サッカー選手の見た目について考えてみた
こんにちは。サッカーを深く掘り下げたい、蹴道浪漫(シュウドウロマン)です。今回は、サッカー選手の見た目について考えてみます。
アスリートっぽくない見た目
「アスリート」と耳にして、思い浮かべるのは、どのような人だろうか?たとえば、筋骨隆々な体格や高身長といった、体型をイメージする人がほとんどだろう。或いは、男性アスリートに限って言うと、短く整えられた髪型を想像するのではないだろうか。つまり、野球の大谷翔平のような人物が、「アスリート像」の完成形と言える。
それではここで、サッカー選手に目を向けてみよう。低い身長、細い体格の選手がゴロゴロいるどころか、何なら猫背の選手もいる。髪型はもっと奇抜で、最近でこそ黒髪ショートの選手が増えているが、一時期の日本代表はほとんどの選手が髪の毛を染めていた。「アスリート像」から、もっともかけ離れているスポーツだと言えるだろう。なぜ、サッカーにはアスリートっぽくない選手が多いのだろうか?
サッカーに求められる身体能力
まず、体格から考えていきたい。そもそも、サッカーにおいて体格差というのは、優劣ではない。格闘技等とは違い、体格的に大きければ有利なスポーツではなく、小柄でないと出来ないプレーも多い。もっとも分かりやすい例は、アルゼンチンのメッシだろう。あれくらい足が短くないと、あれ程のドリブルはできない。仮にメッシの身長が190㎝だった場合、世界のトップ選手にはなっていなかったはずだ。もちろん、大柄なほうが有利なプレーも多いため、一長一短と言える。様々な体格の選手が所属しているのが、理想的なチーム構成だ。
サッカーにおける体格差は優劣ではなく、差異でしかない。身体能力の差は勝敗に大きく影響するものの、大事なポイントになるのは、体格イコール身体能力ではないということだ。小柄でも身体能力に優れた選手がいれば、その逆のパターンもある。
では、サッカーに必要な身体能力とは、何だろうか?色々な意見があるだろうが、もっとも大事なのは走力だというのは間違いない。高校生でも1試合80分のうち、だいたい10キロ~13キロほどは走るため、最低でもこのレベルの走力がないとスタートラインにたてない。しかし、たとえば陸上の10,000メートル走の選手のような持久力を身に付ける必要はない。なぜなら、サッカーの試合というのは、ダラダラ走るのと全速力の繰り返しだからだ。一定のペースで長時間走る能力は不要だ。
つまり、一見するとアスリートっぽくない選手だとしても、サッカーに必要な能力が備わっていればまったく問題ないのだ。逆に、いくら体格や筋力に優れていても、試合中に走れないとサッカーの選手としては大成しない。サッカーの試合、特に日本代表の試合の際には、是非注目してほしい点がある。それは、小柄な選手ほど、走り回っているという部分だ。体格的に優れていない子でも、サッカーに必要な走力を身に付ければ、選手として成功できる証だ。少なくても、他競技より大成できる可能性は大きいと言えるだろう。
サッカー選手のファッションについて
それでは次に、髪形やファッションについて考えていきたい。サッカー選手は長髪の選手も多い。たとえば、高校生でも部員が全員丸坊主のチームは、ほとんど見当たらない。高校生くらいでも、パーマを当てたり、髪を染めたりしている選手もいる。では、このような流行は、どこから発生するのだろうか?サッカー界の中心である、ヨーロッパ発信のものがほとんどだ。
現在のサッカーのルーツ、2チームに分かれて1つのボールを相手陣地のゴールに多く入れたチームの勝ち、というのは18世紀のヨーロッパがベースにある。この時期のイギリスでは、産業革命がおこり、大量の労働者が職を失った。彼らは一種のクーデターとして、サッカーを始めたそうだ。工場労働者が結託して豚の睾丸をボールにして、権力者の家に蹴り込んでいったとされている。だからこそ、サッカーには手を使ってはいけないというルールがあるのだ。血まみれの睾丸を手で触りたくないということなのだろう。
そして、現在でもサッカーは労働者階級のスポーツとして、親しまれている。たとえば、イギリスの場合、富裕層はラグビーやテニスを楽しむ。これらのスポーツには「アスリート像」に近い見た目の選手が多いのに対して、サッカーの場合はそうではないのは、歴史的な経緯が影響していると考えられるだろう。
時代ごとのサッカー界の流行も、ヨーロッパからスタートしているものが多い。例を挙げると、一時期流行していた髪留めのバンド。2010年代の日本でも、ヒモを額に巻いている選手を良く見かけたものだが、もともとは90年代にイタリアの選手が使っていたものである。表向きは、前髪や汗が目に入らないようにするためのものと言われているが、実態としては見栄えを気にして使用しているのだろう。
というのも、私の経験上髪留めをしたところで、汗が目に入ることはあるからだ。前髪が目に入るのが嫌ならば、切れば良いだけだ。やはり、実用性ではなく、見た目を重視しているのだろう。特に、走っている時に髪が後ろになびくと躍動感がでるため、写真写りを気にしてバンドを使っている選手が多いはずだ。或いは、生え際を気にしている選手が、そこを隠すために使用しているケースもあるだろう。
体格と髪形、以上2つの視点からサッカーについて考えてみた。いずれにしても、サッカーが多様性に溢れたスポーツであることに、間違いはない。日本に限って言うと、教育の一環として語られることの多い武道や野球と違い、サッカーはルーツにあるものが労働者のクーデターだ。だからこそ、「アスリート像」からかけ離れた選手が多いのだろう。長髪のアスリートは少なくても、労働者であればいくらでもいるのだ。アスリートらしからぬ自由な雰囲気があるのは、サッカーの1つの魅力である。