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大学日本一&裏話

この度は1月11日に新国立競技場で行われた大学選手権決勝で、12月1日に大敗した相手、明治大学に勝つことができ大学日本一に輝くことが出来ました。

この4年間これだけを追い求めてきた僕であり、早稲田ラグビーとして最高の結果を残すことができ、本当に嬉しく思います。

いかにして、この大学日本一を成し遂げたのか。なにを準備したのかについて書いていきます。
また、多くの質問をいただいたことの一つとして前半のDGについてなど回答していきます。



〇大学日本一奪還

関東大学ラグビー対抗戦の帝京大学戦から、4years.の方で日記を書かせていただきました。
帝京大戦、早慶戦、早明戦、大学選手権の日本大学戦(準々決勝)、天理大学戦(準決勝)、明治戦(決勝)の全6回です。


また、早稲田大学のホームページにもその様子が掲載されています。
是非、チェックしてみてください。



〇試合の決め手

・勝ちポジ
・準備量

決勝という舞台での試合においての決め手はこの2つだと僕は思います。


多くの記事にもあったように、試合後、この試合の決め手は「勝ちポジ」だったと、監督含め多くの選手が答えました。

この「勝ちポジ」とは、Saturday Sportsでも紹介されていました。

勝ちポジ=出足をよくする姿勢。
言い換えると、勝ちポジ=戦う姿勢ともいえるでしょう。

12月1日の早明戦では、この戦う姿勢という部分で最も差を感じました。
コンタクトや、ブレイクダウンの部分で劣っていたのです。
もちろん、明治大学さんの重量級FWの強みはありますが、戦うことができなかった。そう反省しました。
今年の早稲田の強みはBKでの展開力と得点力だという声をたくさんいただきましたが、この齋藤主将の代の最大の強みはDFです。

局面局面で勝った、負けたはありますが、すべての局面で上回るために、第一にその姿勢を作ろうということで、この「勝ちポジ」というキーワードを共通認識とし練習をしました。

得点のシーンを振り返ると、BKとFWが一体となったサインプレーでのトライが多くありましたが、このトライのチャンスメイクをしたのはDFからでした。

前半に関しては全てのコンタクトシチュエーションで早稲田が上回っていました。
早明戦での完敗から40日かけてさらに洗練したDFという武器を、決勝という舞台で最大限発揮できたのです。

明治大学田中監督が、「前半が全て」という言葉を口にされていましたが、その根源が「勝ちポジ」と、「準備量」にありました。


準備量といいますが、なにを準備したのか。
それは、すべてです。

何が起きても勝てる。
そんな自信がどことなく湧き上がるまで準備しました。
頭も体も100%の状態を決勝に合わせてピーキングしていきました。

対抗戦での早明戦での完敗を味わった次の日は、どうすれば勝てるのかわからない。決勝で勝てる見込みは0%に近いとまで思っていました。
そんな精神状態でしたが、決勝前日は絶対に勝てる。そう確信していました。


◇具体的に準備したもの

・頭脳面
サインプレーを駆使し、いかに先手を取ることができるか。
また、困ったときの想定を複数パターン用意し、どれだけ最悪なケースに陥っても出口があるように戦略を設計しました。
決勝でも使う事のなかったサインプレーはたくさんあります。
全て使わないともったいないようにも思いますが、用意したものを使わずに勝てることほど良いことはありません。
・身体面
コンディション調整は第一に考えました。
僕自身の話だとのちに紹介しますが、この40日間かかさずストレッチを行いました。
敗戦から学んだラグビーの根幹をなす、コンタクトの部分。
通常シーズン中は練習でのケガも考慮し、コンタクトレベルが下がった練習をします。
ですが、負けた部分をそのままにはできないので、ケガのリスクを伴いながらも課題分野にはとことん向き合い練習しました。
また、フィットネスもかなり強化しました。
試合最後両チーム足が攣る選手がいましたが、試合通して明治大学の選手の方が疲労をかかえていたようにも感じます。

この2分野において強化を図ったのがこの40日間です。
身体面において、コンディションを第一に考えながらも、練習は全国どのチームよりもハードに行っていたと思います。
そのくらい自分たちの課題が明確にありました。
練習がハードになるので、もちろんリカバリーを徹底しましたが、それでも疲労が完全になくなることはありませんでした。
ですが、その中でも最高のパフォーマンが出せるよう、選手個人個人でできることを行っていました。

その結果、練習の質を落とすことなく、効率の良い練習が実現したと思います。
決勝直前にして、日々の練習の大切さを感じました。

この練習の中にはもちろん勝ちポジという準備も含まれています。
頭脳面に関しては相当な時間をかけ、分析し、自分たちのやりたいこと、しなければいけないことを明確にすることに注力しました。

この結果、試合前日には勝つんだという気持ちだけでなく、勝てるという自信すらありました。



〇ドロップゴールの秘話

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NTTコミュニケーションズ、山田章仁選手のyoutubeにてこの決勝のLIVE配信がありました。
NTTコミュニケーションズの選手も集まり、雑談交じりの観戦でしたが、発言の内容をよく聞いて見てみると、とても参考になります!

僕自身すでに決勝の映像を5回以上も見ているので、「おー」という声や、発言の内容でどこのシーンかもわかってしまいます。
試合とこの映像を同時に見てみると、とても学びが多いです!!

前半僕自身がドロップゴールを狙ったシーンが38:20~40:00。

その時のコメントがこちらです。

強気に狙ってほしい
岸岡君やっぱ頭いい
もう1回!いけ!!
70mくらいあるよ、3回目いくか?

など、ドロップアウトからドロップゴールを狙うという認識がトップリーグの選手にもあることが伺えるかと思います。
SO小倉選手からはお褒めの言葉をいただき、動画を見ながらにやけてしまいました。

NTTコミュニケーションズの選手の会話に、「残り60分間全部これでいい」
というような発言がありましたが、試合の展開を考えると、点差的にも優勢だったので、時間を使い、相手に焦りを与えるという観点からも有効打となることがわかります。

また、翌日12日からトップリーグ開幕にも関わらずこうして大学ラグビーを楽しみながら応援していただき本当にありがとうございます。

そんな山田選がnoteを始めていました。
初投稿から有料記事!と驚きましたが、かなり変化しているトップリーグの内部事情など知れると思うと、かなりの興味をそそられます。


◇ドロップゴールを狙う理由

・点差
・時間帯
・ドロップアウトになる経緯
・試合の流れ雰囲気
・特徴のあるグラウンド

などが、ドロップゴールを狙う理由として挙げられます。

前半23分、点差は10点リードの場面。
次の得点を掴んだ方が、試合の主導権を握ることが出来る時間帯。
なんとしても得点をしたい明治、時間を使いながら3点でもとることを目標としていた早稲田。
そんな展開の中、キックを上手く使うことができ敵陣に入ることができた早稲田。

ドロップアウトになった瞬間、僕は周囲にいた選手、齋藤、河瀬には「狙う」と伝えました。
1度目は正直決める気はなかったです。
決まれば御の字。そんな風に思いながら50m以上もある中蹴りこみました。
結果は大きく右に外れ、惜しさもなく少し蹴った身として恥ずかしささえありました。

2度目のチャンスがあり、この時は決めるつもりでした。
明治の10番山沢君は、一度狙われているので、タッチライン際もしくは前で競ることが出来るボールを蹴ってくると思いました。
長く蹴ったところで、山田さんのyoutubeにもありましたが、これを続けて得をするのは早稲田だからです。

2回目でドロップアウトのオプションを変えるということはある種セオリーですが、彼は2回目も僕のところに蹴ってきたのです。
挑戦状だと僕は感じました。
「この人どうせ入らないだろう。」
そんなに嫌味な人間ではないですが、試合前日の記事に、僕のコメントとして、SO対決。山沢にかつ。と言っていたので、「この勝負だ」とこの時感じました。

そのせいか、2回目は1回目よりも奥を狙ってきているなと彼のキックから感じました。
ますます、決めなければいけない。そう感じました。
結果から言うと、5mほど届かず決まりませんでした。

山沢くんがキャッチし、この時、負けた。と、少し落ち込んでしまいました。
ですが、会場の誰もが予想しない3回目のチャンス。
FB河瀬からボールを受け取り、ゴールポストを見ると、それははるか先にありました。
狙っていいものなのか。遠すぎやしないか。でも、負けたままでは終われない。
そんな葛藤と戦っていました。

結局DGは狙わずハイパントに切り替えたのですが、最後のあがきとして、DGを狙うフリをしました。
目線、ボールの持ち方、タメを意図的に作りました。
会場が、「え、、」と一瞬止まる感覚を感じました。
ラグビーにバッターボックスはなく、ボールを持った人間が主役になるチャンスがありますが、あの瞬間だけは5万7千人を超える人が僕をみていたのかなと思いながらプレーしていました。

山田さんのyoutubeでも、「行く?行く?さすがに遠いよ。」と、楽しんで観戦している選手が多く、魅せるプレーとしても会場の雰囲気を掴むことができたのかなと感じています。


また、新国立競技場はインゴールの広さが6mとかなり狭い設計となっていました。

新国立競技場インゴール

前半早々に、明治大学の選手のキックがインゴールを割ってしまいました。
試合前に試合会場を下見に行った時から、このインゴールを割る様なキックをしたチームが負ける。
そう感じていました。

なので、試合中のジェネラルキックに関してはロングキックよりも、グラバーキックやハイパントを意識していました。
ドロップゴールについても同様です。
ドロップゴールの場合は、インゴールを割ってしまってもドロップアウトになるので、いわば無限ループができます。
これにおいてドロップゴール側にリスクはありません。
ドロップアウト側の選択肢を限定することができますし、何より敵陣でリスタートすることができるのです。

こういったグランドの特徴すら味方につけることができた試合だったと思います。

試合時間でいうと1分30秒にもならない中でこんなにも感情の起伏があると思うと、80分も試合するとクタクタになるのは仕方ないですね。
体ももちろんですが、精神的にも滅入ってしまうもの仕方なさそうです。


〇その他質問箱での質問への解答

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ありがとうございます。
試合前に”絶対に勝てるという心持ち”ということを書きましたが、勝機は、すべてにあると思っていました。
特にDF。絶対に崩されない。トライを取られない。
その感覚はチームの共通認識としてありました。
また、対抗戦の早明戦では1トライしかとることができませんでしたが、セットプレーからのサインプレーも用意したり、攻撃という部分でも得点力に自信がありました。
スコアに関しては実際にプレーしていても予想できませんでした。
早稲田としてはDFはプラン通り、逆に前半は予想をはるかに上回る出来栄えでした。
攻撃に関しても想定したプレーを100%のクオリティでできたという事から考えてもプラン通りでした。
DFで結果がでたことが、早稲田側が得点チャンスを多く得ることができた要因だと思います。


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ありがとうございます!
4years.の日記に、荒ぶるを歌うことができたときにそのすべてが理解できると書きましたが、8割くらいは正しかったです。
試合後の記憶は号泣しすぎてあまりありません。
「荒ぶる」を歌っているときは、ただただ幸せで、感謝の気持ちしかありませんででした。
「荒ぶる」にたどり着くまでの数多くの苦難。
否定しかけていた過去に光が差し込むような感覚でした。
残りの2割は荒ぶるを歌い終わった後に実感することができました。
会場を1周した時でした。
試合中はグラウンドからは少し遠く、観客席の方の顔は認識できないほどでしたが、試合後は一人一人の顔をしっかりと見ました。
笑顔で手を振ってくれる人、泣き崩れている人、あめでとうと叫ぶ人、岸岡!!と声をかけてくれた人、サインを求めてくれた小学生など、本当に多くの人に支えられていたんだということを実感しました。
本当に幸せな時間でした。あと50周以上も歩くことができました。
疲れて攣っていた足もそんなのなかったかのようでした。
大学日本一、荒ぶるの先にあるものがこの景色です。
自分一人では到底たどり着くことのできない場所。
それが「荒ぶる」。
もっとたくさんの感情がわき出ていたと思います。
嬉しさと幸せに包まれそれ以上を言葉に表すことが困難なほど数多くの感情です。


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ありがとうございます。
試合の決め手は書いた通りです。
ハーフタイムの心境は、安堵と焦りです。
31点差。ラグビーにおいて確実なセーフティリードの点差です。
結果だけ見ればこの前半が決定打でしたが、ハーフタイムはその安心だけではありませんでした。
明治に逆転される。そんな隙を作ってはいけない。そんな焦りがありました。
選手の中でも、後半開始は特に気を遣おう。まだ、0-0の気持ちでいくぞ。圧倒するぞ。
と意気込み後半に臨みました。
ですが、その裏側には31点というとてつもない誘惑があったのです。
人間やはりそう簡単に切り替えることができませんでした。
気を引き締めるようにメンバーに声をかけていましたが、本当は自分自身に言い聞かせていたのかもしれません。

予想が的中し、やはり後半は明治のペースになりました。
大量リードはあるものの、着実に点差を詰められているとき、そんなときに考えることはただ一つ。

自分たちからミスをしないこと。

普段のプレーでも大切なのですが、このことはこういった時ほど大切になります。
というのも、流れができるには2パターンあります。
自分たちでうまく流れを作るときと、相手のミスにより流れが移ることです。

この場合、後者になることが最大のミスです。
勝っているときほど、自分たちから仕掛け、流れを崩すことをしないということを心掛けました。
決勝戦後半では明治大学のプレーにより明治大学が流れをつかみました。
ラグビーはこの流れ、主導権が常に交代していくスポーツです。
なので40分間すべて主導権を握るということは非常に困難なのです。

後半は主導権を握られてもいい。どれだけ明治に流れがいってもいいと僕は思っていました。
そこで肝になるのは、さきほど挙げた、いかに自分たちからペースを乱さないかです。
それさえしていれば、勝手に相手がミスをしてくれます。
そうして得たチャンスをいかに有効活用できるか、それがこの試合の後半最大の決め手だったでしょう。



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一番大きく変化した点はマインドでしょう。
決勝で勝つ。明治にリベンジする。
その認識がチーム全体の共通認識として生まれました。
チームとして試合の決め手となったもの、準備したものは上記の通りです。

一方、個人として取り組んだことは3つ。
・戦略の明確化
・タッチキック
・ストレッチ


戦略、戦術の明確化
大学選手権に入ってからMTGをする回数が格段に増えました。
全体での分析や、試合についての戦略についてのMTGは回数を重ねましたが、全体ではなく、SOとして、コーチとのサインプレーに関してや、主要となるポジションのメンバーを集め、戦術の深堀りを度々していきました。
このことにより、試合中に起こった事象に対しても選手の力で判断し、修正することができます。
以前、noteの記事に修正力のあるチームは強いとも書いています。


●タッチキック
12月の早明戦では、僕自身のキックミスから相手に流れを渡してしまいました。
敗戦からの40日間でこの部分も改善しました。
タッチに蹴り出したい場合であっても、蹴り出すことができない、いわばノータッチとなってしまうことがありました。
その些細なキックひとつで試合の結果を左右してしまうので、責任を感じていました。
練習方法としては、数をこなすことに取り組みました。
必ずSH齋藤と、FB河瀬を捕まえ、タッチに向かい22mインサイドから蹴り出すということを3本(満足できるものを、最大4本)を毎練習後行っていました。
その成果も決勝では発揮することができ、自分たちからペースを乱し、相手にチャンスを与えるという悪循環を起こすことはありませんでした。
欲を言うと、タッチに出すところに関してはもっと精度高くすることは可能なので、決勝の舞台では及第点かなというところです。


●ストレッチ
40日間、頭も体も準備してきました。
その中で、通常では行わないハードな練習をしていました。
ケガや疲労を抱える選手がほとんどです。
その中でも練習の質は落としたくということもあり、選手はリカバリーを徹底していました。
そんな中僕自身はストレッチを取り組むことにし、その日常記録として毎日開脚をしている写真を撮っていました。

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1枚目がストレッチ開始3日目です。
(同じ服を着ているほうが見比べやすかったので初日の写真ではないです。)
背中を押してくれているのは4年2番の森島君です!
体も固く、あまりストレッチが好きではない僕ですら、この時はそんなに固い?と思うほどの固さです。

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ですが、40日後見違えるほどになったと個人的にも感じています。
調子のよい時はおでこが地面につきそうなほどでした!

正直この行動がなにに繋がったのかは僕にはわかりません。
ですが、確実に言えることは、「小事は大事」であり、「継続は力なり」です。
以前紹介した本の内容にもありましたが、こうした積み重ねが結果として現れたのです。
もちろん、このおかげ疲労を解消することができ、ハードな練習の日々も高いクオリティで過ごすことができました。



〇試合の裏話

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選手以外あまり関わることのない、試合前アップについての裏話です。

決勝前半を振り返ると、早稲田の出来栄えは100%いや、それ以上でした。
後半は、先ほど書きましたが、ハーフタイムはあまりに感情をコントロールしにくい状況でした。

そんなにも良いと評価される前半なので、相当アップの雰囲気がよかったのかと思う人も多いと思いますが、全く逆なのです。

今シーズンで一番悪いアップでした。
個人的な感想にすぎませんが、アップが始まっても選手全員がどこか気が引き締まっておらず、ふとした時に会場を見渡したり、自分たちに集中できていないなという感触でした。

そのせいか、短いアップの時間の中で多くのミスがありました。
ですが、「集中しよう!」その一言をかけることができませんでした。
普段ミスをしない選手に限って、らしくないミスをしていました。
早稲田大学ラグビー蹴球部はスポーツ推薦枠も他大学に比べれば少なく、高校で花園を経験しているメンバーは多くいません。
大舞台を経験しているかという経験値でいうと、早稲田大学はかなり低いのです。

そんなバックグラウンドを考えると、あの6万にも迫る大観衆の中に立っているだけで体が震えあがるもの当然でしょう。
集中しなきゃと思えば思うほど、ミスをしてしまう。そんな悪循環な雰囲気でした。

アップが終わった瞬間、「正直、勝機はどこにあるんだろう。」と、そんなことも考えてしまいました。
あれほどまでに緊張感のある会場は選手さえも変えてしまう力があると思います。

では、なぜ前半良いプレーができたのでしょうか。
それは僕にもわかりません。
ロッカールームに戻り、やはりみんな顔が引きつっているかと思うと、そうではなかったのです。
笑顔の選手が多く、早く試合がしたい!そう表情からも感じ取れたほどです。
アップが終わり、キックオフの間に特別なことはしていません。
選手1人1人がその異変に気付き、各々で気持ちを作り、準備することができたのでしょう。


ただ、1つ。
ラグビーはコミュニケーションが必要なスポーツでありながらも、大観衆の中だと声が届かない。
そう指摘されることが過去多々ありました。
高校の決勝、花園決勝の時も同様の話をされたことを思い出します。

結論から言うと、そんなことはありません。
そう感じなかった最大の要因は口でのコミュニケーションに頼らなかったからです。

コミュニケーションを取るツールは言葉だけではありません。
言葉だけでコミュニケーションを取っているうちは、おそらく観客の声援でなにも聞こえないと思います。
そのことを日常の練習で意識することが、想定するということに繋がります。


上記に矛盾しますが、大学選手権決勝では、味方の声が聞こえない時がありました。
それは後半、明治に攻め込まれ、負けると感じた瞬間です。
その瞬間は、味方の声は何一つ入ってきませんでした。
トライをされ、インゴールで円陣を組み、やっとみんなの声が聞こえました。その時、逆に観衆の声は入ってきませんでした。

その後、リスタートのキックオフに向かうと、明治サイドの大声援により、何一つ考えることができませんでした。

このあと、どうすればいいんだろう、、。

本当に何も聞こえない。なにも思いつかない。
そんな状態でプレーしていました。


一方前半は観客の声は聞こえません。
試合に入りこんでいるので5万人の声が僕の耳に届くことはありませんでした。
声が届く瞬間はたった2つ。トライをとった瞬間です。
トライを取りそうだとわかった時の歓声は絶対に聞こえます。
また、ドロップゴールの時は歓声を楽しんでいました。
よく聞くと、「え?」というような間があるんです。
そんなことで楽しめるくらい余裕がありました。

それくらい前半、後半で心境に変化があり、プレッシャーも違うことがわかります。
こうして書いていて、思い出すことが非常に面白いです。



〇日本一

試合後にこんなツイートをみつけました。
チームメイトにこんなにもすごい選手がいたのか!!とびっくりしました。
共に嫉妬していましたね。

生涯で「日本一」というタイトルに手が届く人はそう多くはいません。
ですが、古賀の場合、すでに4度も経験しているのです。

僕の場合は高校、大学と2回。
その2回でも満足していたのですが、上には上がいると痛感しました。

古賀に勝っている部分は、自分自身の代で勝っていることでしょうか。
なので、来年の早稲田は古賀君のランに注目です!!

高校での花園優勝と、大学での大学選手権優勝を比較してみると、どちらも1月11日に決勝戦を迎えているのです。

花園は第95回大会で記念大会ということもあり、準決勝、決勝が中3日での試合となったため、今年のように1月7日ではなく11日が決勝だったのです。

今思い返すと、これもすでに大学選手権優勝につながっていたのかなと不思議に思います。
もう一つ、不気味なことが。

高校卒業アルバム

突然の、顏写真なのですが、これは高校の卒業アルバムなのです。

高校日本一を経験した後、卒業アルバムに書いてしまうほど大学選手権優勝を目標にしていた岸岡少年でした。

このようなことを書くような性格ではないように今では感じるので、人間成長するなとも思います。

花園は高校3年間の、大学選手権は大学4年間の集大成として優勝という形を残すことができました。
ということは、、、
その年の1月11日には、、、
としておきます。


●最後に

「日本一」の喜びと、その苦難を経験できた大学4年間でした。
本当にたくさんの方に支えられて自分はラグビーを心から楽しめていると感じた決勝戦でした。

試合後、誰よりも涙を流していました。

「え、意外。。。」

「もらい泣きしちゃった。」

「感動をありがとう」

など、本当に嬉しい言葉を多くの方にかけていただきました。
僕自身は本当になにもすることができず、たくさんの人に支えていただいた身です。

早稲田のファンの方々、僕を通じて早稲田を応援してくれた方、明治ファンの方々、大学ラグビー好きの方、ラグビーに魅了された方、「荒ぶる」を取ることができ、ほんの少しですが恩返しをできたのかなとほっとしています。

今後僕自身にできることを僕なりの方法で頑張っていきます。

これまで本当に十分すぎるほど応援していただきましたが、これからも温かく見守っていただければと思います。

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岸岡智樹/Kishioka Tomoki
いつも読んでいただきありがとうございます。 一人でも多くの方に読んでいただき、ラグビーをより楽しんでいただけるようこれから頑張っていきます。 コメントお待ちしています!! よければスキもお願いします。