社会問題を抱えている国だと捉えています。
これらの社会問題をビジネスで解決することができれば、他の国に輸出することもできると思うのですよ。そうやって、日本をソーシャルビジネスにおける先進国にしていきたいと思います。そして、国連でぶいぶいしたいです(笑)
日本をソーシャルビジネスにおける先進国にするために、取った決断
――確かに、社会課題が多いことを深刻に捉える必要はないですもんね。その課題を解決したくて、今の株式会社小さな一歩にジョインしたのですか。
まず、僕にとって社会問題とは死人が出ているかどうかがひとつの軸です。その中で最も関心があるのが貧困と障害でした。
僕は相対的貧困家庭に生まれ、父からの母へのDVを間近でみる・自身への虐待の経験と発達障害の診断をうけた経験があるからだと思います。
離婚後は母が懸命にパートで働き、僕と妹を育ててくれたので、今のこの会社がドンピシャの事業をしていることがジョインする大きなきっかけでした。
――原体験からきているのですね。
あともう一つはソーシャルビジネスの領域で上場できるロールモデルになりたいと考えたからです。現在、国内でソーシャルビジネスにおいて上場している会社は多くなく、障害のある方を支援する領域が目立っています。
しっかりと事業として成り立たせ、上場できるくらいのインパクトを与えられることを証明できれば、多くのプレイヤーがソーシャルビジネス領域に参入してきて、多くの社会問題を解決できます。そこに一番近いと思ったのが株式会社小さな一歩でした。
――元々今の会社はどうやって知ったのですか?
現在の代表と前職の知り合いだったことです。当時自分はSHIROを創業していたのでとても悩みました。一度お断りしたのですが、もう一度誘ってくださってやることを決意しました。
――何故お断りをしたのにジョインをすることを決めたのですか。
お断りした理由は、やはり当時の仲間やお客様がいたからです。既に進んでいることに対してストップをかけることは非常に苦しかったです。ただ、自分の志を実現するための最短経路はSHIROを継続することではなく、小さな一歩にいくことだ!と思ったのです。本当にしんどくなる決断をしました、、、。
――その時の周りの方の反応はいかがでしたか?
仲間は『お前がそういって信じられるならそうしよう。またやる時に集まろう』と言ってくれて、ボロ泣きしました。そういって自分のことを信じてくれる仲間がいることを励みに、自分の決断に責任をもち、猪突猛進する!と意気込みました。
目の前の問題を仲間と解決し、将来の目標に向かって走っていく
――素敵な話ですね...また集まった時を是非見てみたいです!実際に涙の別れをして現在は養育費の未払い問題に向き合っていると思います。
養育費の未払いは小さな一歩調べによると、年間10兆円ほどあると推計されます。1年間でビジネススキームをめちゃくちゃ変えてきました。お客様にご迷惑をおかけすることも少なくなかったです。今ご迷惑をおかけしてしまっている分、よりいっそう養育費の未払いがなくなる社会を実現させるために必死になれました。
がむしゃらの日々の中で、仲間と共にこの変化しまくる状態に対応していくことが何よりの魅力です。
――中々難しいですもんね。
そうですね。その難しさを分かっている仲間と事業を作れることが何よりやり甲斐です。まだこの目標を達成できるか分からない。そういった道のりを仲間と共に走っていくことが最高です。
――直近の会社の目標を教えてもらうことはできますか。
養育費の未払いが0の社会を創ることが目標です。。ただ、それは10年単位のものです。あとは上場することですね。
――ありがとうございます!上場した後(もしくはその前)に南さんはSHIROを復活させると思うのですが、そこからのビジョンを教えてもらっていいですか。
僕はすべての社会問題が無くなる時代はないと考えています。というのも、その時代だからこそ生まれる問題が必ず出てくるという前提に立っています。
その前提で、人のあったかい気持ちとテクノロジーをかけ合わせて社会問題が解決されつづける人の和を描きたいと思っています。
非言語の悲しみや人に言いづらい痛みを汲みとれるあったかい気持ちと必要なテクノロジーをかけ合わせて自分が死んでも社会問題が解決されつづけるエコシステムを創っていきたいと思います。
取材/おかしょー
文/おかしょー
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