人を癒す、優しい「魔女」たちが集まるお祭りを ―― "魔女フェス"主催者 稲嶺あかり 【地域と歩むまちづくりvol.6】
こんにちは。沖縄県名護市の「地域の公園」coconovaです。
このnoteでは、coconovaをキッカケにあたらしいことを始めてくれた人たちのインタビューをお届けしています。
今回は、coconovaで貸し切りイベント「ヴァルプルギスの夜」を主催した、月灯燈の稲嶺あかりさんをご紹介したいと思います!
"魔女フェス"ってなんのこと?
2022年4月にcoconovaで開催された「ヴァルプルギスの夜(通称:魔女フェス)」。主催の稲嶺さんは、イベント名をヨーロッパの有名な行事から名づけたといいます。もともとの意味は、「ドイツのブロッケン山にて魔女達が、5月1日を祝福する為に夜な夜な集まってお祭り騒ぎをする」行事のこと。coconovaのヴァルプルギスの夜にも、たくさんの「魔女」たちが集まりました。
「私の中で、魔女っぽいと感じる職種の人たちをお呼びしたんです。ヒーリングだったり、占いだったり、薬草やハーブ、アロマ、天然石を扱う方だったり。みんな総合して『魔女』って呼んでるんですけど。今回のイベントでは、そういう人を癒したり整えたりする仕事をしてる方に出店していただきました」
実際にはじまるまで、どんな雰囲気なのか謎に包まれていたヴァルプルギスの夜。当日は、coconovaの駐車場が全て埋まってしまうほどの大盛況になりました。わざわざ中南部から訪れるお客さんもいたり、「次はいつ開催するの?」という問い合わせも多く、稲嶺さんも予想外の反響に驚いたそうです。
「もともと、業種の壁を超えたイベントをしたい、って思ってたんです。ハンドクラフトの出店者が集まるイベントでもなく、ヒーリングの出店者が集まるイベントでもなく、もっと広いくくり――魔女っていうテーマに沿って出展者を集めたら面白いかなって」
小さいころ、ジブリの『魔女の宅急便』の主人公のキキに憧れ、魔女になりたいと思っていた稲嶺さん。タロット占いにハマっていた時期もあったそうです。大人になって、天然石を使ったハンドクラフトの活動を続けていくうちに、「稲嶺さんって魔女だよね」と言われ始めたといいます。
「私が魔女だったら、知り合いにも魔女はたくさんいるよ、って話になったこともあって(笑)。小さい頃は、魔法使いになりたいと思ってたし、魔女のこともずっと好きです。雑貨屋さんはじめたのも、昔からそういうイメージを持ってたからかもしれません」
子育てを経てたどり着いた「住居&アトリエ&お店」
生まれも育ちも名護市の稲嶺さんは、絵を描くのが好きな子どもでした。20代半ばの頃、当時流行っていたフェイクスイーツを作り始めたことがきっかけで、モノづくりをはじめたそうです。関東や中部など、日本各地を転々としながら暮らしていた稲嶺さんが、名護に帰ってきたのは2013年のこと。帰ることになったきっかけは妊娠でした。子育てに忙しかったあいだは、モノづくりも中断していたといいます。
「でも息子が入院するほどの重度のアトピーになったとき、妊娠前に好きだったアロマにまた興味が出たんです。アロマオイルとか、アロマクリームって、アトピーに効くんですよ。そういうの勉強しながら、石鹸やクリーム、キャンドルをつくるようになって、ちょっとずつモノづくりも再開していきました」
自分の作品も揃ってきて、月に一回ぐらいのペースでイベントに出店しはじめた稲嶺さん。本業とは別に活動するのは体力的にもキツく、「イベントはもういいや」と感じていた時期もあるそうです。しかし、子育ても落ち着き、イベントにも慣れてきた稲嶺さんは、月に3、4回出店しても平気になっていったといいます。
「自分って意外に動いていたいタイプなんだ、って途中から気づきましたね。モノづくりしたり、イベント出店したりするのは、本業の仕事の息抜きになるんですよ。いまは、子育ても制作も販売も全部が楽しいですね」
現在、稲嶺さんが制作しているのは天然石のアクセサリーや粘土細工のオブジェなど。すべて植物由来の素材でできたアロマキャンドルも制作しています。その他、染物や、沖縄の薬草をつかった商品もつくっているといいます。
「2017年から、月灯燈という名前で活動をしてます。去年の夏には、自宅の一部を改装してお店にしました。ずっと雑貨屋をすることが夢だったので、『住居&アトリエ&お店』で制作と販売ができるのはとっても嬉しいです」
"小さなチャレンジ"を積み重ねる”という最強の魔法
ヴァルプルギスの夜のイメージは、半年ほど温めていたといいます。はじめは小さい場所で、10店舗ぐらい呼んで開催しようと考えていました。イベントの主催をしたことがない稲嶺さんは、経験のある知人と共同で準備をすすめていたそうです。
「当初は、coconovaではない場所で企画してたんです。でも、いろいろあって一か月前に開催できなくなってしまいました。諦められなくて場所を探してたら、たまたまcoconovaが空いてたんです。2週間ぐらいしか準備期間がなかったので、めっちゃ焦ってたんですけど(笑)。なのに結果的に、20店舗以上を巻き込む大きなイベントになりました」
人見知りな性格の稲嶺さんは、出店者にひとりひとり声掛けするのが大変でした。直前だったこともあって、出店を断るひとも多かったそうですが、仲の良い同業者や、自分が好きな人たちとイベントをしたい、という気持ちは強かったといいます。
「主催をやってみて、自分はけっこうつなぎ役が向いてるのかもしれない、と感じました。イベントを通して、職種とか活動のジャンルの壁をなくしていきたいな、と改めて感じましたね」
お客さんのリクエストに応えて、今年の10月にもう一度、魔女イベントをすることになった稲嶺さん。こうした嬉しい反応もすべて、今まで少しずつチャレンジを積み重ねたからつくることができた、と語ります。
「『自分にはちょっと……』みたいな感じで控えめな方も多いんですけど。でも、私も人見知りだし、コミュ障だけど、ヴァルプルギスの夜みたいに、けっこう大きめのイベントの主催ができた。それは私が周りに恵まれてることもありますが、いろんな経験をしたり、人と意見を交換したりしてきたことの積み重ねで少しずつ、できるようになってきたことだと思う」
最近になり、『魔女の宅急便』の空飛ぶ少女キキから、キキのお母さんの方に感情移入するようになってきたという稲嶺さん。それは、キキのお母さんが、おまじないや薬を通じて、家族やみんなの心身を癒す仕事をしているから。「人のために尽くしたり、社会貢献する魔女さんに憧れてます」という稲嶺さん。次はどんな楽しい雰囲気をつくってくれるんでしょうか。これからも魔女たちの活動に注目です。