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自動車業界のはなし

先日このような twitter のスレッドが流れてきて、読み込んでしまいました。https://twitter.com/turtle_auto/status/1542289655466315776

私は 10 数年自動車業界にいましたが、とても頷ける内容でした。「そんな事はわかっている」という感覚はそのとおりだと思います。

  1. わかっていて危機感を感じている人

  2. わかっているが危機感はあまり感じていない人

  3. わかってない人

の 3 つに分類される気がします。私も、自動車業界に居た時は、1. の人間だった自負はあります。ですが、個人的にもどかしかったのは、「でもどうしたらいいのか」「具体的なアクションが描けない」「(アクションを思いついたとしても) 個人のアクションでは焼け石に水」「じゃあ仲間を集めて大勢を巻き込んで…と言ったって目の前の仕事に忙殺されてそんな余裕は無し」「でもこのままではヤバイ気がする」みたいな事が堂々巡りだったことです。

感覚的には、2. の人も結構居るのではないかという気がします。なぜなのか。国内の自動車業界がまだ (比較的) 好況だからと思います。特に、自動車メーカー・1 次サプライヤの給与は極めて高水準ですし、巨大企業ゆえ体力は相当あり、すぐにガタ落ちするはずもないだろうという感覚です。少なくとも自分たちが定年で退職するまでは持つだろうと。私も、転職で悩んでいた時はこれにだいぶ後ろ髪を引かれていました。

危機感がないだのと書きましたが、自動車業界も必死に新製品を開発している事は事実です。それこそ身を削り、社員はプライベートも犠牲にして、血の滲むような努力でやっています。私もそうでした。家族との時間も犠牲にして仕事をせざるを得ませんでした。自動車業界は、何に対して危機感を持つべきか。それは、台頭してくる EV 勢やテスラを始めとするテック勢も去ることながら、自分達自身の古い体制、効率の悪い開発スタイル、寝る時間以外は働かなければならないほどの残業ありきの構造、みたいな事ではないかと思います。「開発効率の悪さ」は常々感じていました。組織構造、仕組みの問題、巨大組織ゆえに生ずる様々なオーバーヘッドだったりを排除しない限り「身を削ってプライベートも犠牲にして」まで仕事して、なんとか市場の要求に答える事ができている今の状態からは抜け出せない気がしました。

しかしながら、これらが一概にすべてムダかというとそうでもないのが難しいところです。「人命を預かる工業製品の大量生産」というタスクは、大きな組織でなければ成し得ないと思います。大きな組織を運営していくには様々な調整が必要で、オーバーヘッドは発生します。ただ、「必要だ」「しかたないんだ」と言っていても何も変わらないのもそう。ソフトウェア業界、ベンチャーという小さな組織、に身を置くことで、ここの人たちがどうやって効率よくプロダクトを生み出しているのか知りたかったという面も転職の 1 つの動機です。そこについて分かってきたことは追々書こうと思います。

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