プローブベット~small bet戦略
皆さんこんにちは!Naokiです!
まずは下記動画をご覧ください。
こちらはLIGHT THREE 【ポーカーch】さんの動画でライナスとグリーンウッドの1ハンドを特集してます。アクションを下に記します。
2bp BTN vs BB ef 180bb
BTN Jd8d(グリーンウッド) BB 6c2c(ライナス)
flop 9d9s3d (7500)
x/x
turn 2h (7500)
2000/c
river 8h
2500/raise to 11000/reraise to 48000/f
トッププロ同士の熱いリバーが見ものですよね!
着目すべきはライナスのアクションです。
フロップでIPがCBを打たずチェックで回った時に、OOPがターンから打ち出すベットのことを「プローブベット」といいます。
ここでライナスはボトムペアで25%程の安いプローブベットを打っています。これにはどういう意図があるのでしょうか?
そこで今回の記事ではプローブベット、特にスモールベットについて検討をしています。
どういうボード、どういうハンドの時にスモールベットが用いられるのか、全184フロップ×49通り=9016サンプルを用いて検証を行いました。
今回はレンジの違いを明確にするために、ef 100bb 2bp UTG vs BBを参照します。
ピオソルバーの設定
集合分析の結果に入る前に、piosolverの設定を記します。
※読み飛ばしていただいても構いません
プリフロップのレンジ
UTG 2.5bb open
BB call range
ベットサイズ
flop 30% 50% 80% raise 50%
turn 40% 80% 150% raise 50%
river 40% 80% 150% raise 50%
計算精度:1.0
ボード
全184flopは以下のサンプルを使用しています。
集合分析方法
カードナンバーやボードテクスチャーの分類は下記記事を参考にさせていただきました。
集合分析結果
まずは全ターンにおけるベットサイズの平均を見ていきます。
幅広くチェックレンジを持ち、ベットレンジは主に高いサイズと安いサイズを主に使い分けていることが分かりました。
次にフロップのハイカードによるベットサイズの平均を見ていきます。
上記の表を見ると明らかであり、9high以下のボードでスモールサイズの頻度が上がっていることが分かります。
次にターンの分類およびカードによるベットサイズの平均を見ていきます。
ターン分類を見ると、Top,ConnectやStraight,Flashでスモールサイズが好まれることが分かりました。
ターンカードを見ると、9以下のカードでスモールサイズが好まれることが分かりました。
次にレンジベット(頻度95%以上)のボードの特徴を見ていきます。
レンジベットのサンプルは50個ありました。
フロップハイカード、ターンの分類およびカードのサンプル数を下記に示します。
サンプルの中身を見ると、すべてのボードがストレートを有していました。
またフロップも9high以下であったため、BB側が一方的にストレートを有しているボード(特に1枚ストレート)の際に、レンジでベットしていけそうです。
次にレンジチェック(頻度95%以上)のボードの特徴を見ていきます。
レンジチェックのサンプルは219個ありました。
フロップハイカード、ターンの分類およびカードのサンプル数を下記に示します。
サンプルの中身を見ると、A,Kがペアになった時、チェック頻度が高くなることが分かりました。
今までのまとめを下に記します。
では実際のボードを見ていきましょう!
①9high以下かつTop,Connect,Straight,Flashでスモールベット頻度が上がる。
flop 8s5s3d turn 2c
150%ベットと40%ベットを使い分けていて、レンジ全体としては40%が支配的です。
ここで重要なのは2や3ヒット等、ウィークペアがかなりベットに回っているということです。
下のヒットのエクイティはどのハンドも50%を超えています。ショーダウンバリューがあるからという理由でチェックする方が多い印象がありますが、実は下ヒットでもバリューベットが打てる状況となります。
これがライナスがボトムペアでスモールベットを使用した理由ですね。
次に40%ベットに対するIPのディフェンスレンジを示します。
ハイカード(主にK,Q)がindifferentとなり、ヒット+は鉄でディフェンスします。
flop AdQs7s turn 2s
flop 8s5s3d turn 2s
フラッシュボードになると、互いにナッツ級が固定されるので、ナッツに大きくペイオフしないようにどのシチュエーションでもベットサイズが下がる傾向があります。
上の戦略を見ると、ハイカードを含むフラッシュボードは大きめ(80%)のサイズが多くなり、ローカードが多いと安いサイズ(40%)が好まれる傾向がありそうです。
flop 9s8s4d turn 9c
IPのトップヒットはフロップベットに一部回っており、トリップスが一部薄くなっているため、OOPのベット頻度は高いです。
先ほどと同様、4ヒットや22,33等のウィークペアもバリューベットを打てる状況となります。
②BB側が多く有している1枚ストレートはベット頻度がかなり上がる。
flop 8s7d4s turn 6h
はい。目をつぶってもベットできますね笑
圧倒的エクイティの高さからレンジで打ちます。チェックしてはいけません。
flop AsQsJd turn Th
逆に1枚ストレートでもIPに有利だとレンジでチェックをします。(フロップレンジでCBを打たれてそうですが。)
③A,Kがペアになった時、チェック頻度がかなり上がる。
flop As7d6s turn Ad
Aとミドル2枚のフロップでは、UTGもAヒット含めかなりチェックレンジを持ちます。そこでAが被った時、BB側にもA,77,66等のレンジはありますが、ローカードスートがレンジの多くを占めており、圧倒的にごみレンジが多く、レンジ全体のエクイティが低くなります。
そのため、レンジでチェックバックをする戦略が一般的になります。
リバーの戦略
最後にリバーの戦略を簡単に見ていきましょう!
①の最初に説明したボードで40%ベットを使用した後のリバーを見ていきます。
flop 8s5s3d turn 2c river ?
リバー全体を見ると、スモールベットがかなり多い傾向があります。
また、IPはA,K highが多く残っているため、そこらが強くなるカード(A,K,4)ではOOPのベット頻度がかなり下がることが分かりました。
ではリバーで7hが落ちた時を考えます。
下のヒットもまだまだA highに対してコールされる余地があるため、安くバリューベットを打っています。特にリバーで拾った7はほとんどチェックせず、40%ベットレンジに入れています。(実戦でチェックをしてしまう方は多いのではないでしょうか。)
それに対するIPの戦略です。
相手は下のペアで幅広くベットしてきているため、オーバーペアはバリューレイズできるハンドになります。グリーンウッドがセカンドペアでレイズしたのも意図が分かりますね。
最後はIPのリバーレイズに対するOOP戦略になります。
76sは鉄でオールインを返していることが分かります。
リバーベット前の76sは70%程度エクイティを有しており、下ヒットやA highに向けてバリューベットとして打っています。
しかしレイズされるとエクイティが30%程度に落ち込んでしまいます。ただ76sは相手の77をブロックしていること、6を持っていることにより96sや64sを主張できる(あまり使用したくない表現ですが)ということから、絶好のブラフハンドとなります。そこで相手のオーバーペアをindifferentに叩き落すために、ブラフベットとしてオールインを選択しています。
これがライナスが実戦で行った「バリューをブラフに変える」です。
まとめ
最後に今回の結果のまとめを下に示します。
いかがだったでしょうか。
この記事を読んだら、プロの思考を少し覗くことが出来たのではないでしょうか。
個人的にオーバーベットを剛の技とするならば、スモールベットは柔の技だと思います。薄いバリューを取りきる技術はまさに芸術そのものです。
ぜひ活用してみてください!
記事の感想や、今後やってほしいことなど、いつでもお待ちしております。(最近ネタ切れ気味なのでリクエスト募集中です!笑)
最後まで読んでいただきありがとうございました
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