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「返し」の作り方・「だし」の取り方・「蕎麦汁」の作り方


☆「返しの作り方」☆

「返し」とは「蕎麦汁(そばつゆ)」の素です。
「返し」には、火入れをする「本返し」と火入れをしない「生返し」が有りますが、ここでは、「本返し」の作り方を説明します。

その「返し」に「だし汁」を加えて、「せいろ」などの冷たい蕎麦用の汁や暖かい「掛け」などの汁、「天つゆ」等の蕎麦汁を作っていきます。

では、早速「返し」を作ってみましょう。

【材料】
醤油 18リットル
味醂 3.6リットル
砂糖(白ザラメ) 3㎏ ※加那やでは、2.9kg使用しています(お好みで)

☆分量は、其々十分の一でもOKです。

①「味醂」を沸騰させる。
②沸騰させてから4分程、煮切る。
*「煮切る」と云うのは、沸騰させて「アルコール分」を飛ばすこと。

みりんを煮切る

③煮切り終えた「味醂」に砂糖(ザラメ)を加えて、完全に溶けるまで強制的に良く攪拌する。

白ザラメ


砂糖(ザラメ)を強制的に煮溶かす


④砂糖(ザラメ)が煮溶けたら、醬油を加える。

醬油を加える

⑤砂糖(ざらめ)と醬油を加えたら、撹拌せずに加熱していく。

温度を見る

⑥温度計を差し入れて、60℃になったら火を止める。
⑦一晩置いて、常温になるまで冷ます。

一升瓶に小分けする

⑧冷めたら寸胴から一升瓶に小分けする。(小分けする時に一升瓶の反対側からライトを当てると一升瓶の何処まで返しが入ったかよく見える)

⑨出来れば冷蔵庫に保管できれば最高ですね。

☆そしてこの「返し」と「だし」を合わせると、「蕎麦汁」  が出来ます☆


☆「だし」の取り方・「蕎麦汁」の作り方☆

通常の仕込みでは、「だし」を取りながら「蕎麦汁」を作ります。
今回は、「盛り汁」(冷たい蕎麦用)を「だし」ベースで2.0リットル
       「掛け汁」(温かい蕎麦用)を「だし」ベースで3.0リットルを作ります。

【分量】
水 4.2ℓ 「盛り汁」用を2.0リットル
     「掛け汁」用を1.5リットル (作る「掛け汁」分の半量計る)
     「蒸発分」用を700cc
                 ※総量の水に対して20パーセントを「蒸発分」として計ります
      細かくは、鰹節に吸われる分10パーセント
           単純に蒸発分10パーセントと云う感じですね

 

水を測る「盛り汁(2.0ℓ)+掛け汁(1.5ℓ)+蒸発分(700cc)=4.2ℓ」分(A)
水を計る「かけ汁」分(総量の二分の一)(B)

①分量の水を計る。
今回は、「盛り汁」分2,000cc+「掛け汁」分1,500cc+「蒸発分」700ccで
トータル 4,200ccになります。(A)

二番だし(「掛け汁」分)の水は、総量の二分の一として計っておきます。

鰹節を計る(280グラム)


昆布を計る(35グラム)

②分量の「鰹節」と「昆布」を計る。
「鰹節」の分量は、水1リットルに対して80グラム。
「昆布」の分量は、水1リットルに対して10グラム。です。

従って、「鰹節」は、3.5リットル×80グラム=280グラム
    「昆布」は、3.5リットル×10グラム=35グラムとなります。

※因みに使用している「鰹節」は枕崎の「2年物枯節」、昆布は「利尻天然昆布」です。

「一番だし」に加える「返し」
「二番だし」に加える「返し」

③ここで、「一番だし」及び「二番だし」に加える「返し」を計っておく。
「返し」の量で「蕎麦汁」の濃さが決まりますが
加那やでは、「盛り汁」は、「一番だし」の38パーセント
     
 「掛け汁」は、「二番だし」の10パーセントで作ります。

④計量カップの目盛りで計ると、日々若干の誤差が生じるので「はかり」で重さを計るようにします。
「盛り汁」=2,000cc×38%×120%=913g
「掛け汁」=3,000cc×10%×120%=360g
※120%と云うのは「返し」の「質量」を考慮したものです。

昆布は水から入れる


沸騰する前に引き揚げる

⑤計量した水を鍋に移して、分量の「昆布」を水から入れる。

昆布を引き揚げた鍋に「鰹節」を入れる(沸騰させない)

沸騰寸前に「昆布」を引き揚げて、「鰹節」を入れる。この際に沸騰させないように「火」を落とし、「五分間」放置する。

綺麗に「灰汁」を取り除く

⑨放置している間に、浮いてきた「灰汁」を綺麗に取り除く。

「だし」を漉す

⑩五分間、放置したら「漉し布」を敷いたざるを寸胴に置き、「だし」を漉す。(これを「一番だし」と云います。

鰹節を絞らずに鍋に移す

⑪「一番だし」を漉すときは、「漉し布」を絞らずに自然に漉し、漉し布に残った「鰹節」は、そまま鍋に移し入れます。

「昆布」と「鰹節」を鍋に戻入、総量の二分の一の分量「掛け汁」分の水(B)を鍋に入れる

⑫「昆布」と「鰹節」を戻しいれた鍋に、総量の二分の一分量の「掛け汁」分の水(B)を入れる。

⑬結構強めの火加減で、沸騰するまで煮だす。

「一番だし」を分量分計る

⑭「一番だし」を2,000cc(分量分)を計る。
※この時、一番だしを漉した寸胴の中には、「一番だし」が残っています。

③で計っておいた盛り汁用の「返し」


「返し」と合わせて火にかける

⑮別の鍋に測った「一番だし」と③で計量しておいた「返し」を合わせて火に掛ける
※この時、仕上げに「焼入れ」する為、「金棒」を一緒に掛けておく

鍋の周りが「シュッ」となったら火を止めて金棒で火入れをする
隠し味として酒を3回り程垂らす
味醂もほんの少々垂らす

⑯火にかけた鍋の周りが「シュッ」となったら火を止めて、「金棒」で火入れをする

⑰隠し味として「酒」を3回り程、味醂を少々垂らし入れる。

アルミの漉し器を使って「盛り汁」を漉す
「盛り汁」の入った寸胴を氷で冷やす

⑱出来上がった「盛り汁」を適当な大きさの寸胴に写す。
その際にはアルミの漉し器を使って火入れの際の鉄屑等が入らないようにする。

⑲寸胴より大きめの「ボール」にほんの少々水を張り、その中に寸胴を入れ、氷を張る。
※「盛り汁」を入れて置く「寸胴」は、「ホーロー」製の物を使うと味が変わらないと云われています。

二番だし(かけ汁用)の物は少し煮だして五分間置く
出た灰汁をきれいに取り除く

⑳⑫の手順で作った「掛け汁」用の「二番出し」は、煮立ったら強火のまま30秒程煮て、火を止めて5分間程置く。

㉑作業中に出た灰汁は、綺麗に取り除く。

昆布を取り出す
寸胴に開けて棒などを使ってよく絞る

㉒灰汁を取り除いた「だし汁」から昆布を引き揚げて、「一番だし」の残った寸胴で漉して、「一番だし」の時とは違い、棒などを使ってよく絞る。

分量の「二番だし」(かけ汁)を計る
残った「二番だし」は料理用として別の容器に取って置く

㉓漉した「二番だし」を分量分計る。
ここでは、3,000ccになります。

残った「二番だし」は、他の料理用に別の容器に取って置く。
※「二番だし」を漉した寸胴の中には、「一番だし」が残っていたので、日本料理で云うところの「追い鰹」をしたのと同じ形になります。

③で計っておいた掛け汁用の「返し」
返しと二番だしを合わせて沸騰する前に火を止めて焼入れをする

㉔分量の「二番だし」と③で計っておいた「返し」とを合わせて、「掛け汁」を作る。

㉕鍋の周りが「シュッ」といったら、火を止めて「金棒」で「火入れ」をする。画像は有りませんが、隠し味の「酒」と「味醂」を加えるのは、「盛り汁」の時と同じ。

アルミの漉し器で漉すのは「盛り汁」の時と同じ
掛け汁用の寸胴でそのまま冷ます

㉖掛け汁用の寸胴にアルミの漉し器を使って漉して、そのまま冷ます。

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これで、基本的な「蕎麦汁」をご紹介してきましたが

使い方としては、「盛り汁」は寸胴ごと冷蔵庫に入れておき、「ホーロー」のポットに小分けにして使います。オーダーが入ったらポットから「蕎麦徳利」に移します。(加那やでは、一人前80ccとしております)

「掛け汁」はオーダーが入る度に使う「どんぶり」に併せた分量を、「行平鍋」で温めて使います。その際には「どんぶり」は釜のお湯で温めておきます。

その他に、蕎麦屋で使う「汁」に「天つゆ」が有ります。
「天つゆ」は「盛り汁」と「掛け汁」を同量併せたものです。
「天つゆ」は温めたものと常温のものと有りますが、お好みで。
因みに「加那や」では、常温でお出ししております。

※今回の記事で良く解らない事や、不明な点がありましたら、下記までご連絡下さい。

Eメールアドレス

kanaya@sobaryourikanaya.jp


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