葬儀屋の生花づくりを通じて気付いたドライフラワーの魅力――ann.松川杏さん【地域と歩むまちづくりvol.3】
こんにちは。沖縄県名護市の「地域の公園」coconovaです。
このnoteでは、coconovaをキッカケにあたらしいことを始めてくれた人たちのインタビューをお届けしていきます。
今回は、coconovaのフリーマーケットに出店してくれている、ドライフラワー屋「ann.」の松川杏さんをご紹介したいと思います!
葬儀屋さんで学んだフラワーアレンジメント
coconovaのフリマに出店した「ann.」の店主、松川杏さんの自宅は、ドライフラワーの制作所。ひまわりやかすみ草、ユーカリなど、色とりどりのドライフラワーが壁に吊るされています。
電話やInstagramで注文を受けると、手際よくそれらをカット。ブーケやスワッグ(小さな花束)をつくってゆきます。松川さんがフラワーアレンジメント(花のデザイン)の基礎を学んだのはちょっと意外な場所でした。
「前に勤めていたところが、花の仕事も取り扱う葬儀屋さんだったんですよ。ほら、葬儀のときって花も置くじゃないですか。そこではお店をオープンする時に贈る花も扱ってたので、葬儀も含め、いろんなシチュエーションのフラワーアレンジメントを経験できたんです」
当時の松川さんの「師匠」は、生花の仕事に50年以上携わってきた大先輩。まだ仕事に慣れなかった頃は、松川さんの花をすべて差し替えられることもあったそう。「めちゃめちゃずっと怒られてました」と笑う松川さんは、「でも師匠にビシバシやってもらったからこそ、いまの私があるかな」と振り返ります。
「ずっと心がけているのは、自分の中で感じた感覚と、お客さんの中で浮かんでいるイメージを近づけていくこと。そのために、どんなシチュエーションでお花を渡すかとか、どんなお花が好きかとか、お客さんとおしゃべりしながらちゃんと聞こうと意識しています」
偶然出会ったドライフラワーに魅了されて
葬儀屋に勤めていたときは生花が中心でしたが、仕事で出品した花を回収しているときに、ふとしたきっかけからドライフラワーと出会います。
「出品した生花がたまたま綺麗に枯れて、自然にドライフラワーになっていたんです。そのとき、なんだかとっても感動して。それからドライフラワーの作り方を独学で学び始めるうちにどんどん好きになって、気づいたら、自宅でブーケとかスワッグとかを作り始めてました」
その後、ドライフラワーショップ独立を目指すことにした松川さんは、勤めていた葬儀屋さんを退職。今年から、実店舗開業に向けた準備のために動きはじめています。
「まだ何の準備もしてない段階で、Instagramに『年内オープンします!』って投稿したんですよ(笑) ちょっと言うの早かったかもしれないけど、モチベーションを高めるためにも、有言実行でいこうと思ったんです」
Instagramやワークショップ、卒業式、coconovaで活躍する「ann.」
現在、松川さんのお店「ann.」は、実店舗の営業に先がけて、InstagramのDMや電話で仕事を受注しています。4月には、名護市東江のアルマールカフェで、子供向けのフラワーアレンジメントワークショップも開催しました。4児の母でもある松川さんは、娘の卒業式でもドライフラワーの制作を行う機会があったといいます。
「お母さんたちを集めてドライフラワーでコサージュをつくったんですよ。完成したものは、当日の朝、みんなで子供たちの胸につけていきました。感動して涙を流しているお母さんもいましたね……。みんなに『いい思い出できた〜』って言ってもらえたので、やってよかったです」
松川さんは、3月に開催されたcoconovaのフリマにも出店。さまざまな人が集まるcoconovaに出店すれば、さらに活動の幅を広げられると考えたそうです。フリマでは、お客さんと話しながら即興でフラワーアレンジメントを行うなど、パフォーマンスも工夫しました。
「出店してみて驚いたのは、フォロワーが50人ぐらい増えたことですね。いろんなひとがメンションしてくれたので、ほんと嬉しかったです。私のお店『ann.』のことをたくさんの人に知ってもらう機会になりました」
目指すのは、気軽に話しに行ける花屋
「お店やるって決めてから、『わたしもうお店しかやらないから』『ぜったいやるから』って周りに言いまくってたんですよ。私、ちょっと強気すぎですかね。『ぜったいみんな喜ぶはず』とかも言ってました(笑)」
インタビュー中、気持ちいいテンポのトークでたくさん笑わせてくれた松川さん。気さくな雰囲気で、話し相手を楽しませるのが上手なひとでした。そんな松川さんに「どんなお店をつくりたいですか?」と尋ねると、「ふらっと遊びにいけるようなお花屋さん」という答えがかえってきました。
「『ちょっと時間が空いたから、おしゃべりしにいこう』と思えるぐらい、気軽に来られるお花屋さんにしたいんですよね。おしゃべりして、お客さんひとりひとりのこと知りながら、ひとりひとりに合ったお花をつくってあげたいと思ってるので」
生花とドライフラワーのお店「ann.」は、今年の12月ごろにオープン予定。場所は、名護市為又の名桜ボウル付近。近くのご飯屋さんに行ったついでに、ちょっと「ann.」に寄るのもいいかもしれない。そのときはきっと、今のあなたの気分にぴったりなお花を松川さんがチョイスしてくれるはずです。