プロキックコーチから考えるハイパントとは
みなさんこんにちわ!岸岡智樹です!!
先日こんなツイートを発見しました。
プロキックコーチとして活躍されている君島さんからのお題でもあります。
今回はそれに対して僕なりの意見を書いていきます。
ラグビーワールドカップ日本大会2019でかなり印象的だったプレーでもあるハイパント。
その中でもSH(9番)からのハイパントが主流となりました。
僕(私)はラグビー初心者だと思う方はこちらを先に参考にしてみてください。
●ハイパント(high punt)とは
その名の通り、高く蹴り上げるキックです。
なぜ高く蹴るのかは考えればわかりますが、相手が取りにくいようにするためです。
現在は相手が取りにくいためというより、味方が競ることできるようにと考えて蹴ることにシフトしてきています。
そのため高さで何m蹴る必要があるのではなく、距離や滞空時間の話になります。
また、基本的に今ハイパントを蹴ることが多いのはSHとSOです。
その2つのポジションの特性から考えていきましょう。
〇SHとSOのハイパントの違い
上記は略図です。
あくまでこの場面と仮定をして話していきます。
●SHの場合
SHボックスキックのポイント
「距離 20m〜25m 」「対空時間 4秒」
※まっすぐ蹴ることを仮定
●SOの場合(SHと同一の場所に落とすことを仮定)
・斜め(パス距離)10m〜15m
・縦7m〜10m
・横7.1414m〜11.180m
離れてポジションニングすると仮定
※最小、最大での三平方の定理を用いる
このことから
SOは縦で27.1414m〜31.180mの距離を蹴れれば良い。
横は7.1414m〜11.180m
斜め(キックの飛距離)の計算
・最小
27.1414×27.1414=736.6555
7.1414×7.1414=50.9995
736.6555+50.9995=787.655
計算
28.0651m
・最大
31.180×31.180=972.1914
11.180×11.180=124.9924
972.1914+124.9924=1097.1813
計算
33.1237m
結果
SO(上記の仮定)の場合
28.0651m〜33.1237m
で蹴ることが必要
計算が間違っていたら教えてください。。。
僕の結果から分かるようにそんなに飛距離はいらないことがわかっていただけると思います。
ハイパントにおいて一番大切なことは「競る」ことです。
蹴った本人、もしくは仲間だれでもいいのですが、
蹴る=ボールを手放す
という前提の中で手放したボールを再獲得できるようにボールにアプロ―チすることが必要になります。
なので、飛距離ではなく、確実に競ることが出来る位置を考え、距離や滞空時間を考えると、ツイートにあるようなデータになるのです。
次に、主にハイパントを蹴るのはSHとSOという話をしました。
なので、その違いはなんなのかをぼくなりに話していきます。
〇SHから蹴るメリット
一番のメリットは「再現性の高さ」です。
ラグビーにおいては再現性という部分はかなり大切になってきます。
なので、SHのボックスキックだと最もリスクが少なく蹴ることができると言えます。
また、SOにパスをしているとパスをしている距離だけ下げてしまっているので、その分をキックで取り返さないといけないことになってしまいます。
SOのデメリットとしてSHからのパスとキャッチという2回のミスの可能性がありますが、そのミスのリスクをSH蹴ることで防ぐことができます。
〇SOから蹴るメリット
SHのメリットを読むと、SOから蹴るメリットはないように感じる方も多いと思います。
ですが、そんなこともないのです。
SOから蹴るメリットはちゃんとあります。
それは「複数のオプションを持つことができる」ことです。
SHからは安定して蹴ることができますが、そのオプションは限られてしまいます。
そうすることで相手DF側も守る準備をすることが可能になります。
(メリットの例)
〇応用
これを考える上でのもとのツイートですね。
このように2回のキックでDFブレイクを起こすことができるかもしれません。
ですが、ほかにスペースはないのでしょうか?
そんな視点をもって考えてみると面白くなりますよ!!
僕が大学4年間でハイパントを使った中で一番うまくいったものです!
プレーができない今だからこそ、そのプレーの意図を考え可能性をひろげましょう!!