ソビデ第6回「カードゲームというフォーマット」
株式会社ニューロマジック、イノベーション担当執行役員の藤本です。
ニューロマジックでは、生産性向上のためのプロセス・イノベーション、ソーシャルビジネスデザインを担当。まちづくり中間支援組織のたまプラ・コネクト、猫と人間の共生社会を目指すコードフォーキャットとしても活動しています。
今回は、カードゲームのお話です。
テーブルトーク・ロールプレイングゲーム(TRPG)って知ってますか?その名の通り、カードを使ったRPGです。ドラクエ、FFで、RPGというワードは有名になりましたが、カードのRPGがもともとだったらしいです。まあ、考えてみれば当たり前ですね。ファミコンができたのが1983年で、ドラクエが1985年で、それより前は、カードゲームだった訳ですから。カードゲームをRPGと言い、ファミコンの方は、CRPGと言われていてもよかったのかも知れません。
そんなカードゲームが、なぜか、最近、ソーシャルビジネス領域で注目されてきているのです。
私がまず注目したのは、まちなか発想ゲーム「メイキット」でした。
各地でオープンデータのイベントが開催される3月2日のインターナショナルオープンデータデイ。2019年、私が選んだのは、公共交通オープンデータ最前線でした。
GTFSを推す伊藤さんとODPTの坂村さんのディベートも面白かったのですが、結論は、GoogleのGTFSしかないと思いますが、それは、今回のテーマではないので、これ以上の言及はしません。私が注目したのは、ディベートの後に出てきた名古屋大学の飯島さんのライトニングトーク(LT)でした。
名古屋大学だからか、メイキットという名前のカードゲームは、こういう構造になっています。地域課題を解決するために、地域資源とオープンデータを使ったアイデアを競うものです。
・まちの声(地域課題)
・まちの資源(地域資源)
・まちの魅力(オープンデータ)
これを見て、すぐに、シビックパワーバトルに使えるなと思い、オープン川崎の小俣さんから飯島さんにコンタクトしてもらい、メイキットが5セット届くことになりました。メイキットは市販されているカードゲームではなく、あくまでも、研究教材であり、使用申請をして、レンタルさせてもらい、結果報告が義務付けられています。
早速、川崎シビックパワーバトルのキックオフイベントで、試してみた感想は次の通りです。
・ご当地バージョンをつくるべき。
・地域課題の探索から行うことで、課題が共有化できる。
・地域資源の発掘を行うことで、地域のことを深く知ることができる。
・オープンデータを探索するキッカケにできる。
・ワークショップのアイスブレイクにいい。
シビックパワーバトルに限らず、コミュニティ活動、ソーシャルビジネスに向いてるなと思います。現に、SDGsカードゲームもあるようで、その構造はほぼ同じです。
その構造とは何なのか、
知り合いのカードデザイナーに尋ねてみると、ひとつのカードゲームを紹介してくれました。それが、キャット&チョコレートです。
リソースとアイテムを駆使して、課題解決のアイデアを考えるという構造です。課題解決リソースアイテム手法と勝手に命名しました。
課題には、難易度が設定してあり、それによって、使えるリソース、アイテムの数が変わります。事前にチームカードが伏せて配られ、ゲームが終わってから、どっちのグループが勝ったかわかる仕掛けになっています。
課題解決リソースアイテム手法を使って、地域猫カードゲームをつくってみました。
目的)
猫の正しい飼い方の啓蒙普及が目的。そと猫(外飼いの猫、出入り自由の猫、飼い主のいないノラ猫、迷子の猫)の置かれている厳しい環境を理解し、完全室内飼いを厳守してもらうこと。
カード種類)
・トラブルカード(トラブルに見舞われている32匹の猫、難易度3段階)
・ルールカード(地域猫、完全室内飼いなどの解説)
・リソースカード(猫をとりまく地域資源)
・アイテムカード(猫に関係する+まったく関係ないアイテム
・チームカード(飼い猫vs地域猫)
ゲームの進め方
トラブルに見舞われている、そと猫をリソースとアイテムを駆使して助けるというもので、そのアイデアが参加者全員から評価されれば、手元に、助けた猫として確保することができる。その数を競うゲーム。トラブルカードの中に、ルールカードが混じっているので、それを引いたプレイヤーは、書かれているルールを読み上げることになっている。
このゲームの手作りプロトタイプをつくって、いそねこ(磯子区猫の飼育ガイドライン推進協議会)の人たちとゲームをやってみたところ、おもしろい、ためになる、使えそうとの高評価をいただきました。以下、そのポイントを整理しておきます。
・セミナーとかの前にやるといいと思う。
・私たちは知りすぎてるので、ユニークなアイデアを出にくいが、 運営する(ファシリ)側にまわると、 地域猫が置かれてる現状、そと猫の危険性などの説明を補足できる。
・ルールカードで、地域猫ルール、完全室内飼い、TNRを知ってもらえるのもいい。
・かわいいイラストは必!猫を集めたくなる(助けたくなる)
・リソースに、民生委員、町内会長、警察、譲渡会など、地域猫を取り巻く人やコトを加えてほしい。
・トラブルに、最近増えているアライグマを入れてほしい。
2019年の石巻ハッカソンでは、地域猫カードゲームをデジタル化することにチャレンジ。
・AR(カードのQRコードをかざすと、3Dの猫が現れる)
・GIS(リアル地域猫ゲームにできる)
・TCG(猫カードのトレーディング)
カードゲーム、いろいろ使えそうでしょう?
ソーシャルビジネスとしてのカードゲームには、いくつかポイントがあると思っています。
・課題の構造、ステークホルダーの整理。
・カードの設計プランニング。
・カードのUX/UI
これ、みんな、ニューロマジックには、あります。
一緒に、社会のためになるカードゲーム、つくってみませんか?
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