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電車で起きた貴婦人の危機

電車に乗っているとき、途中で貴婦人が乗車してきた。電車はぎゅうぎゅうというわけではないものの、座席は空いておらず、立っている人たちの距離も結構近い程度に混んでいた。そのため、貴婦人は、ドアの近くの車両の中央寄りに立った。

電車が動き出した後、少し強めに揺れたところ、その貴婦人が「あっ」とか弱い声を出し、後ろによろめいた。

倒れないように何かにつかまろうとした貴婦人は、とっさに前に立っていた20歳くらいの男性がしょっていたリュックのひもをつかんだ。

突然のことに、その男性はとても驚いた表情をし、貴婦人も、恐らくどうしたらいいか分からなかったのだろう、照れ笑いをしたものの、男性に声をかけることはなく、2人が顔を合わせることもなかった。

こっそり横目で見たところ、貴婦人はスマホでパズルゲームをしていたため、片手でどこかにつかまることができていなかったようだ。そして、倒れそうになったとき、つり革は空いていたものの、勝手な推測だが、肩を高く上げるのは難しく、思わず目の前にあったリュックのひもをつかんだのだと思われる。

こうした場合に備えて、スマホから吸盤つきのひもが出て、スパイダーマンのように電車のドアなどにくっつけてつかまることができるようになればよいのではないかと思うが、すぐに実用化は難しいかもしれないので、今後近くの人が倒れそうになったら、すぐに自分の手か、手だと嫌がる人がいるかもしれないので、ひものようなものを差し出せるように心構えをしておきたい。

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