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3bp SB vs BTN フロップチェックレイズ後のターンの分岐

皆さんこんにちは!Naokiです。
早速ですが、皆さんはSB vs BTNの3ベットポットはどのような戦略を取っていますか?
多くの方はハイカードが落ちた際はレンジで安く打ち、ローカード(9以下)が落ちた際は、広くチェックし、チェックレイズを狙っていくという戦略を取っているのではないかと思います。
ポーカープロのsouzirouさんでさえ、下記の記事において9 high 以下はチェックから入るのが基本ラインと述べています。

ではチェックレイズ後のターンの動きはどのようになるでしょうか?
そこで今回はSB vs BTN フロップチェックレイズ後のターンの分岐に関して、9ハイ以下の全ボード(ペア、モノトーンを除く)のターンに関して集合分析を行いました。
ベットサイズも10%からオールインまで様々なサイズを使用しています。

SPRが約1の中、どのような攻防が繰り広げられるのか、実際に見ていきましょう!

Piosolver settings

集合分析の結果に入る前に、piosolverの設定を記します。
※読み飛ばしていただいても構いません

preflop range

SB 3bet 

vs BTNのSB 3bet range

BTN call

vs SBの BTN call range

bet size

flop 30% 50% 80% raise 40%
turn 10% 30% 50% 80% AI raise 40%
river 10% 30% 50% 80% AI raise 40%
計算精度:1,0

flop SB check → BTN 30% bet → SB 40% raise → BTN call 
turn SB ?

board

集合分析は9 high以下のボード(ペア、モノトーンは除く)、全224フロップを使用しました。
また224フロップすべてのターンに対して集合分析を行ったので、
224×49=10976のサンプルを取得しました。

Analytical method

ターンカードを以下の分類に分けました。


  1. Over:トップよりも大きいカード

  2. Top:トップと同じカード

  3. Top-Mid:トップとミドルの間のカード

  4. Mid:ミドルと同じカード

  5. Mid-Bot:ミドルとボトムの間のカード

  6. Bot:ボトムと同じカード

  7. Under:ボトムより小さいカード

  8. Pair:ペアボードになるカード

  9. Connect:ボードに連なりが出来るカード

  10. Straight:新しいストレートが出来るカード

  11. Flash:フラッシュが出来るカード

  12. Lag:ミドルより小さく8~11に該当しないカード


具体例:flop AcTd4c turn Tc
この場合は4と8と11が該当します。

このように分類をしていくと10976サンプルは以下のようになります。

10976サンプルの分類

重複しているものもあるため、合計は10976にならないことに注意してください。
また、各ターンカードのサンプル数は以下のようになります。

各ターンカードのサンプル数

次にフロップを下記の5つのグループに分けました。


A.AI頻度が一番高い。
B.50%頻度が一番高い。
C.30%頻度が一番高い。
D.10%頻度が一番高い。
E.check頻度が一番高い。


A~Eに分けたフロップのターンカードを分類し、先ほどの全体の数のうちどのくらいの割合を占めるかを計算しました。

Collective analysis results

まずは全体の考察から行い、次に各頻度に関して見ていきます。
224フロップのターンの平均の頻度は以下のようになりました。

ターン戦略の平均頻度

ベットとチェックが半々くらいの頻度です。
また、ベットの内訳を見ると、10%という極小サイズからAIまで、
かなり使い分けをしていることが分かりました。


次にA~Eの各グループにおいて、分類による全体の数に対する割合を以下に示します。

各Groupにおける分類による割合

※ここで注意していただきたいのは、この表は全体の数に対する割合を示しているので、各頻度ではないということです。
Lagが落ちた時、「レンジの98.66%がチェック」ではなく、「全体の内、98.66%のフロップでチェック頻度が一番高い」という意味です。

要するにチェックの割合が高かったら、そんなにベット出来なくて、チェックの割合が低かったら、いっぱいベット出来るみたいな感じでご覧になってください。

上の表を見ると、Over , Pair (Top , Mid , Bot) , Flashでベット頻度が上がっていることが分かります。
またサイズ感を見ると、Over , Pairでは大きいサイズ、Flashでは小さいサイズが使われていることが分かります。

  • Over , PairでAI , 50%のベット頻度が上がる。

  • Flashで30% , 10%の頻度が上がる。


次にA~Eの各グループにおいて、ターンカードによる全体の数に対する割合を以下に示します。

各Groupにおけるターンカードによる割合

上の表を見ると明らかですね。
BBのチェックレイズレンジはハイカードを多く含んでいるため、9より大きいカードが落ちると比較的ベット頻度は上がります。
サイズ感を見るとAはかなり小さいサイズが好まれそうです。

  • T~Kが落ちると50%の頻度が上がる。(特にK)

  • Aが落ちると30%、10%の頻度が上がる。


A Group (ALL IN frequency)

Aグループのサンプルは260個ありました。(全体の2.37%)
フロップのハイカードとターンのスートの表を以下に示します。

フロップのハイカード
ターンのスート

フロップのハイカードを見ると、5,4といったローボードの割合がかなり高いです。
また、ターンのスートは2種(ダブルスート)の割合が高く、半分以上を占めています。
さらに、2種(フラッシュ)、3種のボードでフィルターをかけると「T」が落ちた時、一部オールインをすることが分かりました。
全体の結果では、Over , PairでAI頻度が上がることが分かっています。
以上をまとめると下記の仮説が立ちます。

  • ターンでペアまたはダブルスートボードになると
    AI頻度が上がる。(特に5,4  high)

  • ターンでTが落ちた時、一部AIのボードがある。

具体的なボードを見ていきます。

flop 5s4s3h turn 3d

ターン戦略 (flop 5s4s3h turn 3d)

5ハイ以下のペアボードになると、お互いにトリップスのレンジが少なく、ドローも完成しないため、SB側はオーバーペアの多さを生かしてポットオーバーオールインを叩き込むといったところでしょうか。

flop 5s4s3h turn Jh

ターン戦略 (flop 5s4s3h turn Jh)

ダブルスートではお互いにフラドロのレンジが多くあります。
しかしただのフラドロはオールインは受けれないため、SB側はオールインを積極的に選択し、エクイティを奪いに行くのだと思います。

flop 5s4h3d turn Jh

ターン戦略 (flop 5s4h3d turn Jh)
ターン戦略 (flop 5s4h3d turn Th)

Tが落ちた時の方がベット頻度がわずかに高い理由として、IP側はKJsやQJsのバックドアはディフェンスするが、QTsやJTsのバックドアはフロップで降りることが多く、IP側にTのレンジが少ないことが考えられます。
またオーバーペアのコンボ数の違いも影響があると考えられます。


B Group (50% frequency)

Bグループのサンプルは1917個ありました。(全体の17.47%)
フロップのハイカードとターンのスートの表を以下に示します。

フロップのハイカード
ターンのスート

フロップのハイカードを見ると、そこまで違いはないですが、9のみベット頻度がわずかに低いです。
また、ターンのスートは3種の割合が高く、7割以上を占めています。
さらに2種(ダブルスート)を見ると、ターンカードがすべて「T~K」です。
全体の結果では、Over , Pair , T~Kで50%ベットの頻度が上がります。
以上をまとめると以下の仮説が立ちます。

  • ターンでペアボードになると50%頻度が上がる。(8 , 7 , 6 high)

  • ターンで「T~K」が落ちると50%ベットの頻度が上がる。

具体的なボードを見ていきます。

flop 7s6s5h turn 5d

ターン戦略 (flop 7s6s5h turn 5d)

flop 9s6s5h turn 5d

ターン戦略 (flop 9s6s5h turn 5d)

フロップのハイカードが9の時の方が、ベット頻度が低いことが分かります。これはBTN側のスーテッドのコールレンジがX9sからであり、トップペアのレンジが多く存在することが何かしらの影響を与えているのではないかと考えます。

flop 7s3h2s turn Qh

ターン戦略 (flop 7s3h2s turn Qh)

flop 7s6h3d turn Kc

ターン戦略 (flop 7s6h3d turn Kc)

ハイカードが落ちると、50%ベットの頻度がかなり上がります。
特にKの効果は絶大です。
Kが落ちてもQQ以下のポケットペアはリバーまで打ち切ることが多いです。


C Group (30% frequency)

Bグループのサンプルは746個ありました。(全体の6.8%)
フロップのハイカードとターンのスートの表を以下に示します。

フロップのハイカード
ターンのスート

フロップのハイカードを見ると、そこまで違いはないですが、8のみベット頻度がわずかに高いです。
またターンのスートはフラッシュがかなり占めていることが分かります。
フラッシュ以外を見ると、T以上(特にA)が落ちると30%ベットの頻度が上がります。
全体の結果を見ると、Flash , Over , Aで30%ベットの頻度が上がります。
以上をまとめると下記の仮説が立ちます。

  • フラッシュ(A以外)が落ちると30%ベット頻度が上がる。

  • T以上(特にA)が落ちると30%ベット頻度が上がる。

具体的なボードを見ていきます。

flop 8s3s2h turn Ts

ターン戦略 (flop 8s3s2h turn Ts)
ターン戦略 (flop 8s3s2h turn Ts) エクイティグラフ

エクイティ分布を見るとのナッツ付近(80%~100%)はお互いにフラッシュがあるので拮抗しています。ただし、中程度のエクイティ(30%~70%)部はオーバーペアがある分BB側が全体的に上回っています。
このような時は、広いレンジで安いベットが好まれます。(大きいサイズを使用すると強い部分にだけコールされてしまうため。)

flop 8s7h2d turn Ad

ターン戦略 (flop 8s7h2d turn Ad)
ターン戦略 (flop 8s7h2d turn Ad) エクイティグラフ

Aが落ちた時はレンジ全体で大きくエクイティが上回っているため、高頻度の安いベットが好まれます。


D Group (10% frequency)

さて、今回の検証のメインパートがやってきました。
10%のバレルを正確に理解されている方は少ないと思いますので、うまく使用すればオーバーフォールド、オーバーコールも狙えるかなと思っています。

Dグループのサンプルは592個ありました。(全体の5.39%)
フロップのハイカードとターンのスートの表を以下に示します。

フロップのハイカード
ターンのスート

フロップのハイカードを見ると、そこまで違いはないですが、6のみベット頻度がわずかに高いです。
またターンのスートはフラッシュがかなり占めていることが分かります。
さらに3種を見てみると、1枚ストレート、4種を見ると、ペアボードが多いことが分かりました。
全体の結果を見ると、Flash , Over , Aで10%ベットの頻度が上がります。
以上をまとめると下記の仮説が立ちます。

  • フラッシュ(特にA)が落ちると10%ベット頻度が上がる。

  • 1枚ストレート(T,9)になると10%ベット頻度が上がる。

  • レインボーのペアボードになると10%ベット頻度が上がる。

具体的なボードを見ていきます。

flop 7s6h2s turn As

ターン戦略 (flop 7s6h2s turn As)
ターン戦略 (flop 7s6h2s turn As) エクイティグラフ

Cグループでは「エクイティがナッツ付近(80%~100%)では拮抗しており、中程度(30~70%)では上回っているとき、広いレンジで安いベット(30%)が打てる」としました。
今回は、60%くらいまでグラフが拮抗しているが、10%~60%がかなり上回っているので、そのような時はさらに小さいサイズが使用できるのではないかと考えます。

flop 8s7h6d turn Td

ターン戦略 (flop 8s7h6d turn Td)

1枚ストレートのようなボードで大きいベットを選択すると、相手は9やセットのような強いところだけを受けておけばよいので、ディフェンスが簡単になってしまいます。
なので、相手の弱いレンジを次のストリートに残しておくために、とても小さいサイズを使用するのではないかと考えています。

flop 6s4h2d turn 4d

ターン戦略 (flop 6s4h2d turn 4d)

flop 6s4h2d turn 4c

ターン戦略 (flop 6s4h2d turn 4c)

上がグループBで50%頻度の方が高く、下がグループDで10%頻度の方が高いです。
フロップのチェックレイズに対し、IPはある程度バックドアでも守っています。ターンがクラブだと、バックドアはどれも進展しません。
そこで、進展しなかったバックドア全てにやんわりプレッシャーをかけるために、安いベットの頻度(10%)が上がるのではないかと思います。


E Group (check frequency)

Eグループのサンプルは7461個ありました。(全体の67.98%)
ただこれだと量が多すぎてあまり傾向が掴めないのではないかと思いましたので、チェック頻度が70%以上のボードを抜き出して検証しました。

Eグループの中で上記サンプルは1161個ありました。(全体の10.58%)
フロップのハイカードとターンのスートの表を以下に示します。

フロップのハイカード
ターンのスート

フロップのハイカードを見ると、そこまで違いはないですが、4のみベット頻度がわずかに低いです。
またターンのスートは3種が半分以上占めていることが分かります。
さらに3種、フラッシュ、ダブルを見ると、どれも1枚ストレートが多いことが分かりました。
全体の結果を見ると、Straight , Pair以外 , 9未満でチェック頻度が上がることが分かっています。
以上をまとめると下記の仮説が立ちます。

  • 1枚ストレート(9未満)になると、チェック頻度が上がる。

  • ミドルに固まっているときは、今までの戦略が使用できないことがある。

具体的なボードを見ていきます。

flop 7s6s4h turn 5d

ターン戦略 (flop 7s6s4h turn 5d)

flop 9s7h5s turn 8h

ターン戦略 (flop 9s7h5s turn 8h)

flop 8s7h5s turn 9s

ターン戦略 (flop 8s7h5s turn 9s)

どれもレンジでチェックしてます。一番下のフラッシュボードでさえ、レンジチェックです。ナッツフラッシュを持っているときに、下フラやストレートに向けてベットしないようにしましょう。
先ほどの1枚ストレートと違う点は、ストレートになるカードです。
9やTで一枚ストレートになる場合は、SB側にもある程度コンボがあるので、10%ベットをしていましたが、9未満となると圧倒的にBTN側のコンボの方が多いので、かなりの頻度でチェックをすることになります。

flop 5s4h3d turn Ac

ターン戦略 (flop 5s4h3d turn Ac)

ターンでAが落ちて、ベットしないパターンです。
やはり1枚ストレートだとAが落ちた時すら厳しくなります。

flop 9s6s5h turn Qc

ターン戦略 (flop 9s6s5h turn Qc)

一見グループBの戦略を使用できそうですが、ベット頻度は低くなっています。
ハイカードが落ちたとは言え、今回のようにフロップがかなり密接していて、ストレート等が見えるときは、今までの戦略を使用できないこともあるので気を付けましょう。

Practice

問題を5つ出しますので、先ほどの内容を参考にして、どの頻度が最も高いかお答えください。

前提条件
preflop BTN 2,5bb → SB 10bb →BTN call
flop SB check → BTN 30% bet → SB 40% raise → BTN call
turn ?

1st question

A.ALL in B.50% bet C.30% bet D.10% bet E.check

2nd question

A.ALL in B.50% bet C.30% bet D.10% bet E.check

3rd question

A.ALL in B.50% bet C.30% bet D.10% bet E.check

4th question

A.ALL in B.50% bet C.30% bet D.10% bet E.check

5th question

A.ALL in B.50% bet C.30% bet D.10% bet E.check

答えは一番最後に載せてます!

Conclusion

最後に今回の集合分析のまとめを以下に示します。

全体
・Over , PairでAI , 50%のベット頻度が上がる。
・Flashで30% , 10%の頻度が上がる。
・T~Kが落ちると50%の頻度が上がる。(特にK)
・Aが落ちると30%、10%の頻度が上がる。
AI
・ターンでペアまたはダブルツートーンボードになるとAI頻度が上がる。
(特に5,4  high)
・ターンでTが落ちた時、一部AIのボードがある。
50% bet
・ターンでペアボードになると50%頻度が上がる。(8 , 7 , 6 high)
・ターンで「T~K」が落ちると50%ベットの頻度が上がる。
30% bet
・フラッシュ(A以外)が落ちると30%ベット頻度が上がる。
・T以上(特にA)が落ちると30%ベット頻度が上がる。
10%
・フラッシュ(特にA)が落ちると10%ベット頻度が上がる。
・1枚ストレート(T,9)になると10%ベット頻度が上がる。
・レインボーのペアボードになると10%ベット頻度が上がる。
check
・1枚ストレート(9未満)になると、チェック頻度が上がる。
・ミドルに固まっているときは、今までの戦略が使用できないことがある。

今回の集合分析に使用したエクセルファイルを公開します。

いかがだったでしょうか。
今回の分析で、SPRが約1という状況でも、ボードによってベットサイズをかなり変えることが分かりました。
今回の記事が、皆さんの駆け引きの引き出しを、少しでも増やすきっかけになれば幸いです。
記事の感想や、今後やってほしいことなど、いつでもお待ちしております!
最後まで読んでいただきありがとうございました!


問題の答え
1番頻度が高いものを2点、2番目に頻度が高いものを1点にしています。
合計10点満点です。

1st question C(2点) D(1点)
2nd question D(2点) E(1点)
3rd question B(2点) D(1点)
4th question E(2点) D(1点)
5th question A(2点) B(1点)




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