レアルマドリー×チェルシーが面白かった件
皆さんこんにちは。初投稿になります。サッカーを見る人です。
普段はボッチ大学生活をしておりまして、一人で(オンライン)授業を受ける → 夜な夜な海外サッカー観戦に勤しむ → 一人で授業を受ける(以下ループ)という生活を送っていますが、そんな生活も退屈になってきたところなのでいっちょサッカー記事でも書いてみるか……とww
こんな軽いノリで今回の記事を書いてみたいと思いますww 取り上げる試合はCLより「みんなの憧れ大正義軍団」レアルマドリー VS「油、油と言われつつ地味に下部組織から有望株が生えてくる系金満」ことチェルシーの注目カード、そのファーストレグです。
ジダンの奇策? 3-5-2の是非について
こちらがフォーメーションです。
注目すべきは何と言ってもジダンが4バックではなく、3バックを選択してきた点ですね。あまりレアルの試合を見ているわけではないですが、普段の試合では4-3-3で戦うチームであったと記憶しているので今回の3-5-2はチェルシー対策として採用したとみて良いと思います。(少なくとも4-3-3で戦うという選択肢が存在したのは事実でしょう)
では、ジダンの選択した3-5-2にはどんな意図があったのでしょうか? 個人的な見解を先に述べると、攻撃面においては「ビルドアップにおける数的優位」を、守備面においては「マンツーマン気味に掛けるハイプレス」を狙おうという意図であったと考えます。
現代サッカーにおける「数的優位」
「ビルドアップ」は簡単に言うと攻撃のための下準備みたいなものです。サッカーの試合を見てると後ろの方でボールを回していますが、あれがビルドアップです。だいぶ説明が雑ですね。ビルドアップが上手くいくとポゼッション率が上がりますし、攻撃も上手くいくようになります。ちなみにビルドアップで優位を得ることによるメリットは他にも多々ある気がしますが今回の説明ではそこも省略します。
ビルドアップを含め、攻撃を上手くおこなうために必要なことは多々ありますが、それが何なのかを分かり易く説明するために頭の良い人が3つの言葉を発明してくれたらしいです。それが「数的優位」「質的優位」「位置的優位」です。
「質的優位」はざっくり言うと個人技術のことです。「メッシぐらい上手かったら適当にやってても攻撃が上手くいくわいww」みたいな感じです。
「位置的優位」は良いポジショニングをすれば攻撃が上手くいくよね? という概念です。よくラブコメなんかだとクラスの席替えで四方を美少女に囲まれた絶妙な場所に席を配置される輩がいますが、あれも位置的優位といって良いと思います。
そして今回取り挙げたいのは「数的優位」です。これは、攻撃において「1vs1」より「2vs1」、もしくは「3vs1」の方が上手く攻撃がいくよね? だから攻撃するときは攻撃側の人数が多くなるように工夫しようね? という概念です。
もちろん、基本的には相手が退場しない限り11vs11なのですが、例えばサイドで2vs2の闘いが見られるようにサッカーにおいては切り分けられた局面というものが存在しています。その局面において数的優位を作ることがサッカーにおいて重要になってくるということです、たぶん。
はまらなかったジダンの狙い
3つの優位を確保すればビルドアップが上手くいくよね~という話でしたが、逆に考えると守備においては3つの優位を作らせないことが重要であるとも言えそうです。
では、ジダンはチェルシーに3つの優位を与えないためにどのような策を講じたのか? その答えが「守備時は3-4-3に可変することによってマンツーマンに近い形で守備する」というものでした。
3-4-3に対して同じく3-4-3を採用しマンツーマン気味に守備をする手法は良く見かけるものですし、むしろこの対応策はジダンの采配力が光った一手と言える可能性すらあるな……と上から目線でニヤニヤ考えながら試合を見てました。
ただ、残念なことにこの策はあまり上手くいきませんでした。理由は2つあります。1つ目はチェルシーの選手たちの個人技術の高さ、二つ目はマウント&プリシッチのポジショニングの巧みさです。
まずチェルシーの選手たちの個人技術についてです。これについては流石、世界のトッププレイヤーたちだと言う他ないと思います。レアル側も運動量を切らさず良いプレスを掛けていたと思うのですが、チェルシーの選手たちはマンツーマンでも中々ボールを奪われないんですよね。
個人的に圧巻だったのは21分のシーンで
レアルの素晴らしいプレスでサイドに追い詰められますが
3人の有機的な絡みによって………
見事にプレスの網をかいくぐってます。このシーンでは狭いスペースでパスを繋ぎきる技術の高さはもちろん、適切な距離感の取り方や動きを止めないオフザボールなど個人戦術のレベルの高さも光っています。
仮にチェルシーが彼らのようなトッププレイヤーの集まりではなく僕のような県大会1回戦負けレベルの選手の集まりであれば、レアルのプレスが掛かりまくりのショートカウンター祭りになっていたのは想像に難くないでしょう。
さらにマウントとプリシッチのインテリジェンスがレアルを苦しめます。上の図のようにレアルはマンツーマン気味に守ることによってチェルシーの数的優位を消そうとしています。
しかし、チェルシーはヴェルナーがレアルのDFラインをピン止めしつつ、マウント&プリシッチがMFの位置まで下りてきて数的優位を作ってしまいます。
実際には↓のようなシーンも見られます。
このシーンではマウント&プリシッチの加勢により、MFの位置で3vs2の状況を形成していることがわかると思います。これが選手個人の判断なのか、あらかじめトゥヘルが仕込んでいるかどうかはわかりませんが、効果的な動きとして機能していること自体は間違いないでしょう。
また、マウント&プリシッチの少し下がるポジショニングはバイタルエリアに居座ることを意味していました。バイタルエリアは守る側から見てDFラインとMFラインの間のスペースにあたる部分を指す言葉ですが、このスペースは裏のスペースの次にゴールに近いエリア → 裏のスペースの次に使われてはいけないエリアということになります。
MFの位置でチェルシーが数的優位を作っていることにより、バイタルエリアにいる二人を捕まえきれないシーンが散見されたというわけですね。
(なぜバイタルエリアを使われてはいけないかを詳しく知りたい方はサッカー店長さんのブログを是非ご覧くださいww めちゃくちゃ分かり易く書かれてます。)
”安全策すぎた?” レアルのビルドアップ
一方、攻撃面におけるレアルの狙いはどうだったのでしょうか?
前述したように、ビルドアップを優位に進めていくためには3つの優位を確保することが重要です。ジダン監督はその基本にのっとり、自軍のビルドアップにおいて数的優位を確保できるよう3-5-2のシステムを組んできました。
3トップに対して敢えて”同数”になる3バックを採用したのは、頻繁にDFラインまで降りるクロースの特性を念頭においた布陣であったと見ています。思念波でジダン監督と交信しましたが、やはりクロースの特性を意識しての布陣であると言っていたので間違いないでしょう。この布陣により、まずはチェルシーの3トップに対して数的優位を確保しました。
さらにモドリッチが時にカルバハルとポジションチェンジをするほどサイドに流れ右サイドで数的優位を形成します。左サイドにはヴィニシウスが流れマルセロが中に入る関係性をつくり、やはりサイドで2vs1の数的優位を形成しています。ヴィニシウスがサイドに流れる動きは、ヴィニシウスの突破力を活かす狙いもあったように思います。
この動きによりビルドアップにおいて数的優位を作ることに成功し、安全にボールを回せるようになりました。チェルシーのプレスを受けてのボールロストは殆ど無かったと言っても良いと思います。
ただ、ビルドアップに成功した裏でデメリットも生まれてしまいました。中央に人がいないため中央の崩しが機能しない問題です。
このシーンは象徴的だと思います。後ろに人数を割いているので安全にボールを回せるのですが、崩しの局面に入るとブロックの中に選手がいないことが仇となります。
また、ブロック内に入る頻度の高い選手がマルセロであったり↑の画像のようにカルバハルであったりしますが、両者ともに本職がSBであるためブロック内の狭いスペースでの仕事が本職の選手(マウントなど)と比べると、ブロック内でうけるという点に関してはクオリティの差が出てしまっていたようにも思います。
これはカルバハルやマルセロの能力が劣るというよりも、選手の適正の問題であると思います。餅は餅屋にというやつですね。
チェルシーとレアルのビルドアップは対象的でした。チェルシーはレアルの激しいプレスの中でもMFが中央から動くことは無く、DFラインで数的優位を作ることを諦めた代わりに中央のエリアで数的優位を作ることに成功しています。
もちろんリスクもあり一概にどちらが良いと決めれる問題ではないと思います。チェルシーはレアルのプレスを受け高い位置でボールを失うシーンもあり、仮にこの流れから得点が決まっていればチェルシー側の対応がクローズアップされていた可能性はあり得るでしょう。
ただし、今回の試合に関しては勇気を出してリスクを背負ったチェルシーのビルドアップに軍配が上がったと感じています。
試合を動かす”個”
後半に入るとホームで同点ということもあり、レアル側のビルドアップが変化します。
まず前半と比べてナチョがSBのように高い位置まで進出し、幅を取るシーンが増え始めます。さらにマルセロ、ヴィニシウスに代わりアザール、アセンシオの両者が投入され、特にアザールはほぼトップ下のような位置でプレーし始めました。
個人的には、こちらの布陣の方が機能していたかな?とも感じました。後ろの枚数が減ったことによりリスクは上がってますが、レアルの圧倒的な個の能力で十分にペイできていると思います。
一方のチェルシー側も、強まるレアルの圧力に屈することなく堅固な守備で守り切ったのは見事だったと思います。さすが堅守のチェルシー。
ジダンは後半に入り守備面でも修正を加えてきました。モドリッチがMFのラインにとどまり、プレスを掛けることなく引き気味で守らせる変更です。引いたレアルのブロックは非常に堅固であり、チェルシー側も攻めあぐねてしまいました。後半に入り直ぐに修正が入るのは流石CLを3連覇した監督なだけはありますね~。ここら辺のレベルの高い采配対決はCLの醍醐味と言っても良いのではないでしょうか?
最後にこの試合を動かした”個”についても触れるべきですね。もちろん、CLベスト4ということもあり出場した全員が素晴らしい個人能力の持ち主でした。「もしワシがこの中に入っても普段のイメージ通り、チームを勝利に導くハットトリックを決めることができるのだろうか……」なんて不安も浮かんできたぐらいですww
とはいえ、出場した25人の中で最も輝いた選手を選ぶなら、やはりカンテになるのではないでしょうか?
「お前に言われんでもわかってるわww」との温かい声援も聞こえてきそうですが、この選手の素晴らしい点は豊富な運動量により全局面に顔を出せることにつきると思います。運動量と守備力に目が行きがちですが、基礎技術がしっかりしており攻撃の局面においても安定した繋ぎとダイナミズム溢れる持ち運びを見せてくれる選手ですね。その圧倒的なダイナモっぷりには、カンテが何人もいるかと錯覚する人まで現れたとか。
???「いや~カンテ今日4人ぐらい居るんじゃないかって思わせるぐらいですよねグランド上に」
というわけで初投稿記事でした。ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。2ndlegでは両指揮官がどのような采配を振るうのか、決勝に進出するのは果たしてどちらのチームなのか注目ですね。
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