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サッカーとマニュアル化戦略


経営分析のフレームワークでサッカーの試合を考えてみます。


現代サッカーではゲームモデルが肝心だと言われる。
企業経営で考えると、ビジネスモデルになるんだろう。

ゲームモデル:どんな方法で試合に勝つか
ビジネスモデル:どんな方法で利益を稼ぐか


具体的なビジネスモデルをサッカーのゲームモデルに置き換えてみたい。
今回は「マニュアル化戦略」。
実例としては、マクドナルドやケンタッキーなどのファストフードが分かりやすい。
マクドナルドやケンタッキーは商品力もさることながら、世界中どこでも同じ品質の商品・サービスを提供できる点が大きな武器と言える。
つまり、マニュアル化戦略の要点は「常に一定の提供」ができることにある。


マニュアル化という言葉には、「柔軟性がない」「創造性がない」といったネガティブな印象を持つ人は少なくないでしょう。
「マニュアルに書いてあることしかできない」と捉えれば間違えではない。
しかし、見方の問題であって、マニュアル化が優れているのは「誰がやっても一定の成果」が得られることにある。

全てではないものの、元来、職人や専門家でないと出来なかったことのうち、他の人でも限定された範囲・水準での再現ができるよう手順・数値を見極めて定めることがマニュアル化と言える。
人が修練を重ねて体得した「技能」を、限定的ではあるが科学的に伝達可能な「技術」に転換することは、産業の多くの分野で行われてきている。
マニュアル化することで、職人や専門家ではない労働者が作り出すことができるようになり、生産性が飛躍的に向上する。もちろん、粗悪品となっては売上にはつながらないことから、マニュアル化する範囲や水準の見極めが非常に重要となる。


サッカーを「マニュアル化」の切り口で考えると、
個別の試合の戦い方というよりは、リーグ戦の戦い方になるのではないか。
長いシーズンにおいて、常にベストメンバーが組めるわけではない。怪我・病気・疲労蓄積・出場停止が起きうる。
よって、特定のメンバー構成でしか実現できない戦い方をトレーニングしつづけることは、リスクともなりうる。
チームの誰が出ても一定の再現性のあるプレーができるようなトレーニングを行い戦っていくことで、試合中のエラーやミスを減らし、スムーズな連携プレーを実行することができる。
つまり、シーズンを通して安定した戦いができるようになる。


「マニュアル化」サッカーの一例。

攻撃の原則として
・パスを出したらスペースへ走る
・ペナルティエリアでパスを受けたらシュート
を定める。

これを、実行するために、
・正確なパス技術
・味方と重ならないスペースを見つける力
・走り続けられる体力
・ペナルティエリア内では枠内に飛ばせるシュート技術
を全員が身に着けられるようトレーニングする。

結果として、相手にとっては誰か特定のプレイヤーをマークして押さえれば良いとはならない。なぜなら、パスワークやボール運びの中心、絶対的なフィニッシャーが決まっているわけではなく、どこからでもボールが前進させられ、誰もがペナルティエリア内でシュートを打ってくるため。これは守る側としては、しばしば厄介である。


「マニュアル化」サッカー

  • チームとして高い頻度の再現性を発現させるサッカー

  • チームとして安定したパフォーマンス発揮が可能

  • 強烈な個性を持つ選手はいないが、勤勉な選手が揃っているチーム向け(個性や削いでしまう可能性がある)

  • 対戦相手から分析されやすいため、細かい攻め方や守り方を決めすぎないことが重要

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