長期旅行者の心強いセーフティネット「安宿」
ツアー、パッケージの旅行以外したことのない人からは、
僕のしてきた旅行の話をするたびに、
怖くないの?危なくないの?と必ず聞かれ、
勇気あるね、などと褒め称えられますが、
数ヶ月、数年単位の長い旅行をする人が知っていて、
そういう旅行をすることを怖がっている人が知らないことがある、
と気付きました。
もともと、僕も長い旅行をする前は知らなかったことです。
海外一人旅と言うと、
現地の人達ばかりに囲まれて、一人、旅を続けていくイメージがあり、
確かに、接する相手はすべて現地の人達で、
現地の人達が泊まるのと同じ宿に泊まり、
現地の人達に囲まれる自分一人だけが旅行者で、
他の旅行者、欧米人にも日本人にも会わない、
といった局面も、長い旅行の中ではあったけど、
大体、世界の大都市や名だたる観光地には、
外国人旅行者向けの、いわゆる安宿があって、
そこには各国からの旅行者がひしめいています。
安宿の名の通り、宿代は安い。
だから、長期滞在も可能。
そして安宿は、旅行者が集まるので情報交換の場となり、
それも、政府観光局などが提供する表向きの情報とは異なり
(これも大いに助かることもあったけど)
実際の体験から来る生の情報を得ることができ、
さらに、困っている旅行者がいれば誰かが相談に乗ったりと、
旅行者どうしが助け合うセーフティネットのような空間になっています。
大使館などよりよっぽど頼りになる、というか、
(大使館にしか不可能なこともありますが)
大使館領事館がやっている支援とは異なる、
旅を続けて行く上での、物心両面での支えとなる大事な場所的な機能が、
自然発生的に備わっています。
安宿には、
それぞれ個室があって、別に旅行者の集まる、食堂と言うかカフェと言うかロビーと言うか、そういったスペースがあるタイプと、
同じ部屋に多数のベッドが置かれているドミトリータイプとがあって、
旅行者どうしの距離が近く、
自然と会話、交流が生まれる空間になっています。
さらに世界各国には、日本人旅行者が集まる日本人宿が無数に存在します。
日本人宿に滞在中は、言ってみれば、そこが家みたいなもので、
日々の観光などにはそんなに干渉はしないけど、
さり気なく、ゆるく見守り合うと言うか、
誰かが遅くまで帰って来なければ心配したり探したりもするし、
困りごとは助け合い、時には一緒に行動、観光したり、
他の街へと出発する時には見送ったり。
日本人宿以外で特定の国の人達が集まる宿として聞くのは、
韓国人宿、イスラエル宿、は聞きましたが、他はあまり聞いたことがない。
これは、各国の特徴によるところが大きいでしょう。
欧米の人達は、国は違えど元々のルーツは同じで、混じり合って行動してもそんなに違和感がない。
ドイツ宿とかフランス宿とかを聞かないのは、そのあたりが理由なのかな、と思います。
知らないだけで、あるのかも知れませんが。
欧米人どうし(国、民族は違っても)よりも、
欧米人と日本人は違いが大きく、言葉の問題も大きく、
自然発生的に、日本人だけが集まる宿、というのが各地にできていったのでは、と推察します。
海外に出れば、知らない人でも、
同じ日本人だ、というだけで無条件に連帯感や信頼感が生まれ、
互いに協力し合い、場合によっては、
とても仲良くなったりするのが日本人宿で、
それは日本人の特徴であるとも言え、
しかし、日本人どうしではなくても、
旅行者の集まる安宿は、
国籍を超えて無条件に信頼し合って情報交換や交流の生まれる場所で、
この安宿文化、未来の国際社会のモデルにならないものか?
とも思います。
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