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次男から学んだ夢のもちかた

幼稚園年長さんの次男の将来の夢はパン屋さんになることだ。

かなり前に、彼はノートにメニュー表を書いていた。それからことあるごとに、「ボクの夢はパン屋さんだから」を連呼。

卒園アルバムに載せる「できたらいいなこんなこと」の欄には「パン屋さんになる」と書き、「もう、作るけどね」と話していた。

先週あたりから、「どこにパン屋を作ろうかな」と真剣に考え出した次男。2、3日前にこんなことを話しはじめた。

「あそこの畑、あいてるからいいと思うんだよ」

「いや、あそこの駐車場かなー。パン屋と薬屋のあいだの。広いからいいよね」

それに対して9歳の長男が「えー、パン屋の隣にパン屋なの?」とツッコむ。

「あーそーかー。パン屋の隣にパン屋は良くないかー」

すごいなぁ、具体的に考えるんだなぁ、今の子は。「ごっこ」ではない。もはやもう、パン屋の立地調査から本気でやろうとしているのか。かわいい。と思いながらわたしはお風呂掃除に立った。

次男はお風呂までわざわざ来て言った。

「お母さん、今週の土曜日にはもうパン屋を建てたいからさ。急がないといけないの」

お、待て待て。これは、ほ、本気のやつなのね?てか、夢というよりも、もはや、予定なのね?

感心した。すごい。夢をほったらかしにしてないんだ。何をしたらいいかを、「今」決めてるんだ。そこに「できるかな」とかの抵抗は何一つない。「できない」という意識のかけらも見当たらない。できる前提で動いてるんだ!!!

「土曜日でいいよね?」というので、手を止めて、次男の顔に自分の顔を真正面に向けて言った。

「ごめん、今週の土曜日は難しいかもしれない。あのね、お店を持つ時ね、許可をもらったりとか、あとは勉強して、試験して、資格とったりとか必要なの。(ここらへんは詳しくないけど、そんな話をした)だから、今週の土曜日は難しいと思うんだ。そのお勉強もさ、もう少し大きくなってからじゃないと、無理だと思うんだよね」

「え、大きくって…どのくらい?小学生とか?」

「ううん、もすこし大人だとおもう」

次男の顔がみるみると歪み、泣き始めた。「え、土曜日に建てられると思ってたのに」という感じで、目を下に落としている次男。

「あのさ、まず、パンを作ってみない?建物の前にさ、売るものがないと困るよ。大人になるまでに、美味しいパンをたくさん作っておくのも大事だと思うよ!今週の土曜日にパンつくってみよう!」

泣いてはいるものの、こくんと頷いて「どうしよう、何パンつくろう」と気持ちが変えられたようだった。

ほんっと驚いた。

そこまで本気のやつだったのかと。

そんな彼を見ながら思ったのだ。

夢ってこうやってもつんだね、と。

「こうなったらいいな」をできる前提で考える。もう実現できるかのように語る。

たしかに、まっすぐなその望みに対して、わたしはすぐにでも建物建ててあげたいと思ったし、パン屋ができた時の喜びを味あわせてあげたい!と心が動いた。こうやって、望みって叶っていくシステムなのかも。

「夢をもつっていいよねー」と息子たちに伝えていきたいと思ったけど、まさか息子たちから夢をもつ極意を教えてもらえるとは…

というわけで、明日はパンを作ります(笑)。

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