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【1章】 2.屋敷の噂

ーーー居酒屋 うるしーーー



「あのバチ当たり野朗め。

ーーー…とはいえ。
俺も自殺とは思えねえんだよなあ」


「富雄ー!早く降りてきて手伝ってー!」

ーーーピコンッーーー

「へいへい、ちょいまち。ライン見てからな。
ったく、今帰ってきたばっかりだっつの」

ーーートンッ、トンッーー

「お店忙しいから美羽(みう)と羽莉(うり)をみてて!!」

「ほいよー」

「ほらっ、あんた達。お兄ちゃんと遊んでな!」

「はーい!」
「トミーくん〜♡」

「おおー♡メシ食ったんかー?美羽ー、羽莉ー」

「食ったー!」
「焼き鳥ー!」

「相変わらず居酒屋メニュー食わされてんな〜。ヨシヨシ」

ーーーポンポンッーーー

「何して遊ぶべ?」

「トランプ!」
「おかあさんごっこー」

「ははっ。それはいっぺんには無理だわー」

ーーーピコンっーーー


「ーーー…!

これだっ!!」

「え?なにー?」
「なにして遊ぶの?」

「さすが俺!!!美羽、羽莉!ついてこい!!探偵ごっこするぞ!!」

「富雄!危ない遊び教えんじゃないよ!またこの子達が保育園で怪我する!」

「わかってるっつーのぉ〜!部屋で安全に遊ぶわ。美羽ちゃん、羽莉ちゃん、トミーくんの部屋にあがろうぜ!」

「「はーい」」


ーーートントントンッーーー…




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「うーん…名案だと思ったものの、やっぱむずいな。どうやってクリアすんだ、これ。ヒントねえのか、ヒントっ」

「トミーくうん、何してるのー?探偵ごっこはー?」
「ごっこー!」

「う~ん、待ってね~。美羽ちゃん、羽莉ちゃん~。トミーくんが闇の探偵事務所見つけてみせっから~!」

「ヤミノたんていってな~にい~?」
「な~にい~?トミーくん、早くあそぼ~!」

「ちっと待ってって~、あ~くそっ、わかんね!」









ーーーーーーー”影屋敷 と呼ばれる屋敷に辿り着くことができれば、人探しを依頼できる。

影屋敷は人捜しだけではなく、もの探し、動物探し…その他にも様々な困りごとを解決する所謂”何でも屋”で、辿り着いた者だけが依頼を受けてもらうことが出来る。
紹介制度なども一切なく、”影屋敷について口を割ると消される”との噂があるため、実態を詳しく知る者はいない。

それでも

「影屋敷を探し当てた。」

「どことは言えないが屋敷は店の地下にある、店の奥から階段で降りていく」

「屋敷には老婆とブロンドの外国人がいる」

「俺も見た。老婆は怖いが、外国人は超絶美人」

「人探しを依頼した。詳しくは書けないけど、本当に見つけてくれたよ。とても感謝してる」



など噂は後を断たず。断片的な情報だけはアングラサイトに常に投稿されていた。

これらの情報によれば影屋敷はどこかのドラッグストアの地下にあるといわれているが、そのドラッグストアがどこなのかはわからない。
探し当てるためにはドラッグストアのサイトを巡り、影屋敷のサイトに繋がる入口を見つける他ない。


が、手当たり次第サイトを巡るのは無理がある。薬局・ドラッグストアは日本だけでも6万以上あるのだ。

とはいえ、一縷の望みをかけて地道にサイトを探りあてようとする者達や、ダークウェブを徘徊するマニアも多数存在する。”











「ーーーーーーーいやいやいや、ダークウェブて。そんなスキルは一中坊の俺にはねえわ…。

う~ん。…ハッカーとか雇えればサイト発見するくらいはできんのかなあ?

いや、それだったら金持ってる大人は簡単に見つけられるか…。



マジどうやってみつけんだよ、これ。

つーかそもそもほんとなんかな…。いやでも、流石にただの噂がこんな広まったりしない筈。
確かあれ、去年からだよなあ…?あの時は確かにこんな、屋敷にはどんな奴がいるとかそういう情報はなかった気がする。


……ブロンドの超絶美女…ねえ。

でもなんっか胡散臭えんだよなあ~…!」






「トミーくん、たんていごっこはー?」
「はやくー!!」

「うあーっ!!美羽ちゃん、羽莉ちゃん!スマホ触っちゃダメ!ページ変わっちゃうから!どこまでやったかわかんなくなるからぁっ!」

「えーあそびたい!」
「すまほ!どーが見たい!」

「ちょっ、まっ!待ってってば!今大事なことをだな…」

「うわああん!トミーくん遊んでくれない〜っ!」
「スマホー!!」



ーーーードンッーー!!!

「うおっ!びっくりしたっ」

「おい富雄!うっさいんだよ!!静かにしろっ!」

「いやいやっ、俺じゃねーじゃん、うっせえのは!」

「あん?だったらアンタが静かにさせなさいよっ!!」

ーーードコンッーーー!!

「っ!!…もうっ、いちいち壁を蹴るんじゃねえ!
!」

「あん!?テメェ今なんつった?!誰に向かって口聞いてんの?電話終わったらそっち行くから待ってろコラァ」

「ひえぇっ!いりませんいりません!お願いだから来ないでくれ!蓮香姉ちゃん様っ」

「いりませんじゃなくてすいませんだろ!ゴラァ!!テメエ富雄ぉ!!」


ーーーバンッ!バンバン!!ーーー

「…ああっもう!美羽ちゃん羽莉ちゃん、妖怪だ!妖怪がきたから下にいくべ!」

「妖怪ー?れんかおねーちゃんでしょー?」
「おねーちゃんともあそびたいー♡」

「いやいやいやっ、危険!楽しくねえから!蓮香姉ちゃんはやべえから!」

「ゴラァ!富雄、聞こえてんだよ!このクソガキがー!!」


ーーーーーゴンッーー…!!!


「「ーーーっ…!!」」

「蓮香、富雄、美羽、羽莉。…てめえら全員うるせえぞ……。

刺されてえのかぁ?あぁん?」

「「……ごめん、清蔵兄……」」

「あー♡きよぞう兄ちゃんだっ」
「お家いたんだっ!遊びたい!美羽ー、きよぞう兄ちゃんのところいこー♡」

ーーーパタパタッーーー

「…あっ!!待て!!美莉、羽莉っ、それ絶対ダメだから!刺される案件だから、俺がっ!トミーくんがっ!針で刺されるの、かわいそうでしょっ?だから行くな!ここにいて!お願いだからっ!」

「富雄てめえ、チビどもに余計なこと吹き込むんじゃねえ、焼くぞ」

「…ひいっ、すんません、すんませんっ!もう二度と言いませんっ。」

「ぷっ…バーカ!」

「今のれんかねーちゃん?」
「うん!キャハハ!トミーくん、バカだってー♡」

「バカなのー?」
「ばーか、ばーか!」





「……ああもうっ…、なんでこんな俺が割食うんだ、この家はよぉ〜!!

俺が一番動いてんのに!!不平等反対!暴力的な兄姉反対!!理不尽反対!!!


…はあ……。

屋敷探しあてたら兄妹の勢力図の変更依頼しようかな…。

……せめて屋敷をゆっくり探させてくれ…」










漆原家






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