Pauper バントフラッド デッキ紹介
はじめに
昨今の揺れ動くパウパーメタゲーム。
モダンホライゾン3の恩恵を強く受けるサディストコンボ・グルールランプ・グリクシス親和に、ダスクモーンで強化を受けるカルドーサレッド・ブラッドバーン。どれも強力なデッキです。
しかし、これらのデッキの全て、実はマナベースに致命的な欠陥があります。
そう、土地を全部《島》にされると困るのです。
青単?知らん
デッキリスト
まずはリストから。知らないカードはググろうね!
メインボード
4:《オーラのナーリッド/Aura Gnarlid》
4:《ヤヴィマヤの女魔術師/Yavimaya Enchantress》
2:《リバー・ボア/River Boa》
4:《祖先の仮面/Ancestral Mask》
3:《アルマジロの外套/Armadillo Cloak》
4:《海の要求/Sea's Claim》
4:《広がりゆく海/Spreading Seas》
4:《見紛う蜃気楼/Convincing Mirage》
3:《当世/The Modern Age》
3:《クルフィックスの洞察力/Kruphix's Insight》
4:《豊かな成長/Abundant Growth》
4:《楽園の拡散/Utopia Sprawl》
11:《森/Forest》
4:《安息地帯/Tranquil Landscape》
1:《島/Island》
1:《平地/Plains》
サイドボード
1:《アルマジロの外套/Armadillo Cloak》
1:《クルフィックスの洞察力/Kruphix's Insight》
1:《リバー・ボア/River Boa》
4:《慈善の祝福/Benevolent Blessing》
2:《魂の絆/Spirit Link》
2:《タミヨウの保管/Tamiyo's Safekeeping》
3:《退去の印章/Seal of Removal》
1:《原基の印章/Seal of Primordium》
コンセプト
デッキリストで大体伝わったでしょうか。
相手の土地を《島》にするエンチャントで相手の色マナ数を削りつつ、自分の土地にも《豊かな成長》《楽園の拡散》を貼り、巨大な《オーラのナーリッド》で殴り勝つデッキです。
※ポンザ同様に勘違いされやすいアーキタイプですが、コンセプトとして狙っているのは「相手の色マナを0にする」や「手札のカードを1枚たりとも使えなくする」ではなく、「色マナを減らしてアクション回数を減らす(=テンポを削ぐ)」「特定の色マナを減らしてアクション選択肢を減らす」ことです。
序章は流石に冗漫混じりにせよ、パウパーは事実として低マナ域のカードが強いことから不特定マナシンボルがあまり多くなく、青が少ないメタゲームにおいてはそれなりの妨害力を持ちます。
例として特にわかりやすいのは、昨今の赤系デッキです。カルドーサレッドの《実験統合機》や《ゴブリンの奇襲隊》が強いのは「赤マナが2つ以上あるとき」ですし、ブラッドバーンの《信仰無き物あさり》に至ってはマッドネス分と合わせて色マナシンボルが3つ無いと真価を発揮しません。
なお、オーラをよく使うデッキであり、呪禁オーラが頭に浮かびやすいかもしれませんが、呪禁は持たず普通に黒除去がガンガン効きます。
その代わり、土地オーラが中心なのでクリーチャー1体を処理されてもさほどアド損せず、《電謀》なども効かないので、呪禁オーラ対策はあまり効きません。どちらかといえば、盤面の質としては呪禁オーラよりもテラーなどに近い性質を持ちます。
メインボード紹介
4:《オーラのナーリッド/Aura Gnarlid》
4:《ヤヴィマヤの女魔術師/Yavimaya Enchantress》
コンセプト通り、触りにくい土地に貼るオーラ群のおかげで、それなりの安定感をもってサイズを担保できます。
多くの場合は5/5〜6/6程度で着地し、回避能力を持たない《ヤヴィマヤの女魔術師》がブロッカーに回りつつ《オーラのナーリッド》で殴る展開が多めです。
ただし、不躾にも土地にアクセスしてくる相手に対しては、そのあたり加味してプラン立てをする必要があります。具体的には、《命取りの論争》《答えの要求》による生贄、《コーの空漁師》やバウンスランドによるセルフバウンス、《浄化の野火》《ムウォンヴーリーの酸苔》《倒壊》《ブーメラン》によるこちらの土地の破壊など。もちろん《スレイベンの魔除け》《幻触落とし》《紅蓮破》のようにシンプルにエンチャントに触ってくる手段にも要注意。
そのため例えば、親和に対して《広がりゆく海》を自分に貼るとか、ポンザに対して《豊かな成長》を相手に貼るとか、もちろん原則としてやりたいことではないですが、サイズ担保のための選択肢としてそういうのもあるのだと、頭に留めておくとよさそうです。
なお、2種類で微妙に数える対象が異なること、そしてどちらも相手のエンチャントやオーラを数えることに注意しましょう。特に《ヤヴィマヤの女魔術師》は、自分の《当世》だけでなく、相手の《間に合わせの砲弾》《月回路のハッカー》《当世》《未達への旅》をも数えます。
2:《リバー・ボア/River Boa》
(サイド)1:《リバー・ボア/River Boa》
実質完全アンブロッカブルで、オーラによるサイズアップさえできれば《オーラのナーリッド》ばりのアタッカーになります。
再生も、単なる殴り合い性能に限らず、再生を構えながら後述のオーラを貼る動きを取れるのが強力です。
ただし昨今のメタゲームでは、再生不可の《殺し》や、再生にどんどん重ねてくる《間に合わせの砲弾》《クラーク族のシャーマン》が各所から飛んでくることに注意。赤いデッキに対しては、隙をみて先にオーラを貼ってタフネス上げておきましょう。《毒素の分析》《クラーク族のシャーマン》コンボは致し方なし。
見た目ほど強くないので、デッキ調整の際にはよく候補に上がりますが、これの代わりをできるカードも無く、残り続けています。
4:《祖先の仮面/Ancestral Mask》
貼ったターンにゲームが終わることも多々。
ナーリッド達は元々大きいのだから、オーバーキルになってしまうし4枚も無くてよいのでは?という視点もありますが、親和のように《命取りの論争》でこちらのオーラ数を削ってくる相手や、グルール・ジャンドサディストのように巨大クリーチャーを突き付けてくる相手、赤系の火力連打など、ナーリッド達の素のサイズは案外そこまで信用なりません。
特に赤除去ある相手には、マナ拘束で相手が困っている隙に貼ってしまい、サイズでしっかり優位に立ちましょう。逆にそれが無い相手には、溜めておく選択肢を持ちましょう。
3:《アルマジロの外套/Armadillo Cloak》
(サイド)1:《アルマジロの外套/Armadillo Cloak》
回避能力を持たない《ヤヴィマヤの女魔術師》がアタッカーになるためのトランプル付与、かつ誰につけてもライフレースを破壊するサイズ修正+絆魂付与。
ここは説明不要でしょうか。雑に強く、デッキとして白に触る一番の理由付けになっています。
4:《海の要求/Sea's Claim》
4:《広がりゆく海/Spreading Seas》
4:《見紛う蜃気楼/Convincing Mirage》
このデッキの一番の特色。
コンセプト通りに相手のアクションを阻害しつつ、クリーチャー陣を強化します。ブラッドバーンが苦し紛れに《こそこそサクサク》を素出しする様を見て、ほくそ笑みましょう。
ただし、《クルフィックスの洞察力》で拾えるとはいえ、あくまで12枚であり、相手の土地枚数よりは遥かに少ないです。相手のマナを縛り切れそうなら狙うこともありますが、あくまでテンポを削ぐ手段であり、縛り切れはしない前提でプラン立てをするのが基本です。
以下に、ルール面の細かいTipsをぶら下げておきます。
(CR305.7とCR613に関連項目が多いです)
ちなみに、この枠で一番弱いように見えて、時々面白い働きをするのが《見紛う蜃気楼》。
島以外も選べることによって、例えば青2マナを構えた相手の《島》を上書きすることで《対抗呪文》を強制的に潰して青相手に勝ち筋を通してみせたり、(対ポンザやサイド後などに)自分の色マナ基盤の調整にも使えたり。困った時に評価が反転して強くなる、ヒロイックな存在です。
3:《当世/The Modern Age》
後述する《クルフィックスの洞察力》から拾えるクリーチャー兼ドローソース。自分がクリーチャーになりつつ、本来《クルフィックスの洞察力》では拾えない他クリーチャーを引きに動けるのがミソです。
…が、前のめりにゲームを決めるデッキ方針と合わないこと、クリーチャー枠にしてはクリーチャーとしての着地が遅いことなど、言ってしまえば「普通に合ってなくて弱い」要素で溢れており、常に代替案を探しています。このデッキのメインボードで一番怪しい枠ですが、このカードの仕事をできる代替案が中々無いのも苦しいところです。
なお、地味ながら唯一の飛行持ちなので、親和相手に赤マナを潰した隙に強化オーラを貼ってやることで、《クラーク族のシャーマン》を恐れず動けるアタッカーが完成します。
また、クリーチャーとしての着地が遅いからこそ、土地が止まっていてもこれの着地時にサイドの《慈善の祝福》を構えられるというのは嬉しいところです。
3:《クルフィックスの洞察力/Kruphix's Insight》
(サイド)1:《クルフィックスの洞察力/Kruphix's Insight》
このデッキの第二の特色。
現行リストでは、メイン60枚のうち30枚がエンチャント。期待値はシンプルに3です。
このカードの恩恵を最大限に受けるために、サイドボードもエンチャントに寄せています。
《暴走の先導》などに近い爆アドカードではありますが、土地オーラ系は中盤以降あまり強くない場合があることや、マナソースを絞った構成上3マナは重い(そのターンの他のアクションをほぼ捨てることになる)ことなど、欠点もあります。
※《暴走の先導》は、エルフ・壁・スリヴァーなど、大量のマナクリーチャーによる爆発的なマナ加速があってこそ強いカードだと思っています。このデッキにはそれがありません。
正直、使いたいという気持ち最優先でこれを前提にデッキを組んでいる節はあり、これを抜いて色々調整した型を検討する価値はあると思います。
4:《豊かな成長/Abundant Growth》
4:《楽園の拡散/Utopia Sprawl》
《クルフィックスの洞察力》で拾えるマナ基盤でありつつ、《オーラのナーリッド》のサイズを安定させる存在。特に後者の重要度が高く、《ナイレアの存在》すら検討候補に上がります。
親和やジャンドサディストの《命取りの論争》を筆頭に、各デッキからサイド後に飛んでくる《紅蓮破》《赤霊破》《幻触落とし》《存在の破棄》《タミヨウの保管》《無効》などにより、島オーラ12枚だけでは《オーラのナーリッド》のサイズを担保できません。もちろん強化オーラを直接貼れればそれなりのサイズにはなりますが、赤いデッキには強化オーラを通す前提として火力圏外のタフネスが欲しいですし、そうでない相手にも強化オーラ自体を対処されるリスクを考慮する必要があります。
そのうえで、この《豊かな成長》《楽園の拡散》は、かなり重要なインフラとなります。
11:《森/Forest》
4:《安息地帯/Tranquil Landscape》
1:《島/Island》
1:《平地/Plains》
《楽園の拡散》《豊かな成長》の採用を前提としつつ、序盤からテンポを落とさず、2ターン目に島オーラを貼る動きの確率を上げ、三色のマナベースを実現し、中盤以降の不要牌として土地を引かないよう可能な限り絞った土地配分。
土地2や土地1+《楽園の拡散》など、2マナでキープしてそのまま止まることも多々ありますが、相手は1ターンに1枚しか土地を置かないので、1ターンに1枚の島オーラを唱えられる2マナがあれば、最低限必要な動きはできます。
なお、白マナは序盤では不要なので、後から《クルフィックスの洞察力》など絡めて引いてくる《楽園の拡散》《豊かな成長》から出せばよく、序盤は青緑が出れば十分です。
(サイド)4:《慈善の祝福/Benevolent Blessing》
サイドボードにおける最大のキーカードと言ってよいでしょう。
用途は概ね《巨森の蔦》に近いです。相手の《サディスト的喜び》を弾いたり、除去を弾いたり。単体除去だけでなく《クラーク族のシャーマン》や接死ブロッカーも弾けるのが嬉しいポイントです。
従来ならば、これにスタックで除去を合わせられてしまうリスクを背負うカードですが、相手の色マナや《沼》の存在を縛って除去を構えにくくできるこのデッキとの相性は最高です。マナを潰した隙をついて貼り、アンタップした時には既にプロテクションが付与されているという絶望を叩きつけましょう。
(サイド)2:《魂の絆/Spirit Link》
早い相手に対して。
《慈善の祝福》同様、相手にも貼れるという認識は持っておきましょう。(あまりありませんが《アルマジロの外套》も同様です)
ブロック時のライフゲインのタイミングの都合で負けたこともあり、細かいですが《絆魂》への差し替えも検討中の枠。
(サイド)2:《タミヨウの保管/Tamiyo's Safekeeping》
現行サイドで唯一《クルフィックスの洞察力》で拾えない枠。
主に、赤相手に火力除去を弾きながら絆魂系オーラを貼るための採用。絆魂オーラもこのカードも青くないので、《紅蓮破》を無視して動けるのが強みです。
ついでに除去コンやポンザにも。一般的なデッキの除去枠程度なら《慈善の祝福》で足りる気はします。
(サイド)3:《退去の印章/Seal of Removal》
コンボ対策、ついでに除去コンに対する一時的な回避手段として。
《楽園の拡散》などの都合で、マナを構えることのハードル高めなデッキなので、0マナ起動はありがたいです。
《タミヨウの保管》が後から入ってくる前に採用していた枠で、除去コン対策は他で十分な気もするので、他の候補を探してもいいかもしれません。
(サイド)1:《原基の印章/Seal of Primordium》
お守りに近い置物対策。
主に《間に合わせの砲弾》《繁茂》を的として据えています。
少し補足すると、《間に合わせの砲弾》は通すと島オーラ付きの土地がどんどん減ってしまうのと、《繁茂》は島オーラで止められない緑マナなので、それぞれこのデッキのプランを強烈に阻害してくるカードです。
調整余地
抜く候補については、既に書いた通り。
入れる方の候補について書いて行きます。
《フリーウィンド・ファルコン》
大いにアリ。
赤系アグロに対して安全に絆魂オーラを貼れることに加えて、親和にも有効です。
本来は《ケンクのアーティフィサー》の飛行ブロッカーが邪魔ですが、このデッキでは彼らは破壊"可能"土地なので、オーラで強化して簡単に突破できます。(ただし《毒素の分析》ブロックには注意)
《コーの空漁師》《死者の神のお告げ》
《当世》枠、ついでにメタによっては《リバー・ボア》の枠を削りつつ、このパッケージを入れても良さそう。
パッケージ単位で《当世》の採用目的を概ね満たしますが、黒マナ捻出のためにマナ基盤の調整が必要かもしれません。
《回帰の泉》《落下中断》
《当世》の意義により近づけるならこれら。
どちらもかなり遅いので、流石にサイドボードか。
他の型
ガッツリ変える方の案。
青単寄せ
青単もしくは青単ベースにすることで、島オーラを16枚積むことができつつ、マナベース的に1ターン目から連続で貼り続けられる期待値がそれなりのものになります。《定業》などにより、さらに安定化を目指してもいいかもしれません。
島オーラによるマナ基盤の妨害がかなり安定する代わりに、多少は展開されてしまう盤面をどう抑えるか?勝ち手段をどうするか?という課題の解決が困難です。
緑を触れば《オーラのナーリッド》系は触れますが、白か黒の絆魂要素がないと点の力を活かしてライフレースをひっくり返すことが難しく、青以外に2色も触ってしまうとタップインが増えてせっかく青に寄せたメリットが減る、という塩梅です。
一応青にも《塩水の巨人》という面白カードはあるのですが、《紅蓮破》程度に怯えるクリーチャーはうちの子ではありません。
洞察力レス型
《クルフィックスの洞察力》に寄せてエンチャントに振り切る構築は楽しいのですが、《クルフィックスの洞察力》の項にも書いた通り重いことや、エンチャントに寄せる必要がある構築制限の縛りの重さもあり、少し怪しい部分もあります。
例えば《ヘリオッドの巡礼者》《ロナスの施し》など他のに変えるなり、むしろアドバンテージ枠自体を潰すなりしつつ、《当世》《退去の印章》など「《クルフィックスの洞察力》前提で採用していたカード」をエンチャントでない他のカードにする構築を試す価値はあると思います。