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ソビデ第12回「CatBotを開発してみてわかったチャットボットのUX」

ソーシャルビジネスをデザインする、略して、ソビデ。不定期連載の12回目は、チャットボットのUX(ユーザーエクスペリエンス)、つまり、ユーザーにとっての体験価値をデザインするお話です。CatBotの開発を例にとって、ご説明します。

株式会社ニューロマジック、イノベーション担当執行役員の藤本です。ニューロマジックでは、イノベーションとソーシャルビジネスデザインを担当。まちづくり中間支援組織のたまプラ・コネクト、猫と人間の共生社会を目指すコードフォーキャットとしても活動しています。

チャットボットとは何か、というところから、話を進めていきましょう。
私自身、チャットボットと言えば、「りんな」のような、人間同士が会話するように、コンピュータとリアルタイムで対話を行うというイメージでした。そして、横浜市ごみ分別チャットボット。捨てたいごみとして「旦那」と入力した投稿が話題になりましたね。 「りんな」は、2015年にLINEに登場。女子高生チャットボットとして大きな注目を集め、キャラクタープラットフォームとして、第三者への提供もされています。

しかし、チャットボットをいろいろ見ていくうちに、AIというよりは、かなり単純で、シンプルな構造のものが多いことがわかってきて、新たなタッチポイントとしてのチャットボットに興味が出てきました。

情報がありすぎて、探すのも大変、信頼性を判断するのも大変という中、
・ユーザーは、ほしい情報に一発でたどり着きたいと思っている。
・送り手側は、これだけは知ってほしい情報をリーチさせたい。     
というメディアになるのでは、ということです。  

さらに、CatBotに則して説明を続けましょう。

CatBotの目的は、はっきりしています。正しい飼い主になってもらうための、適正飼育ガイドラインの普及啓蒙にあります。
ターゲットは、猫の飼い主初心者に設定しました。

これだけのことはわかったうえで、猫と暮らそうよというチャットボットをつくりたかったのです。

まずは、情報設計から。
ライタソンで収集された、「猫あるある」や初心者向けに書かれた本を参考にしながら、設計を進めていきました。

ライタソンについては、ソビデ第2回「ライタソンでチャットボット」をご参照ください。

情報設計にあたってのポイントは以下の通りです。

1)自由会話よりツリー構造
会話を楽しむためのチャットボットではなく、ほしい情報にたどり着ける、最低限の情報を伝えるためには、ツリー構造が望ましいと考えました。それも、浅いレイヤーのツリー構造であるべき。せいぜい、2段階にすることしました。それ以上になると、なかなかほしい情報にたどり着かない感覚になってしまうからです。

2)飼い主目線での情報設計
どうカテゴリー分類するか、その中でのQAの設計は、あくまでも飼い主目線である必要があります。ここでは、ライタソンで収集された「猫あるある」=素朴な疑問が大いに役立ちました。

<アルファ版のカテゴリー>
・ご飯どうする
・トイレの用意
・環境づくり
・お留守番
・ネコあるある
・仲良くなりたい
・大切にしたい
・地域猫のこと

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3)プッシュをうまく使う
浅いツリー構造だけではなく、プッシュ型での情報提供を織り交ぜることで、飽きずに、体験してもらえると考えました。それが、クイズ(先生と遊ぼう)と豆知識(先生のひみつ)です。そこから、だったらこれは?というように、また、知りたいカテゴリーに戻っていけばいいのです。アルファ版ではまだプッシュ型になってませんが。

4)自由入力への対応
現段階で、あらゆる質問に答えられるわけではないので、その単語から、適切なQAに誘導するために、タグを配置しました。同じ単語から、複数のQAを設定すると迷子になってしまうので、注意が必要です。
現時点ではタグ誘導ですが、それには、限界があるので、次の段階は、AIということになるでしょう。
ユーザーの興味関心を読み取って、適切なQAに誘導していきたいですね、それでこそ、チャットボットです。

ご飯どうする、のカテゴリーだけでも、
ドライ、カリカリ、缶詰、ウエット、パウチ、食事時間、時間、何回、朝ご飯、晩ご飯、おやつ、チュール、鰹節、牛乳、ミルク、玉ねぎ、ネギ、ニンニク、チョコレート、イカ、生もの、水道水、温度、ミネラルウォーター、年齢、病気、歯周病、置きっぱなし、というタグが付けられており、適切なQAに誘導する役目を負っています。

5)キャラ開発
機械的で、無機質なチャットボットでは、たとえ疑問を解消できたとしても満足度はあまり高まらず、やがて利用しなくなるのではないでしょうか。チャットボットにキャラを付与することで、ユーザーに楽しく利用してもらうことができます。CatBotの場合は、適正飼育ガイドラインの理解につなげるのが「ネコ先生」というキャラの使命ということになります。

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6)信頼性
誰が回答しているのか、それとも、個人的見解なのかをはっきりさせておくことが重要です。CatBotの場合は、カリスマ獣医師、東京猫医療センターの服部幸先生に監修していただいています。

CatBotの情報設計をしてみて、改めて、チャットボットUXのポイントを整理してみると、

・目的を明確にしましょう

・ターゲットユーザーを見誤らないこと

 ・適切な情報設計とシナリオライティング 

・できることを明確にする

・無理やり対話型にしない 

・キャラ設定と親しみやすいやりとり

・できるだけ「わかりません」メッセージを表示させない 

・情報の信頼性の担保

いいチャットボットは、ユーザーがより効率的に何かを達成できるようにしてくれるものです。いいチャットボットは、体験自体を楽しめますが、悪いチャットボットは、ユーザーの時間を無駄にしたり、意味の通らない返答をして、ユーザーをイライラさせたりして、ユーザーは、二度と来てくれないでしょう。 

CatBot、使いたくなってきたでしょ?
もうしばらくお待ち下さい。2020年2月22日には、ベータ版として、一般公開しますので。

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