「らっパフェ」の話 #2
前回の投稿はこちら↓
最大の武器
らっパフェの構想がスタートしてから1年が経った2024年2月。この頃から、最終的にらっパフェの最大の武器となった広報活動が本気を出しはじめました。
関西学生メモリアルコンサートやBLOOM BRASSなど、各方面から奏者が集まってくる演奏機会に後輩たち運営メンバーが積極的に参加し、交流の輪をどんどん広げていきました。
個人的に、演奏会の宣伝として最も効果的だと思っているのは、運営メンバーや出演者が他の演奏会に参加して、顔と名前(あわよくば団体名)を覚えてもらうことです。そういった意味では、この時期にらっパフェの知名度が一気に上がっていったように思います。
ちなみにメモコンでは、らっパフェ参加メンバーによるトランペットアンサンブルまで組まれて、広報活動とらっパフェメンバー間の交流が行われていました。
個人的には「少しやりすぎでは…?」と思ったりもしていましたが、最終的に出来上がった演奏会を見てみると、これくらいやって丁度よかったのかもしれません。(演奏はすごくかっこよかったです。)
BLOOMでも同じようなことをやろうと統括が画策していたらしいのですが、流石に周りに先輩の多い団体でそれをやるのは怖いと、自分が苦言を呈した記憶があります。その代わり(?)、BLOOM打ち上げ会場でバイト中だった運営の一人と遭遇したときは、周囲への遠慮は微塵も無く「チームらっパフェ運営+α」で写真を撮らせてもらいました。
そんなわけで、らっパフェの最大の武器である"広報力"がこの辺から牙を剥き始めたのでした。
増える肩書き
本番まで半年を切った2024年4月、それまで後方腕組み先輩面で運営を見守ってきた自分でしたが、思わぬ形でらっパフェとの関わりを深めることとなります。
統括から来るLINEはいつも唐突です。(事前に直接話してる場合が多いので…)
まさかの編曲を担当することになりました。ただし、こういった事情になった背景にもまた、ちゃんとした理由がありました。
自分はかねてから、金管アンサンブルの編曲などは趣味の一環として内々にやっていたのですが、2023年6月に自分の編曲した作品「TAKARAJIMA for Brass Octet」(作曲 : 和泉宏隆 / T-SQUARE)が、阪神国公立大学吹奏楽連盟の合同演奏会で初めて対外的に演奏されることとなりました。そのときの初演メンバーに統括と副統括がいました。
さらに、2024年3月に開催したライブ「ss brass」(吹奏楽小編成アンサンブル×フュージョン&ポップス)で、複数のポップス作品を編曲し演奏したのですが、こちらにも統括が出演していたという経緯がありました。
というわけで、自分の編曲する(ポップス)作品に統括たちが触れていくうちに、彼らの頭の中で自分が編曲者候補としてリストアップされていったようです。(以前聞いた統括談)大変ありがたい話ですね…。
80人以上の奏者のいる編成のアレンジは初めてでしたが、謎の自信とやる気に満ち溢れ、LINEの画像の通り二つ返事でオッケーしました。
が、これがなかなか大変だったのです…。
ポンコツ編曲担当
編曲を依頼されたのは、「Bohemian Rhapsody」。Queenの代表曲であり、数年前に映画が公開されたことにより再ブームが巻き起こったのも記憶に新しい作品です。
吹奏楽界にはスパークによる吹奏楽版や、トランペットアンサンブルの楽譜などが存在するそうですが、男は黙ってバンドスコア1点勝負。
Queenの演奏から採譜した譜面のみを頼りに編曲をするという、TAKARAJIMAやss brassのときと同じやり方を選びました。
編曲に取り掛かったのは、BLOOMが終わったあとの5月頭。
最初のアカペラの部分を、ミュートをつけたトランペット5重奏とするアイデアを譜面に起こし、なんか良い感じになったのでとりあえず一安心。
大編成アレンジ初心者の自分にもなんとかなることが分かり、次なるアイデアが浮かぶまで譜面を寝かせることにしました。
しかしこの選択が大誤算。
気づいたら最初の数小節以外何も出来てないまま6月を迎え、初回練習まで1ヶ月を切ってしまいました。
言い訳をすると、4月から始まった社会人生活が思いの外忙しかったり、6月にResonexus Wind Orchestraというバンドの本番に出演していたりと、なかなか編曲のやる気スイッチが入らなかったのが敗因です。
初回練習は7月15日。毎晩退勤後にMuseScoreとにらめっこする日々が始まりました。
幸いアレンジのアイデアはいくつかあったので生みの苦しみは少なかったのですが、トランペット属が6種類70本以上という凄まじい編成だったのでオーケストレーションには普通に苦労しました。
加速する公式SNSアカウントの発信に追い立てられるようにして、急ピッチで作業を進めること1ヶ月。なんと、初回練習に、楽譜が、間に合いませんでした。
統括&副統括に全力で謝罪を送りながらも作業を進め、初回練習の数日後にやっと譜面が完成しました。
Bohemian Rhapsody for Trumpet Festival Vol.1
ここで少しだけ、編曲した作品の中身をご紹介します。
Bohemian RhapsodyはイギリスのロックバンドQueenが1975年に発表した作品で、発表から50年近くが経った今もなお世界中の人々に愛されている大ヒット曲です。
曲の構成はロックとしてはやや複雑です。
バンドメンバーによるアカペラセクションで始まり、フレディの歌唱によるバラードセクション、再びバンドメンバー全員によるオペラセクション、そして8分の12拍子のロックセクション、最後にバラードセクションの順番に曲が展開していきます。
らっパフェ版Bohemian Rhapsodyの見どころは主に3つ。
まずは、冒頭のトランペット5重奏によるアカペラパート。
フレディのパートに該当する声部はミュートなし、それ以外の声部はミュートありと、冒頭から細かくて伝わらないアレンジが炸裂しています。
続いての見どころは、なんといっても前半バラードセクションのフリューゲルホルンのソロ。
編曲の話をいただいた瞬間からここはフリューゲルしかないと確信して、最終的にもそのアイデアが採用されました。
Tuttiに向かっていく最後のクレシェンドは、いわばフレディの魂の叫び。多少音が荒れようと、思いっきりやってほしいと思って書きました。
3つ目の見どころはオペラセクション。
トランペット属の多種多様な楽器たちを活かして、舞台上のあちらこちらから音が飛んでくるようなオーケストレーションを意識しました。
コルネットvsトランペット、ピッコロトランペットvsバストランペット、バストロンボーン&エレキベースによる爆破シーン。
そして、最後には「The Possible Highest note in B♭7」という挑戦的な表記をピッコロトランペットとE♭コルネットに書いたりと、やりたい放題やらせてもらいました。
配慮と挑戦、そして遊び心をこれでもかと詰め込んだ譜面で、大変奏者の皆様には苦労をおかけしたと思います。反省はしています。が、後悔はしていません。
次回へ続く
今回のnoteでは、2024年2月から7月までのらっパフェを振り返りました。さて、次回の投稿からいよいよ初回練習が始まります。らっパフェが完成していく様子を、またnoteで振り返っていきたいと思います。