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チェルシーが「対メガクラブ攻略兵器」と化していた件

皆さんこんにちは。サッカーを見る人です。

先日、ついにCL決勝戦が行われましたね。結果は皆さんご存知の通り、チェルシーが強さを見せつけて2回目となる戴冠を果たしました。


一部では、ヤバすぎるカンテのパフォーマンスを見て早くもバロンドールに推す声もあるとか無いとか……(個人的には、シーズンを通してバロンドールに相応しいかはともかく、ここ最近のカンテのパフォーマンスがバロンドール級である事に疑いは無いと思ってます。)



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(こいつ、マジでピッチに5人くらい居ないか……?)



ただし、試合に関してはカンテの超人的なパフォーマンス以外にも注目すべき点はあったと思います。今日の記事では、その注目すべき点について適当に書いていこうかな~と思います。




ペップの奇策


まずは両チームのスタメンです。

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注目すべき点は何といってもマンチェスターシティが4-3-3を採用した点でしょう。一部では「マンチェスターシティはフェルナンジーニョを採用して、3-5-2にも可変できる4-4-2を選択する可能性もある!」といった意味が分からないことを言っていた人(当アカですが……)もいるようですが、グアルディオラは全く違った策をチームに授けていました。


ただし、前線への飛び出しが持ち味のギュンドアンがアンカー起用によって死んでしまった点を含めこの奇策が戦術的に機能していたとは言い難く、一部シティズンはグアルディオラに対して怒りの感情を抱いているとかいないとか……



(このハゲ~!)

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では、グアルディオラの採用したこの布陣がどうして戦術的に機能しなかったのかについて自分の見解を説明していきたいと思います。




機能しなかった守備


その前に、まずは対チェルシーにおける押さえておかなければならないポイントをおさらいしていきましょう。



僕が書いたこちらの記事を見ていただくのが手っ取り早いと思いますが、チェルシーと戦うにあたってはインサイドハーフを絡めた中央からの攻撃への対応策浮きがちになりやすいWBの抑え方という2点がポイントとなります。

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まずチェルシーの中央攻撃は、真ん中に4枚いるという数的優位を作りやすい利点を活かす + インサイドハーフの巧みなポジショニングによって中央を突破するという仕組みになっています。

また、チェルシーのWBは対4バック戦においては嚙み合わせの関係上なかなか捕まえづらく、WBを捕まえるためにSBを動員するとSB裏をヴェルナーに突かれるという仕組みになっています。


要はこの2点を抑えろ! という話なのですが、グアルディオラが採用した4-3-3の守備では二つ目のポイントであったWBの抑え方という点で不十分と言わざるを得ませんでした。

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嚙み合わせ上WBが浮いてしまっています。また、このWBを捕まえるためにSBが飛び出すと、そのSBの裏をヴェルナーに突かれてしまう構造です(特にジンチェンコの裏を突かれた)。


ただし、ボールの出どころである3CBとダブルボランチはマンマーク気味のディフェンスである程度は抑えられています(おそらくここを抑えるために採用した布陣)。

しかし、グアルディオラの誤算はチェルシーのCB陣とボランチの基礎技術の高さによりここでボールを奪取できないばかりかWBへの展開を許してしまった点、そして何よりマークの付けれないGKを経由してWBへの展開を許してしまった点でしょう(俺が試合に出てれば防げたが……)。


そして、WBを抑えられないという事態がマンチェスターシティの守備における二つ目の弱点であるアンカー脇のスペースを使われてしまうという事態へと繋がりました。

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WB経由でアンカー脇にて待ち構えていたインサイドハーフへの展開を許してしまいました(つまり対チェルシーにおいて抑えなければならないもう一つのポイントであるインサイドハーフを活かした中央攻撃をも許してしまったという事になる)。



そして、この守備での劣勢が失点シーンに繋がってしまいます。


シティ×チェルシー その1

まずこのシーンではGKのメンディがWBのチルウェルに向かってロングボールを蹴っていますが、マンチェスターシティのSBであるウォーカーはマウントとチルウェルが両方フリーであるため、どちらにつくべきかわからなくなり対応が遅れてしまっています。

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結果的にWBにボールが渡るわけですが、ウォーカーは遅れて対応せざるを得なくなり……

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アンカー脇(バイタルエリア)でマウントにボールを持たれてしまい、ここから決定的なパスを出され失点してしまいました。

ちなみに、ウォーカーが最初からWBのマークについていた場合はGKから直接マウントにパスすればよいだけです。つまりGKにプレスを掛けることができず、その状態で構造上フリーになる地点を二つも作ってしまったのが失点の原因の一つでしょう。


もちろん、相手のGKがメンディではなくハーフウェイラインにすらボールが届かないレベルのキック力であったが故にゴールキックをCBに蹴ってもらっていた僕のような(急造でやらされていた)GKならばWBまで展開されることはなかったでしょう。しかし、相手は今季のプレミア最優秀補強選手(僕調べ)であるメンディです。メンディ相手にここまでフリーの選手を作ってしまい捕まえきれず展開されれば、失点は時間の問題でした。


このように構造上捕まえられないポイントを作ってしまった事がマンチェスターシティに悪影響を与えてしまっていました。ではチェルシーの守備はどうだったのでしょうか?




チェルシーの守備


チェルシーが採用した3-4-3における守備の弱点は手薄になりがちな中央のスペースです。

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マンチェスターシティはジンチェンコが内に入る、所謂「カンセロロール」というやつです(そういえば「最近のマンチェスターシティはカンセロロールを使ってないから、この試合でも使われる事はない!」とか言ってたサッカーを見る人というやつがいたな……)。


一方のチェルシーの採用した3-4-3は中盤中央を守る選手がダブルボランチしかいないため、ここが手薄なんですね。つまりマンチェスターシティはカンセロロールによって中央を厚くし、ここを狙い撃ちにしようとしたと思われます。

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(ゼロトップのデブライネも中央のパス回しに参加できます。)



しかし、この策はチェルシーの対応策によって防がれてしまいました。

まず、チェルシーは無理にプレスを掛けることなく撤退した守備を行います。

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はい、このように基本的には撤退守備を行うので無理にプレスを掛けることはしません。CFであるヴェルナーがアンカーのギュンドアンをケアし、インサイドハーフのマウントとハヴァーツは場合によってはもっと深くまで守備に戻ります。このことによって高い位置でのボール奪取が望めなくなった代わりに、堅実な守備を手に入れています。

もちろん、高い位置でのボール奪取は成功すれば攻撃にも繋がりますので、引く守備が必ずしも是であるとは言えません。しかし、嚙み合わせ上どうしても中央で数的優位を形成されるチェルシーが引く守備を選択したことは、プレスの成功確率と失敗した時のリスクなどを考えると現実的かつ堅実な選択であったと言えるでしょう(マンチェスターシティはプレスを裏返されて失点している)。


またチェルシーの持つダブルボランチの脇という弱点に対しては、CBを迎撃に向かわせることにより対応していました。

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ここのスペースをアスピリクエタとリュディガーがつぶします。

シティ×チェルシー その2

シティ×チェルシー その3

特に2枚目が分かりやすいです。


今回マンチェスターシティは偽SBの4-3-3を選択してきました。個人的には、攻撃時に3バックになることによりチェルシーのカウンターをケアしようと考えたのではないかと予想しています。

ただ、それとは関係なく仮にマンチェスターシティがどのようなフォーメーションを採用してこようと中央に人数を掛ける攻撃方法を採用することは予想できます。そのため、中央が弱点であるチェルシーはマンチェスターシティがどのようなフォーメーションを採用しようと如何にして中央を守るかという課題が常に存在していました。つまり、これらの守備は選手たちの即興というより事前に用意された策であるという見方の方が自然でしょう(というより、試合前に僕がトゥヘルに電話して策を授けておいただけなんですけどね)。




「対メガクラブ攻略兵器」と化したチェルシー

後半に入りグアルディオラが修正策を授けます。ジンチェンコが内に入る頻度が減り、代わりにマフレズが内に入る頻度が増え外のレーンをウォーカーが駆け上がるシーンが散見されるようになりました。

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ポイントは、今まで前に出てマンチェスターシティの攻撃の芽を摘んでいたアスピリクエタとリュディガーが前に出られなくなったという点でしょう。ジンチェンコがより遠い場所にポジショニングを取り、リュディガーの前にマフレズが陣取ることによりCBを前に出させません。

CBが前に出られないということは、重心をより後方に下げざるを得ないということです。チェルシーはこの策により、より守備的に戦うことを余儀なくされました。


また、裏への推進力によりチームを押し上げていたヴェルナーが後半途中に交代したことも大きかったはずです(おそらくスタミナの問題)。

余談ですが、この試合のヴェルナーの働きは素晴らしかったと思います。足元の技術がなく、引いてボールを受けたくないがために裏へのアリバイランニングを繰り返していた僕のようなFWとは違い、ヴェルナーのランニングはチームを押し上げ味方に時間を与えるものでした。ヴェルナーがいなければチェルシーはより守備的な戦いになることを余儀なくされていたでしょう。




試合は後半に押し込まれはしたものの、チェルシーの思惑通りに運んだと評して良いでしょう。押し込まれていた時間帯も粘り強い守備で得点を許さなかったのは見事です。


今のチェルシーは対メガクラブ攻略兵器と呼んでよいと思います(ネーミングセンスが無いという批判は受け付けません)。多くのメガクラブは前線から強力なプレスを掛け主導権を握りに来ますが、チェルシーの3-4-3はプレスを剥がすことに非常に長けています。また、3バックを軸とした守備は非常に堅実なので相手の猛攻に晒されても我慢することが出来ますし、前線にはヴェルナーやプリシッチなどスピードに長けた選手が待ち構えておりカウンターでの急襲も期待できます。

さながら、アウトレンジからのジャブとカウンターで相手を倒すボクシングでいうところのアウトボクサーのよう……?

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ただし、チェルシーにも進化の余地は残されていると思います。

カウンターの切れ味は鋭いものの、相手を倒しきるまでには至らない点は課題となってくるでしょう(つまり決定力不足でゴールを奪えない)。また、チャンピオンズリーグを戦う上では今のままでも十分であると思いますが、リーグ戦においては格下相手に勝ち切るための得点力が必要となってくるでしょう。


まさにパンチ力不足に悩まされた宮田のように、チェルシーもまたパンチ力(決定力)が今後の課題となってくると思います。

やはり、宮田のライバルであるあいつのようなパンチ力が今のチェルシーには必要不可欠なのか……?




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