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「先人たちの人生の葛藤や喜びが詰まった文学や宗教は心を支えてくれるもの」――ライターの多谷ピノさんに相愛大学で学んだことを聞いてみた

相愛大学を卒業し、いまはライター、小説、漫画原作の仕事をしている多谷ピノさん。漫画原作とは、漫画の絵を描かない、文章を書くことを専門としたお仕事だそうです。

谷崎潤一郎さんのことをもっと勉強したかった

そんな多谷ピノさんが相愛大学に進学した理由は「文章を書くこと」とつながっていました。

私は子どもの頃から、本が好きで、たくさんの本をよく読んでいました。高校三年生の授業で谷崎潤一郎さんの小説に出会い、谷崎潤一郎さんのことがすごく好きになりました。谷崎潤一郎さんのことをもっと勉強したいと思い、大学を色々と探し、最終的に選んだのが相愛大学です。

大学に進学し、幅広い文学を学び、充実したキャンパスライフを過ごしていましたが、大学三年生の時に、交通事故にあってしまいました。

半年間ぐらい入院していました。退院したあともリハビリなどもあり、1年間に大学を休学しました。なので、一緒に入学し、仲の良かった友人たちは先に卒業してしまいます。私が4年生になったときは、友人もおらず、一人ぼっちでした。だけど、振り返ってみると、その4年生がすごく充実した1年間でした。そのときに出来た友達は、卒業してもう20年ほど経ちますが、いまも連絡を取りあっています。そのときにご指導くださった先生方にも、すごく大きな影響を受けました。特に、宗教についての学びが、一番印象に残っています。いまでも宗教について学びを深めています。

文学や宗教は「杖」のように私を支えてくれた

今回インタビュアーをつとめた私たちは中国からの留学生です。日本に来て、語学はもちろん、様々な日本文化や宗教について勉強していますが、これが社会人になったときに、どのように役に立つのだろうと時々疑問に思うこともあります。そんな悩みを、多谷さんに聞いてみました。

文学や宗教が直接関係ない仕事も、確かにあります。私もそういう職種に就いたことがありますが、そのときも文学や宗教は、「杖」のように私を支えてくれました。

大学を卒業し、社会に出ると、皆さんは様々な困難にぶつかることでしょう。仕事の業務についていけないことや、職場の人間関係に悩むこともあるかもしれません。仕事だけではなく、結婚や子育てなど、プライベートで上手くいかないこともあるかもしれません。つらく落ち込んで、心が弱ってしまうことがあるかもしれません。

そんなときに、心の支えになるのが、先人たちの人生の葛藤や喜びが詰まった文学や宗教だと、私は思っています。私はそうでした。なので、皆さんも絶対将来役に立つので、楽しく勉強してもらえたら良いなと思います。

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人生の困難に直面したさいに文学や宗教が支えになる。そんな心強いメッセージを語りかけてくださる、多谷さん。インタビューの最後に「幸せ」についてお聞きしました。

自分にとって何が好きか分かって、その好きなことを一生懸命できる状況が幸せだと思います。私は文学が好きで、いまは文章を書くお仕事をさせてもらっています。上手くいくことばかりじゃないけれど、とっても幸せです。
もしかすると、皆さんの年齢の頃だと、自分が何を好きで、何の仕事に向いているのか分からないかもしれません。私はいまの仕事に落ち着けましたが、それまでは色々な仕事をやって、いっぱい経験をしました。そのなかで、自分が好きなこと、やりたいことが明確になってきました。皆さんも、怖がらずに、色んなことに挑戦してください。先輩として応援しています。

このマガジンについて

このマガジンは、2020年度相愛大学「宗教社会活動論」を受講する学生が制作したインタビュー記事を掲載したものです。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、来春卒業予定で就職を希望する大学生の内定率が、前年度と比べて急落していることが話題となっています。そのような厳しい時代の中で、「何のために働くのか」を考え、自身にとっての豊かさを見つめることが重要なのではないかと考えています。そうしたときに「當相敬愛」を建学の精神とする相愛大学の学びや仏教思想にヒントがあるようにも感じます。そこで、相愛大学を卒業された先輩たちに、卒業後の人生に、相愛大学の学びがどのように影響をもたらしているのかについてお話を伺い、相愛大学の学びの豊かさについて広く共有できればと思っています。(担当講師:釋大智|霍野廣由)

インタビュアー 銭昶臣(人文学部4回生)、楊尊ラン(人文学部4回生)


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