身近に感じる「ビックモーター事件」、内部告発できない社員、同調圧力(その2)
あなたは不正が見え隠れした時、内部通報出来るでしょうか?
(ビックモーター事件、前回はこちら)
タイトルのような事言われて、「はい、通報できます」 なんて言える人は何人いるでしょう? まずいないだろうと思う。
上(管理者や経営者)が間違っている、不正行為を指示していると思っていても、なぜ上の言うことを聞くのか。上は部下が間違っていたりすると怒ることもあるでしょう。(極端な話)上が、白い物を黒と言えば、当事者も黒と言う世界に感じる。 また、これは日本企業独特のものなのだろうか?
(誤解なきよう)言い方を変えると、日本の従業員や会社員は奴隷なのだろうか?とふと頭をよぎる。やはり日本独特のDNAなのか…
企業の上下関係と奴隷制度について考えると…
"奴隷"についてAIで調べてみると、下記のような答えが返ってきた。
奴隷制とは、奴隷が身分ないし階級として存在する社会制度であり、有史以来あまねく存在したが、時代的・地域的にその現われ方は複雑かつ多様であった。
現代における奴隷制度は、従来の定型的な奴隷のイメージに必ずしも当てはまるものではなく、第三者も当人も気づきにくいのが特徴である。
日本の企業の上下関係と奴隷制度を比較することは一概にできないのは百も承知、そんな物は当然存在しない。法的にも道徳的にも許されない。
一方、上下関係には、組織の秩序や安定を保つ機能や、部下の成長を支援する機能もあるのだが、問題なのは、上下関係が健全でなくなったときに、どう対処するかだ。
そしてそれは、 "第三者も当人も気づきにくい"と言ったところに問題があるのではなかろうか? 当人が やっていること、上が指示していることが理不尽であっても理不尽と言うことが感じなくなっているのだ。
上が「白」いものを「黒」と言ったとき、あなたは「黒ですね」と言うのか、「グレーっぽいですね」と言うのか、「いや、白ですよ」と言うのか、、、あなたなら何と答えますか?
内部通報者には守られる権利はあるのだが…
人間心理から考えてみると、当人がやっていることが理不尽であっても、理不尽だと感じなくなることはあり得るらしい。人間は、自分の行動や判断を正当化するために、自分の信念や態度を環境や状況に合わせて変えること、これを「認知的不協和の解消」と言うらしい。
ビックモーターのこの事件は、内部通報者からの発覚ではなく、外部の指摘によって発覚した。推測だが内部通報制度や内部通報体制はなかったのであろう。もしくはそんな物があること自体知らないだろう。(会社員とはそんなものだ)
日本では、内部通報者を守る仕組みとして、「公益通報者保護法」という法律があるらしい。
国民生活の安全・安心を損なう企業不祥事による被害拡大を防止するために通報する行為を正当な行為として事業者による解雇等の不利益な取扱いから保護することを目的とされている。
通報者が保護されるための要件
通報者が事業者に対して労働契約等を結んでいること
通報者が事業者の不正行為や違法行為を知ったこと
通報者が公益目的で通報したこと
通報先
事業者内部 (上司や内部監査部門など)
行政機関 (消費者庁や警察など)
弁護士や社会保険労務士などの法律専門家
マスコミやNPOなどの公益目的で活動する団体
事業者の義務は、
内部通報制度や内部通報体制の整備
内部通報者への不利益取扱いの禁止
内部通報者への秘密保持
内部通報者の権利は
不利益取扱いを受けた場合の救済措置 (損害賠償請求や解雇無効確認訴訟など)
不利益取扱いを受けそうになった場合の差止請求
身元情報等の開示請求
守られる権利はあれど…
守られる権利はあれど…でもやはり起きてしまう企業の不祥事。 以上のような考察から人間心理をひもといてみると、 元から備わっている"個人の道徳観、個性、正義感、DNA"と" 企業に属してからの同調圧力"のせめぎ合いなのかと思ってしまいますが、皆さんはどう考えますか?
(続く)