“新たな文化を伝えていく”NPOが情報を発信することで生み出すもうひとつの価値
小さな物語を紡ぎ、その情報をみんなが見ることができる。データの蓄積をしているのがsoarのすごさですよね。
そんな素敵な投げかけからはじまった6月6日(水)のイベントは、以前soarの記事にも出ていただいた今井紀明さんが運営する認定NPO法人DxP(ディーピー)とsoarの共催で行いました。
今回のイベントのテーマは、「“発信”が生み出すコミュニティ」。情報発信をしていくことでうまれる新しい人とのつながりや、その先にできるコミュニティについてお話しました!
「生きづらさを抱えた高校生に人との繋がりを作る」認定NPO法人DxP
DxPは、通信・定時制高校の高校生支援に特化したNPOです。通信制の高校には生きづらさを抱えた高校生がたくさんいて、少子化が進んでいるにも関わらず、その人数は増えているのだそうです。
通信制の高校だけに絞ると進路が決まらないまま卒業する方が40%にものぼる現状があるのですが、”高校生一人一人に可能性がある”と今井さんは語ります。
「起業したい」「ものづくりが好き」「ダンスや写真ができる」など、強い思いや才能がある高校生がたくさんいると感じているのだとか。
今井さん:10代で生きづらさを感じている子たちは、本人は自分の可能性に気づかないことが多いんです。それは本人にも、社会に対しても勿体無いことです。
そこでDxPでは、学校で授業の時間をもらい、まずは高校生のみんなに夢を叶えるために人間関係を作ってもらうという活動としています。
「情報を必要としている人にしっかりと情報を届けたい」NPO法人soar
soar代表の工藤が活動をはじめたのは、身内が統合失調症になってしまったことがきっかけです。
統合失調症について調べているうちに見つけた「べてるの家」を訪れて、「人は弱さで繋がることができる。病気が治らなくても幸せになれる」ということがわかったのだとか。
工藤:困難を抱えている人は、情報をなかなか見つけられない。一方、素晴らしい活動をしている人はたくさんいるにもかかわらず、現場に忙しかったりして、情報発信まで手が回らないこともあります。
この両者を結びつけることで、課題を解決しようと考え、人の可能性が広がる瞬間を捉えるウェブメディアsoarをはじめました。
人生をどう生きていくのか問いかけるメディア
まずはじめに、soarの運営のあり方ついての話がありました。
工藤:soarは、正解を示すメディアではないと思っています。こうであると断定的に発言すると人を惹きつけるけれど、「今この人はこう考えている。ではあなたはどうしますか?」と問いかけるメディアにしたいと思っているんです。
今井さん:確かに弱い言葉は分散しやすいし、人の目にとまりにくいと思う。逆に断定的なものは広がりやすい。でも、その発信のあり方には疑問をもっていて。soarは、断定せずに言葉を広めるということが、しっかりできていると僕も思います。
今井さんは、DxPの活動を通して、周りから否定されて生きてきた人たちは、本人自身が自分の良さに気づけないことが多いと感じているといいます。
その上で、soarは本人が気づくことのできない可能性に、優しく気づかせることができるメディアだと話してくれました。
批判をどのように捉えるか
活動を続けている中で、批判的な声を聞くこともあるのですが、その時の批判の受け止め方についても話がありました。
今井さん:批判している人は、味方になってくれる人も多いと感じています。昔すごくバッシングを受けたこともあったけれど、しっかりと話していくと、最終的に応援してくれた経験があります。
そう語る今井さんは、批判を受けた方ともしっかりとコミュニケーションを取っていくことが大切だと語ります。
工藤:批判に対しては、こちらに間違いがあった場合はもちろん謝罪・訂正しますが、基本的にはアクションは起こしません。ただ、その方がどういった背景を持つ方で、どういった気持ちで批判をしているのかは知りたい。なので、その方にSNSを見て、置かれている状況や考えを理解しようと心がけています。
発信することで集まる仲間
発信をしていくことで生まれるコミュニティについては、「仲間集め」という観点から語られました。
工藤:「#soar応援」というハッシュタグを使ったキャンペーンで、soarへの応援の気持ちをTwitterで書いてほしいと呼びかけたことがありました。インターネット上で、読者のみなさんの応援や想いを可視化していく機会をつくることで、私たちも励まされるし、みなさんも喜んでくれるんですよね。
この呼びかけをしたときは、いつもの3倍程度のサポーター会員への入会がありました。発信することで共感を可視化し、活動を支えてくれる仲間の輪をより広げることができています。
今井さん:寄付者・ボランティア・スタッフなど、様々なかたちで一緒に活動する仲間がいるということが力になります。学生だけでなく最近は、社会人のインターンも副業のようなかたちで活動に参加してくれています。緩やかなつながり、開かれた村のようなコミュニティのあり方も重要に思います。
今井さんは、発信をすることでNPOだからこその繋がりがうまれていると感じているのだそうです。
NPOが発信を行うことの価値
最後には、NPOが情報を発信していくことの価値について語りました。
工藤:soarの発信を通して、新たに自分の価値観を発信する人を増やしたいですね。そして、その人自身の人生や暮らし方にも何かいい影響があればいいなと思っています。「社会課題解決」というと大きなことに感じますが、ひとりひとりの普段の暮らしの積み重ねが社会をつくっているので、その人自身の生き方や価値観がよりよい方向になるといいですよね。
今井さん:ライフスタイルは重要だと僕も思っています!文化を作る、ということをしていきたいんですよね。”こんな生き方もあるんだよ”と伝えていくことも、NPOの成果の一つだと思っています。
社会課題の解決に挑むNPOが情報を発信することは、単にその課題や自分たちの活動について伝えていくことだけでなく、新たな人の生き方の可能性を示し、世の中の空気感をよりよい方向へと変化させていくという意義もあるのです。
もし今、「社会をよりよくしたい」「困っている誰かの力になりたい」という思いがある方がいたら、ぜひ一歩踏み出してその思いを発信してみてください。きっとそこから広がる共感の輪があり、ともに行動していけるような仲間との出会いがあるはずです。
soarとDxPは、これからも様々な情報を発信し活動を続けていきますので、どうぞよろしくお願いします。
イベントの内容は、ハッシュタグ「#DxPとsoar」をTwitterで検索すると見ることができます。ぜひそちらもチェックしてみてくださいね!
ライター:NPO法人soar 編集部 田中みずほ
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