スワローズ観戦記 6年ぶり8度目のリーグ優勝おめでとう!

 今年6月、東京五輪の野球競技会場となる準備のため本拠地横浜スタジアムが使用できないことから、ベイスターズが神宮球場で主催試合を行うこととなった。

この時、神宮球場のバックスクリーンに映し出されたベイスターズからのメッセージが、謙虚で好印象と話題になった。

「神宮球場お借りします。」

これを見たときは僕も、「いえいえこちらこそ、日本代表に横浜スタジアムを貸してくれてありがとうございます。」と温かい気持ちになった。

 そんな両チームの今年のやりとりがあったからなのか…、それは分からないが、ベイスターズの選手・ファン・関係者全ての方々のご協力があったからこそ、スワローズは26日最高の瞬間を迎え、ファンは至福の時間を存分に味わうことができた。

本当に、感謝の気持ちでいっぱいだ。


 2位タイガースとのゲーム差はなし。「残り試合数が多いから有利」と言われていたが、タイガースが勝ち、スワローズが負ければ色々な意味でかなりややこしくなる…という緊張感のなか、10月26日 午後17時45分 優勝をかけた大一番をスワローズは横浜スタジアムで迎えた。

ホーム・ベイスターズの先発は今永昇太投手

対するスワローズの先発は高梨裕稔投手

 今永投手は昨年10月、左肩に違和感を訴え患部のクリーニング手術を受けたことにより、今季初勝利は6月と出遅れてしまったが、その実力は誰もが知るところ。無双されたら打てない…。つまり、スワローズファンの僕は今永投手が好調でないことを願うばかりだった。

 高梨投手は、5月、6月、7月と勝ち星がなく苦しんだが、9月、10月の大事な試合で1勝ずつ、2勝を挙げ復調を感じさせてくれていた。

この試合は、今永投手が無双せず、高梨投手がそれなりの回数を投げられればいけるのでは?!といつものように「先発頑張れば勝てる説」をまず一番に考えていた。

 ところが、今シーズンの戦い方、特に継投に関しては高津監督がブレないこともあり、僕は大体予想を外すことはなかったのだが、この日の高津監督はいい意味でガンガン期待を裏切ってくれた。

 まず、控え投手の中に、今や先発の柱の一人として活躍をしている高橋奎二投手がいたことに少し驚いた。

でも、高梨投手が早めに崩れたときにロングリリーフをさせるための要員であろう、と考えれば、レギュラーシーズンはこの試合を除けば残り2試合、そこで高橋投手が先発する可能性は低いと言われていたので、すぐに納得できた。

 ところがところが、スワローズ4点リードで迎えた5回裏、1失点と好投していた高梨投手がマウンドを降りることになった。

誰に代えるのか…、ここで高橋投手でショートスターター的な戦い方か?!!

と思ったら石山泰稚投手。これはほぼいつも通りだ…。

ツーアウトをとったところで、田口麗斗投手に交代。

ここで、試合の行方は勿論だが、継投予想が面白くて仕方なくなってくる。

田口投手はワンポイントなのか…、それとも6回裏が左バッターの佐野選手からだから田口投手は回またぎかな?!と思っていたらなんと…

ここで高橋投手の出番となる。

これには驚いた…。試合展開的に小刻みな継投に入り、高橋投手は出番なく終わる…。そう予想していたからだ。

 

 結局、高橋投手は6回裏・7回裏の2イニングを投げて無失点の好投。

8回・9回は?まさか最後の最後でイジってこないよな?なんて心配を少しでもした僕は愚かなファンだった…。

心配無用。いつも通り、清水昇投手→マクガフ投手という必勝パターンであった。

 先制点は取られたものの、今永投手相手に早めに同点にすることができたのは大きかった。3回表には、サンタナ選手、中村悠平選手、二人が2点タイムリーツーベースを打ち4点を加えた。

失点は初回の1点のみ、執念の継投はずばり的中した。


1対5 でビジターのスワローズが勝利した

勝ち投手は高橋奎二投手で4勝1負

そして、タイガースが負けたことにより、スワローズの6年ぶりのリーグ優勝が決まった。

決まった瞬間は、喜び爆発というより安堵だった。厳しい戦いがずいぶん長く続いていたので「ようやく楽になれる」と思ったのは、正直な気持ちだ。

時間が経つほど、喜びは湧いてきた。

その夜は、目を閉じても今シーズンの今までの戦いぶりが頭に浮かんできて、「ピッチャーのMVPは誰だろう?野手は?全体では?」とか考え出しては止まらなくなり、なかなか寝つけなかった。



 今日のネガティブで長いまとめ

ないです。さすがに、今日はないです。

ネガティブな言い分は何もないので感謝の気持ちを伝えたいです。


 スワローズの守護神マクガフ投手が最後のアウトをとったとき、優勝を争っていたタイガースはまだ試合中だったので、選手たちはベンチでタイガース対ドラゴンズの結果待ちをしていた。

この時、横浜スタジアムのバックスクリーンではその試合のライブ映像が流されていて、選手もファンも最終回のアウトが重なるたびに気持ちが高まっていった。

僕は現地で観ていたわけではなく、友人宅でBS放送を観ていたのだが、現地の雰囲気はよく伝わってきた。

タイガース最後のバッターが倒れ試合が終わり、スワローズの優勝が決まると、選手たちは敵地横浜スタジアムのマウンドに向かって走った。

「日本での優勝未経験、野手最年長・青木宣親選手のフライングダッシュ!からの高津監督の胴上げ」

という名場面を、ライブ映像で観ることができたことは、ファンとして僕は一生忘れることはないだろう。

 

 目の前で胴上げをされるのは悔しいと思う。ベイスターズはホーム最終戦だったので最後にセレモニーがあり、選手もファンも帰りたくても帰れなかっただろう。

三浦大輔監督は、挨拶の最初に、チームスワローズ、そしてファンに「おめでとうございます」と言葉を贈ってくれた。

敵将から贈られたこの言葉は、本当にグッとくるものがあった。

最高の舞台を演出してくれたチームベイスターズの皆さん、スワローズの選手に温かな拍手をおくってくれたベイスターズファンの方々、本当にありがとうございました。

前述のとおり、僕は横浜スタジアムでのこの光景を一生忘れません。

 

 最後まで優勝争いをしたタイガースは、毎年夏になると高校球児たちのために甲子園球場を出て、長く厳しい「死のロード」に出る。 

2年前の夏、この甲子園で活躍した奥川恭伸投手は、スワローズの一員となり、若き次世代エースとしてチームを引っ張り、チーム躍進の立役者となった。

タイガースホームの甲子園球場で高校球児たちがプレーをする。そして、彼らが大学野球やプロ野球に行き活躍する。この流れは、長いことずっと変わらない。

アマチュアに対しても、プロに対しても、タイガースの「日本球界」への貢献度の大きさを決して忘れてはならない。

あの夏がなければ、きっと今の奥川投手はいないでしょう。

 

 優勝を決めた翌日、興奮のあまりよく眠れず寝不足のまま出社すると、顔を合わす人みんなが「おめでとう!」と声をかけてくれた。

僕がファンであることを知ってくれていて、マジックが減るたびに、多くの人がいつも声をかけてくれた。

人が好きなことを覚えていて、それを気にかけてくれる。それというのは、簡単そうでなかなかできることではないと思う。だから、凄く嬉しかった。


 今はあまりにも頼もしくて、そばにいなくても大丈夫だろうけど…、

誇らしい今だからこそ、歌わせてほしい

「どんな辛い時も 俺たちがそばにいる だから手をとり闘おう 今ここから」

まだまだ、闘いは続く。今ここから。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?