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【IPPONグランプリ 異例の第23回】

6月上旬 その発表は正に不意打ちだった。
リモート撮影にとどまりつつあり、出演者・スタッフ同士の接触を避難することを優先化し ソーシャルディスタンスを設けた上での収録こそ 現時点での万全なものだと我々は思っていた。

        【黒いマスク】

自分がその開幕を知ったのは、公式HPの発表ではなかった。絶対王者であり、行く末 5回目の優勝制覇となる #バカリズム の投稿だった。主催・お台場笑おう会から選出され 出場が叶うのは、ほんの一握りの10名のみ その中に バカリズムが 22回目の招待場と IPPON とかかれた黄色の羽 そしてロゴが小さく貼られた特製の黒マスクを3枚 受けとったことを報告した フォローをしている方からすれば毎回恒例の投稿から 第23回の存在を知ったのだった。

ロゴ入りに黒色のマスク 相変わらずまでクオリティ気質が高いこの大会ならではのこだわり いろんな人がオリジナルマスクだのと半分自慢で見せてくるものよりも、はるかにカッコよく こんなに欲しいと思ったマスクは初めてだったことも思い出しつつ、今大会の特徴というのをマスクが物語っている気がした。

IPPONグランプリのプレイヤーの衣装は基本スーツを着用し、集結する。暗色の中で黄色い影を漂わす IPPONの羽は その存在感はまさに象徴的。同じように暗色の中でIPPONとハッキリプリントされた 特製マスクは、羽同様の演出も兼ね備えた設計となっており 期間限定の開催となった大会を印象付ける 新たな象徴となっていくのではないだろうかと推測した。飛沫感染を防ぐため IPPONプレイヤーが身につけたとしても、市販的なものに比べ 最小限まで違和感をかき消すことが出来るデザインのため 収録の休憩中だけでなく本戦でも斬新ながら着用が義務付けられるのではと予想をしていた。もし本番で着用をしないのであれば、現在 番組の構成上 控え室で一般回答を紹介する最中 出場者のリアクションを窺える部分はカットされているため 用意されるのは市販的な白のマスクが当日配られることもあり得たため これほど細部まで手間のかかったことには 今大会の予測不可能な背景が待ち受けているということを ジワジワと予感立てていたのだった。

そしてOAを見てみると...、プレイヤー10人 選ばれし証明となる 羽はスーツの襟に装着させてはいるものの 勝手ながら期待していた オリジナルマスクの着用をしている人はいなかった。さらに通常 観客席となる場所に普段より多めの観覧ゲストが座らされ 見届けて言ったわけだが そのゲストも誰1人 マスクを着用していなかったのだった。そしてフロア進行を努めた #榎並大二郎 アナウンサーも 着用せずのまま 進んでいった。ただ、カメラマンさん、フロアスタッフ、ADさん等 番組を支える番組制作スタッフの方の口元を あのマスクがしっかり覆っていたのだ。表に出る演者の顔を守ることよりも、裏で支えるスタッフ側の方に万全な対策を施し 演者の顔を立たせる判断に打って出たのだ。OPでは、今年はどんな時期だったのか 様々なシーンから切り取って構成していく中に トレードマークのマスクを着用し、スタジオセットや小道具を消毒液で拭き取る方の姿。映像器具を取り扱い 集中して画面を見守る 大勢の方の姿 と 横顔。そして出演者の体温を測り 健康面・衛生面のチェックを行うスタッフの姿が、差し込まれていた。
2時間の放送の中に込められた 黒マスクが物語っていたのは、ソーシャルディスタンスの裏側に隠された 作り手たちの【偉大なるチームワーク】がこの番組には溢れていたということ。出演者専用といっても過言ではない 凝りに凝ったIPPONマスクを スタッフ全員に配って、出演者と共に映ったカメラマンを敢えて 際立たせないように工夫しているところが、ここからはじまる戦いで既に輝く演者の皆さんが大喜利特有の喋り方や顔の表情を妨げないようにするから 思う存分 楽しんでやってくれという活躍を願っているかのような 情熱的な思い遣りを感じさせられた。

...黒ずくめのバカリズム なんか貴重な感じもするから少し見たかったという部分は否めないが。

      【雰囲気は一切殺さない】

第23回 矢沢永吉 【止まらないHa〜Ha】と共に、スタジオは画期に包まれはじめる。中央エントランスから登場してきたプレイヤー10人たち 足並みを揃えて所定の位置に座ったところで 1人ずつ意気込みを聞き始めた。
バカリズムの最初のコメント 覚えているだろうか。

『さすがにスベるんじゃないですかね。』
(客席を見渡しながら。)

圧倒的最多出場者の彼すら戦慄くこの戦場。お馴染みとなった右端の席からの景色から見えて思ったことが ぽろっと零れた 自然なコメントに聞こえた。右端だけが怖いわけじゃなく、常連組 初出場組 皆揃って落ち着かないのも無理はない。アクリル板で包まれた 解答席と審査席 開放的で密だったため、自分の声は 放った後 ものの数秒でかき消されるはずだったものが、風通しならぬ 声通しがすこぶる良い環境で 放った声はスタジオ中にありえないほど残ることに緊張を覚え、さらに両脇のアクリル板が 声を跳ね返し、自分の耳に煩く入る。プレイヤー側は思わぬところからの苦戦を強いた中、お題はスタートした。

このお客さん という部分も IPPONグランプリの解答の一部として捉えられるのが この大会ならではの風物詩であって、これがあるかないかで 大会ごとの面白さのレベルが構築されていく。もちろん毎回 基準は高いものの たまにチャンピオンが混ざろうとも 5人平均のIPPON獲得率が 同大会のブロックとも比べても どっと低くなることも珍しくない。その理由はやはりお客さんも緊張してる雰囲気を作ってしまっているからで、笑い声は番組作りにおいても かなり大事な花形的存在なのだ。
このお客さん問題も 第23回は驚きの対策で スタジオに花を咲かせることに成功している。もちろん客席には、大喜利が大好きな観覧ゲストの項目に加えて、ハイテンションな方を招待 #青山テルマ さんや、 #CreepyNuts さんなどと、お笑い芸人さんと交友が深い方が多かったし、大好きな方ばかりで1つずつの解答の捉える力もちゃんとあったから 一般の方とは違って理解が早いところがメリットであったりして、リアクションも大きい。そして観戦中 合間合間のコメントもただ置いておくんじゃなくて 解答に付箋でコメントを貼り付けたような 軽快な解説っぷりが 面白かったので、近くで見る分 見つかる点も沢山あったのか 普段の観覧ゲスト席よりも記憶に残ってたのが今までと異なる文句なしの人選だった。
そして一般の方も リモートですけども試合観戦ができて その場所にマイク入れてリアクションや歓声を 会場にリアルタイムで流しているっていう 観戦スタイルを客観視することがあまりなかったので、鮮度かある笑い声にこだわったところが『すげぇ』と 心の底から口に出すぐらい感心してしまった。

すべるすべらないの強弱もあからさまに判っていく様子 この本番さながらの臨場感をこれまでの雰囲気を経験済みの出場者にキープさせるために 他の会場からの天然な笑い声を送りこませていく という大胆かつ画期的な手法が、密を避けつつバラエティのクオリティを長時間保ちさせる方法の提案としての観点として 今大会 極めて異例だなとはっきり思ったポイントである。本当に客を入れてるし、このスタジオ、密でしょと勘違いしてしまうくらい バッチリ盛り上がっていたのが 今でも信じられない その言葉に尽きる。

         【最後に】


IPPONグランプリは正にフジテレビが生んだ[企画]ではなく【ソフト】という概念であり、常々アップデートしたものを集結させた最新作をまた世に売り出し コロナ禍たるもので止まらせないため制作先延ばしにせず、敢えて今 笑いのパワーと バラエティを生き抜く術を教えてくれる そこまでいっていいくらい IPPONグランプリ と IPPONグランプリに携わる人は 天才だと思う。

「これからも応援しています。

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