デキる男を目指す前に
「なぜ俺は、仕事ができる人と思われたかったのか」
夫が突然そんな話をし出した。
少し前の自分は、出世したかったし、仕事ができる人と思われたかった。そこに大きな価値があると思っていた。
でも、苦しいことばかりで、目指しても目指しても先が見えなくて、そこには、自分の大切にしたいものはないのだと気づいた。なんであの時、俺は仕事ができる人と思われたかったのだろう。
周りの「仕事が出来てこそ立派な人間だ」という雰囲気に、ただ飲まれただけのように思う。
という話だった。「わたしもそうだよ」と答えて、わたしの話をした。
わたしの場合「え、仕事できないと、こんなにけちょんけちょんに言われるの?……こんなに嫌われるの?……それは嫌だ。わたしは、仕事できる人の方に入っていたい。」と思っていた。
仕事ができると思われたい=嫌われることへの恐れだった。だから、できる人と思われるように振る舞っていた。
ありもしない「人の目」を自分の頭上ななめ45度に置いて、ずっとずっと監視していた。
「ミスなくやれよ。忘れるなよ。遅れるなよ。正確にやれよ。スマートにやれよ」と。
人の目、そして、人からの言葉を勝手に頭で作り上げて、自分自身を縛っていた。
もちろん、単純に自分が成長したいという思いもあった。周りの方に迷惑かけたくないという思いもあったし。だけど、若い頃は、「どうやったら、仕事ができる人と思ってもらえるだろう」の視点はずっと持っていた気がする。
それって、自分が置き去りで苦しい。
苦しかった頃のわたしへ
新人の頃は、めっちゃデキる同期の子たちと自分を比べ、才能溢れる先輩たちと自分を比べ、その都度落ち込んでいた。
今ならその時の自分に声をかけられる。
比べる必要ないよ。だって、その人とあなたはまったく別の生き物なんだから。
猫が鳥を見上げて「ああ、わたしには羽がない、わたしは飛べない」って落ち込まないでしょ。
あなたにはあなたのお役目があって、その人にはその人のお役目がある。
あなたにできることをやるだけでいいんだよ。それだけで輝いちゃうんだよ。
デキる同期の、どこがいいなと思う?真似できるところは真似してみてもいいかもね。あくまでも、あなたがやりたければ。
先輩方のどんな考え方が好き?それは実践してみてもいいかもね。あくまでも、自分が楽しければ。
でも、あなたは、あなたであることに変わりない。同期のようになる必要もなければ、先輩のようになる必要もない。
「あの子はできるのに、私はできない」って?
そうでしょう。それは能力的にできないのだから、それでいいんじゃない?やってもやってもできないのなら、それがあなたなんだよ。(きっと理想が高いあなたは、そこが諦めきれないかもしれないけれど。)
でもさ、逆にあなたにしかできないこともあるんだよ。そうやってみんなの力をあわせて、社会って作っていくものだから。
そう考えたら、比較するってあんまり意味ないと思わない?
比較している暇があったらさ。そうだなー、わたしなら、自分がどうやったら最大限の力を発揮できるかを考えるよ。
私の最大限の力を発揮するには、最大限リラックスする。羽生結弦もそう言ってたよ。
あと、体調が万全になるように、めっちゃ寝る。寝まくると、脳が休まるから、最高レベルでリラックスできるんだよ。
行きたいお店があるって言ってたじゃん。そこ、行ったらいいよ。
歌歌いたいなら、どんどんカラオケ行ってね。
それだけ雑貨が好きなんだから、雑貨屋さんにもっと入り浸りなよ!!
そうやって「自分エネルギー」を充電して、満タンにするんだよ。
そうしたら、自然に自分の力発揮できちゃうよ。
(えっと、じゃあ24歳くらいのわたしに言っているとして……)
あのね、あなたの彼氏。未来のあなたの旦那様。
仕事ができる人だと思われたくて頑張ってた頃より、今の方が100倍幸せそうだよ。苦しい時があっても、楽しそうにしてる時間が増えたよ。あんなに怒らなかった、泣かなかった人が、感情をしっかり出せるようになった。気持ちを話してくれるから、わかりあえるようになった。
わたしはね、もうおばさんなのに、これから楽しみしかないよ。子供のことじゃなくて、自分の人生に希望しかない。そこまで楽しめるようになってきたよ。
デキる男、デキる女を目指す前にやることがあるんだよ。
いま、できる最大限に楽しいこと、嬉しいこと、喜べることをやりきることだよ。
嘘だと思うなら、やってごらん。絶対に世界が変わるから。
いま、旦那さまは仕事で信頼されているんだなってたくさん感じるよ。デキる男を目指していた時より、格段に人間力はアップしてるんじゃないかな。
だからあなたも。
今、喜べること
今、楽しめること
今、リラックスできること
どんどこやっていってね!!
それからね、黒柳徹子さんも、おんなじこと言ってた!!絶対最後まで読んでね!!人と比べてないぞ!!
Vogue japanより抜粋
やっぱりまず人と自分を比べたりとかはしなかったわね、絶対。往々にして、人ってね、人と自分を比べたがるのよね。「私はあんな風にできない」とか。「私はあの人よりはできる」とか。そんな風に思ったりなんかするんだけど、人ってもう本当に複雑で、1人1人全部違うじゃない。だから私は一切、人と自分とを比べるようなことはしなかった。だってそんなこと言ったら「何であの人はあんなに出演料高くもらって、私はもらってないのはどうして」とか。もう、世の中は不思議なことだらけじゃない? だから、そういうことは一切考えても無駄だなって思ったんで。23、4歳くらいの時のある日を境にね。
特に芸能界なんていうのは、やっぱり顔がきれいとか、スタイルが良いとか、もうそういう勝ち負けみたいなことがいっぱいあるじゃない。だから、そういうのに引きずられちゃ損だなって思ったのね。自分は自分らしくいくしかないなって思って。そういう風にしたんで、とっても楽でしたよね。そうじゃないと人と自分を比べたりなんかしたり、世の中と自分を比べたり、また書いてあることに自分を当てはめようと思ったりなんかしても、そんな風にいかないわけだから。世の中はね。
「“できる”っていうのはどういうのかっていう基準は、みんな違う」
—そういう風に決めて、それを突き通されていく感じですか?
そうですね、今だにね。だから「こういう風にしたら人からよく思われるだろう」とか、「こういう風にしたら利口そうに見えるだろう」とか、「よくできる人間に思われるだろう」とか、そういうこと考えたことはないの、私。“できる”っていうのはどういうのかっていうのは、その基準はみんな違うじゃない。私は自分の範囲内でできることができればいいなと思ってたんで。割と気楽に来ましたよね、ここまで。競争なんかしないんだから。