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高校時代に出会った目標に今日もまっしぐら。
「わたしのソーシャルビジネス物語」はソーシャルビジネスに携わる人を発信する企画です。読者の皆様に「ソーシャルビジネスを身近に感じてもらうこと」を目的として運営されています。
ソーシャルワーカー。社会福祉に関する専門職を指す言葉だ。高校生の時に社会福祉士を知り、ソーシャルワーカーを志した人物がいる。永田久実様だ。2019年度新卒として株式会社LITALICO様に入社。ソーシャルアクションを起こし続けられるようなソーシャルワーカになるべく、奮闘をしている永田様にお話を伺った。
永田 久実(ながた くみ)|株式会社LITALICOに2019年度新卒入社。LITALICOジュニアの児童発達支援と放課後等デイサービスの指導員、保育所等訪問支援の訪問員として勤務し、2021年8月に異動。高校生の頃からソーシャルワーカーを目指し、大学の社会福祉学科で社会福祉士、独学で保育士を取得。
直感でビビッときた、「困っている人の役に立てるような仕事、ソーシャルワーカー」
――本日はよろしくお願いします!まず初めに現在のお仕事などを教えてもらってもよろしいでしょうか。
現在、株式会社LITALICOパートナーズが運営しているLITALICOジュニアの教室(児童発達支援、放課後等デイサービス)を巡回する指導員をしています。以前は、1教室の児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援に携わっていたのですが、2021年8月に異動しました。
――元々どのようにして今の会社に出会ったのですか?
大学生の時、授業の課題でインターネット検索をしている時に知りました。しかし後ほど気づいたのですが、大学の入学前講座のテーマが「社会的企業」で、その中の1つとしてウイングル(現:LITALICO)のことが記載されていたんです。なので、実際は高校生の時から目にしていました(笑)
――高校の時からってすごいですね!でも、なぜソーシャルビジネスとかに関心を持ったのですか?
ソーシャルビジネスに関しては先ほどの入学前課題をきっかけに関心を持ちはじめたのですが、高校生の頃、元々は自分の経験から臨床心理士を目指していたんです。しかしある時、臨床心理士の方にそのことを伝えたら「あなたと同じような状況の人が来たら、自分とは異なる人として関われるかな?」と問われ、『今の私には難しい。臨床心理士を目指すのは辞めよう』と思ったんです。
――どうしても目の前の人に感情移入とかしてしまいますもんね。
そうですね、当時は自分や他者を客観的に捉えることが難しかったのだと今になっては思います。ただ、「困っている方の役に立てるようなことをしたい」という気持ちは変わりませんでした。そこで、臨床心理士以外の関わり方はないかと本やインターネットで調べていた時に社会福祉士を知り、これだ!と直感したんです。本当に直感という言葉がぴったりなくらいに(笑)それは、臨床心理士を目指していた頃から、目の前のその人だけではなく、状況によってはその人を取り巻く環境にもアプローチをする必要性があるのではないか、と自分の経験から心のどこかで考えていて。その想いが言語化されているようで、直感に従ってソーシャルワーカーを目指すことにしました。
自身の想いと一致したビジョンを持った会社との出会い
――まさに天職との出会いですね!そこからどのようなアクションをとったのですか?
ソーシャルワーカーになる上で社会福祉士を取得したいと思い、複数の取得ルートから福祉系大学等(4年)に決めました。その後、該当する大学一覧から希望する条件で検討し、一番合っていると感じたのが卒業した明治学院大学でした。ちなみに、私は岐阜県出身なのですが、せっかく時間とお金をかけて4年間も通うのなら自分に一番合うと思える大学が良いと思い、北海道から沖縄までの大学すべてを見て検討しました(笑)
――そこで受験に合格して大学生活がスタートしたのですね。資格はいつ取得したのでしょうか。
2019年2月に試験があり、3月に合格発表されました。数ヶ月前には保育士試験の受験や卒業論文の執筆、同時進行で就活やアルバイト等も行っていたので当時は本当に大変でした(笑)
ーー就活時のお話を伺いたいのですがどのような軸で就活はされたのですか。
ソーシャルワーカーとして自分はどう携わりたいのか考えた結果、これまでの自分や周りの環境から、『子どもを取り巻く社会課題の解決に向けて事業を行っている組織』で働きたいと思いました。その後、就活を通して様々な組織の話を聞く中で、一番共感したのがLITALICOの『障害は人ではなく、社会の側にある』という言葉でした。それは、社会課題に関して、問題は個人ではなく社会の側にあり、目の前の人に加えて社会の仕組みにもアプローチすることが大切だとこれまでの経験や学びからの考えがあったからです。
――そこから内定まではどんな流れだったのですか?
面談の中でアルバイトを提案して頂き、2018年4月から非常勤として働きはじめました。その後、面接や面談を繰り返し、2019年2月に2019年度新卒として内定が決まりました。
現場で働くからこその喜びと悩み
――おめでとうございます!そこから晴れて希望の会社に就職したと思うのですがこれまで働いてきた2年半はどうでしたか?
まず、ファーストキャリアがLITALICOで本当に良かったと思っています。
大学では実習はあるものの座学が中心で、子どもの困りや生きづらさに関して、文面だけでは分からなかったことを知ることができました。「あ、これってそういうことだったのか!」と。そして本当に微量ではありますが、お子さまとの関わりを重ねる中で視点やアプローチの幅が広がって自分にできることが増えたこと、それが少しでもお子さまの困りの解決に繋げられたのではないかと思うと嬉しいです。
また、そもそもLITALICOのビジョンや言葉に共感して入社したため、業務を通して、目指す方向に向かっていることにやりがいを感じています。
――具体的な業務はどんなことをしていますか?
これまで携わってきたのが、児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援です。
まず、児童発達支援や放課後等デイサービスでは、個別支援計画の作成・お子さまのソーシャルスキルや学習等のサポート・親御さまとの関わり、など。
保育所等訪問支援では、お子さまが通っている通所先(園や学校)を訪問させて頂き、先生方や親御さまと連携しながら、お子さまをサポートします。
その他、事業を行っている教室の運営業務もあります。
――大変なことはありますか。
正解のないお子さまに対するアプローチについて、日々悩みながら向き合っています。
――もう少し具体的にお聞きしたいのですがどういったものなのでしょうか?
ある困りに対するアプローチ方法を検討・実施する上で、お子さま一人ひとりの背景、取り巻く環境、スキル、特性など多角的な視点を用います。
例えば、「自分の思い通りにいかない時に自発的にクールダウンすること」を目標としているお子さまがいたとします。
まず、思い通りにいかない時と言っても様々な状況が考えられます。ゲームで負けた、多数決で他児が提案した遊びに決まった、何らかの行動が自分だけでは上手くできない、今やりたいと思うことができない、遊びの中断・・・。そのお子さまは何の受容が難しいのか・なぜ難しいのか・どんなクールダウン方が良さそうか・獲得に向けてどのようなステップで進めていくか等、親御さまや通っている園の先生方へのヒアリングや、アセスメントなどを通して考え、計画を立てていきます。
そして、実際にアプローチをする時は、お子さまの状況を見ながら進めていきます。その中で「計画のクールダウン法より別の方法・獲得ステップが良さそうだ」ということも起こり得ります。
さらに、その時のお子さまの状況も、例えば寝起きで機嫌が悪い日は「今日はより難しい可能性が考えられるから、少しステップを下げて行おう」等と影響します。
日々の天気のように、お子さまに一日たりとも同じ状況はありませんので、インテーク・アセスメント・・・と繰り返しながらアプローチしています。
なぜ?どうしたら?と悩む日々ですね(笑)
ソーシャルアクションをし続けられるようなソーシャルワーカーに
――私たちも対象者は違えど近しいことをやっているのでとても参考になります!では、最後に今後のキャリアに関して伺いたいです。今後のキャリアの展望をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。
まだ悩んでいるところではありますが、子どもに対して、これまで以上により間接的なアプローチも行っていきたいと考えています。やはり、目の前の人に加えて社会の仕組みにもアプローチすることが大切、という根底の想いが強いですね。
――具体的にはどんな関わり方があるのでしょうか?
一例ではありますが、スクールソーシャルワーカーや児童福祉・教育現場のソーシャルワーカーなどでしょうか。組織形態も、企業、NPO、行政と様々ありますよね。
もちろんLITALICOでの現在の働き方の中でできることや、異なる形での関わり方もありますし、組織内で働くソーシャルワーカーではなく、独立型ソーシャルワーカーという選択肢も考えられます。
――確かに様々な組織や関わり方がありますね。最後に、ソーシャルワーカーに対しての想いを教えて下さい。
私にとってソーシャルワーカーは、高校生からの夢で今も変わらずやりたいことの1つです。ただ、以前はソーシャルワーカー自体がやりたいことでしたが、今では手段の1つへと変化しました。子どもを取り巻く社会課題へのアプローチの方法は、ソーシャルワーカー以外にも様々ありますので。
とはいえ、やはりソーシャルワーカーに対する想いは一倍強く(笑)
その想いに対する現状のギャップ、自分の力不足さを痛感する日々なので、今後も自己研鑽や実践を重ね、ソーシャルアクションをし続けられるようなソーシャルワーカーになることで、社会構造の課題解決に繋げていきたいです。
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文/おかしょー
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