サッカー審判員のコミュニケーションとは?
かなり久々の投稿になりすいません。
正直バタバタしておりました・・・。
各地域のリーグも開幕し、ちょこちょこ審判も
させていただく機会が出来てきました。
その中や若手審判員の方々と話す中で思ったことを
書きたいと思います。
審判員が選手と行うコミュニケーション
試合中選手と審判が話をしているシーンを見たことある
方もいらっしゃると思いますが、一体選手と審判は
何を話しているのでしょうか?
最近はJリーグのコミュニケーションシステムを録音
している動画などもあるので、その音声を聞いたこと
があるかもしれません。
私が審判を始めた20年前は審判員が選手と喋るという
感覚は全くありませんでした。
それは選手も一緒で、選手は審判に対して異議や文句
(言いたくなる気持ちはわかります)を言ってくること
はあっても、お互いが話をすることはあまりありません
でした。
そんな状況ですので、私も選手から何か言われたときに
話をすることはなく、意見を突っぱねることが強さだと
勘違いしていたこともありました。
事実審判の指導者からは、「喋るな、聞くな、笑うな」
と指導されていました。
そんな時代は試合に行くたびに選手に文句を言われる
ので対戦カードを見て、「このチーム同士なら今日は
我慢の日だな・・・」と思って会場に行っていました。
選手の気持ちを理解する為に
これは何も地域レベルだけでなく、Jリーグでも一緒
でした。
その最たる例が2008年のゼロックススーパーカップ
での家本さんのレフェリングでした。
詳しくは触れませんが、かなり荒れた試合として記憶
されている試合だと思います。
ただ当時その試合を見た印象は「何であんなに
荒れるんだ?判定は正しいのに」でした。
そこは審判は正しい判定をしていれば良いという
考え方でした。
それから自分でも試合をさせていただく中で、
どうすれば嫌な気持ちで帰らなくて済むか(荒れずに
文句を言われずに済むか)ということを考えるように
なりました。
そこで参考にしたのは、関西のベテラン審判員の
皆さんでした。毎試合楽しそうに審判されているし
選手ともいろんなところで話をされている姿を見て
もっと選手と話をしてみようと思いました。
しかし高いレベルでの選手経験がない私がそんな
選手たちと何を話せばいいかわからない・・・。
そこで始めたのが、選手が痛そうな素振りをしていたら
「さっきの大丈夫?」という声かけでした。
1試合で必ず接触の起こるサッカーでは、ファウルか否か
を問わず、選手は負傷することがあります。
しかしそのままプレーをするのでやはり足を
引きずったり、負傷した箇所を押さえたりします。
そういったときに「大丈夫?」と声をかけることは
コミュニケーションとして至って普通のことです。
それなら出来ると思い、やってみると選手からは
様々な反応が返ってきます。
「大丈夫ですよ」「前もここ痛めたんですよ」
「そういうならファール取ってよ」「レフェリー
見てないけどそこで蹴られてたんですよ」
など反応があります。
気遣ってくれてありがとうから怒りの感情まで、
それを聞くことで気づくことが増えます。
「あれはやっぱりファールだったのかな?」
「あれだけ怒るってことはかなり痛いんだ」
以前元国際主審の西村雄一さんがお話されていた
ことで「我々はやられた選手の気持ちを代弁して
注意なりカードを出さないといけない」という
ことが印象的で、選手の気持ちが少しわかるように
なればそういった行動もしやすくなります。
他にはどんな声掛けがあるか
その次に行ったのはポジションが重なった選手に
(特にボランチの選手に多いですが)
「僕今邪魔してた?もし次も邪魔するようなら邪魔って
言って」でした。審判も判定に集中しているとついつい
選手のプレーエリアをつぶしてしまうことがあります。
そういう時にははっきり教えてもらえる方が
ありがたい。
そう思って言うようになりました。
すごいプレーがあると「今のシュートすごかったね」
や「あのパスはいいね」「ドリブルうまいよね」などの
素直な感想を伝えるようになりました。
審判をしているといってもやっぱりすごいプレーには
素直にすごいと思うもので、それを伝えるように
しました。
もともと高いレベルの試合をピッチの中という特等席で
見れるというのが審判のいいところなので、その感情を
直接伝えるようになりました。
そうして選手と話をするようになると、相手も
「今日のレフェリーは話してもいいんだ」と試合中に
色々話をしてくれるようになります。
そうして仲良くなった選手とは今では会場で顔を
合わせると話をするまでになりました。
(最初は文句の多い選手で正直苦手だったのは
内緒です)
選手も審判もサッカーをする仲間
このことはよく言われていますが、正直選手が主役なの
は揺るがない事実です。
そうした中でも、お互いにサッカーという競技を楽しむ
という感覚で試合に臨むと、対応の仕方が変わってきた
と思います。
これはあくまでも私見ですが、審判とよく話す選手ほど
選手生命が長いように思います。
(現ジュビロの遠藤選手や元マリノスの中沢選手など)
以前は話さない、聞かない、笑わないというスタイルが
良しとされていましたが、現在では試合の中でしっかり
とコミュニケーションを取ることが推奨されるように
なって選手のプレーも変わってきたように思います。
なんせコロコロ変わるルールを選手もすべて覚えて
いないことが多く、そのルール変わってるよって
いうこともありますし、意外と勘違いされていることも
あります。
これから求められる審判員はコミュニケーションだけで
なくどう簡潔に伝えるかが求められます。
もし上級審判を目指す方は普段から周りの方と積極的に
コミュニケーションを取ってみてください。
そういう私は極度の人見知りでしたが、過去を知る友達
からは絶対中身が入れ替わってるって言われるぐらい
変化しましたから(笑)