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技術士 (電電/電設) むけ研鑽 - R5 再現論文 I -

いきなり順番が前後するが本来は受験後 24  時間以内に書いておくべきものらしいので 10 日ほど経った今になって慌てて書いておく。
全般に論文の書き方は問題視していないため、論文の構成を記すに留める。それでもツッコミどころ多数なので役には立つはず。
ということでまずは必須問題 I から着手してみる。


1.再現

1) どのように問題を選択したか

問題文は以下サイトを参照。

I-1 はソフトウエア寄りの内容に見えるため飛びつきたくなるものの、設問中にヒントが少なく大外れする恐怖感あり。
I-2 は EV キーワードでとっつきやすく見えるが "根本的な課題解決" なる文言で牽制してくるおっかなさアリ。
いずれも楽々記述とはいかない雰囲気を感じたため、両者について論文構成を粗書きしてみた。ふつうはこんな事していたら時間が足りなくなりそうだが、結果的には 20 分ほど時間を残して用紙を使い切れた。ので、時間配分的には問題なかったものと思われる。
粗書きの結果 I-1 は最後まで展開し尽くせない事が判明。これと比べて I-2 は展開が描けて独立した論点が設定できたので選択。

2) 問題文をどのように解釈したか

問題文は少なくとも 3 回は読んだ。思いっきり下線で強調してもらっているが、やはり気になったのは以下の文言。

(前略)
インフラ技術を考える上で鍵となるものは、根本的な課題解決の観点をどのように捉えるかである。
(中略)
EV が普及した社会におけるインフラ技術に向けた考え方を問うものである。

R5 技術士二次試験過去問題

これらから、見た目は EV をトピックにしたものでありながら、それ自体が問われているわけではないと解釈した。これは、現実に EV 社会の実現そのものは遠い将来のものでは無いことからもっともな問題設定と思われる。
次に解釈にエネルギを要したのは "根本的な" の意味するところ。問題文にしては曖昧な表現であり、まさしくこれをどう解釈するか試されていることが伝わってきた。特に本問はインフラ技術とかけたものであり、二つの解釈が考えられた。

  • モビリティ技術がインフラ化した社会からの要請

  • モビリティ技術から既存のインフラ技術への要請

電気電子分野の出題であることを考えれば後者が求められていたのかもしれない。が、冒頭が "これからのモビリティ社会では" に始まっているところや、かつて自動車業界やスマートシティについて調べた経緯から前者を主たるものとして解釈した。
# のちにごっちゃにしてしまう事にはなったが、この解釈が論述スタンスとなった事は間違いない

ややおまけながらもうひとつ気になったのが

人事, 政策などは含まない

R5 技術士二次試験過去問題

というところ。午前の時点ではそうだよねーと流しつつもあったが、午後の試験ではこれが書かれてなかったりする。とはいえ予め明示されてるコンピテンシとの関係を考えれば、午前午後とも人事や政策的な論述は避けた方が良かろう。

3) どのように回答を構成したか

先にも書いたように設問 (1)-(4) を通して論述できることを重視した。設問の構成は以下のイメージ。

必須科目出題構成

図示してみると改めてよくわかるのが以下。

  • 論述の入りは広い視野が必要も全てを深める必要はない

  • (3) (4) は (2) にぶら下がっているので選ばなかった観点は関係ない

  • (1) は電気電子全体の専門技術、(3) は専門技術と微妙に制限が異なる

3 点目は実は試験後に気がついたのと若干のこじつけ感があるが、何らか意図があるとしたら面白い。

実際の論述構成は以下の通り。

必須科目論述構成

リスク対策は忘れてしまったので思い出したら書く。

2.振返

1) AI 回答

おなじみ ChatGPT にて聞いてみた。使い始めて日が浅いので質問の仕方も探り探り。

Q: 私は、科学技術に関する技術的専門知識と高等の応用能力及び豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた優れた電気電子分野の技術者です。これからのモビリティ社会で電気自動車(EV)が社会のインフラ技術に与える影響を考え、根本的な課題解決を目指して、解決策と将来像の道筋を示そうとしています。EVが普及した社会におけるインフラ技術を考えるため、根本的な課題解決の観点を3つ挙げて、それぞれの課題と解決策、新たに生じるリスクと対策を説明していただけますか?また、解決策を実施するため、技術者としての倫理や社会の持続可能性を踏まえて必要な要件を説明していただけますか?

CahtGPT 質問

A: モビリティ社会において電気自動車(EV)が普及する際に生じる根本的な課題と解決策、それに伴う新たなリスクと対策、そして技術者としての倫理や社会の持続可能性を踏まえた要件を以下に示します
[課題1] 充電インフラの拡充と高速化
[解決策]
・充電インフラの整備: 充電ステーションの拡充と普及を促進するために、政府や民間企業と連携して充電インフラの整備計画を策定し、積極的な投資を行う必要があります。
・高速充電技術の開発: EVの普及において、充電時間の短縮が重要な要素となります。高速充電技術の研究と導入を進めることで、ユーザーの利便性を向上させます。
[新たなリスクと対策]
・電力需要のピーク: 大規模な充電需要により、電力網への負担が増加する可能性があります。スマートグリッド技術を活用して需要と供給を調整し、電力ネットワークの安定性を確保する必要があります。
充電ステーションの故障: 充電ステーションの運用中に故障が発生する可能性があります。適切なメンテナンスと障害対応体制の確立を行い、サービスの中断を最小限に抑える対策が必要です。
[課題2] バッテリー技術の進化とリサイクル
[解決策]
・バッテリー技術の革新: より高容量で長寿命なバッテリーの開発を進めることで、EVの走行距離と寿命を向上させます。研究機関や産業界との連携を強化して、持続可能なバッテリー技術の実用化を図ります。
・バッテリーのリサイクル: バッテリーのリサイクル技術を進化させ、貴重な資源の再利用を促進します。また、廃棄物の適切な処理と環境への影響を最小限に抑えるために、リサイクルプロセスの健全化が必要です。
[新たなリスクと対策]
・バッテリー材料の供給不足: バッテリー材料の需要増加により、供給不足が生じる可能性があります。サプライチェーンの多様化と安定化に向けて、異なる供給源を探求し、供給リスクを軽減する必要があります。
・バッテリーの廃棄物管理: 大量のバッテリー廃棄物の処理は環境に対する悪影響を及ぼす可能性があります。リサイクルに加えて、廃棄物管理システムの改善と持続可能な廃棄処理の推進が重要です。
[課題3] グリーンエネルギーとの統合
[解決策]
・再生可能エネルギーの促進: EVの充電に再生可能エネルギーを積極的に導入することで、二酸化炭素排出量を削減し、持続可能なモビリティ社会を実現します。太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及を推進します。
スマートグリッドの活用: スマートグリッド技術を用いて、再生可能エネルギーの変動を柔軟に制御し、電力の安定供給を確保します。
[新たなリスクと対策]
・グリッドの脆弱性: スマートグリッドを利用した電力網は、サイバーセキュリティ上の脆弱性を抱える可能性があります。セキュリティ対策とハッキング対策の強化が必要です。
・天候条件によるエネルギー供給の変動: 太陽光や風力は天候条件によってエネルギー供給が変動します。エネルギーの安定供給を確保するために、バッテリー技術やエネルギー貯蔵技術の活用が重要です。

[技術者としての倫理や社会の持続可能性を踏まえた要件]
・倫理: 技術者は公共の安全と利益を最優先に考える必要があります。EVのインフラ技術の開発や導入に際しては、品質や安全性の確保が不可欠です。品質管理や安全基準の厳守、適切な設計とテストが行われることで、ユーザーに対する信頼性を築きます。
・持続可能性: EVの普及による社会の持続可能性を考慮することが重要です。電力の効率的な利用、再生可能エネルギーの活用、資源のリサイクルなど、環境への影響を最小限に抑える取り組みが必要です。また、社会全体での交通の効率化と公共交通機関の充実にも貢献し、持続可能なモビリティ社会の実現を目指すべきです。
・協力とコミュニケーション: 技術者は他の関係者と協力し、意見を交換するコミュニケーション能力が求められます。政府、産業界、研究機関、一般市民などと連携して、課題の解決と持続可能な社会の実現に向けて協力しましょう。特に、地域の特性やニーズに合わせたインフラ技術の導入を考慮することが重要です。
・イノベーションと教育: 技術者は常にイノベーションを追求し、新たな技術や手法の開発に努めるべきです。教育や啓発活動を通じて、社会全体にEV技術の利点や挑戦を理解してもらい、持続可能なモビリティ社会の実現に寄与します。
・長期的視点: EVの普及とインフラ技術の発展には長期的な視点が必要です。技術者は一時的な利益だけでなく、将来世代への影響や持続的な利益を考慮しながら意思決定を行う必要があります。

これらの要件を実践することで、技術者としての責任を果たし、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献できるでしょう。技術の進化と社会の発展をバランス良く促進することが重要であり、公益を確保するために高い倫理観を持ち、社会の持続可能性を常に念頭に置いて行動することが求められます。

ChatGPT 回答

一部整形してペーストしたが即興でこれだけ書けたら全受験生の平均くらいは確かに到達してそうだなと思う。パッと見で押さえるべきキーワードは押さえられているようなので、いったんこれを暫定解として学ばせてもらおう。形式的な学びを列挙すると以下。

  • 電気電子分野として幅広くキーワードが散りばめられている

    • 分野共通の科目なので当然に求められるものと思う。他科目について、白書に出てくるようなキーワードは一般人以上には知っておいて、総合格闘技的に繰り出せるようにしておくべし

  • 要件に対して複数の論述軸が設けられている

    • 要件と言われて何を答えたら良いのかと当日アタマをひねっているようでは話にならない。対策動画で困ったら教育を書け、というのもあったように思い出すが、当日テンパっていると軸を設定する意識すら飛んでしまう

一方で内容からの学びは以下。ひとまずはおっと思ったところを書き留めて、事実であるかどうかは追調査とする。

  • 充電インフラと充電時間

    • これが事実であるなら電気設備屋としては回答しやすい良い誘導になる。一歩間違うとインフラ普及の政策などに気を取られるので、そうならないように。充電時間は電気設備というよりは電気応用や電子応用寄りの話になりそうで、学生時代の物性研究などで聞いていた話が生きてくるかもしれない。

  • 電力需要ピークと充電ステーション故障

    • これも電気設備屋としてはとても良い誘導。需要家として電力会社とやりとりしている経験などから、電力会社に勤めていなくてもある程度は電力供給については語れる。充電ステーションについては、これまた需要家側の設備管理としての立場をステーション保守管理にシフトして考えれば何らか語れる。

  • バッテリ技術とリサイクル

    • バッテリ技術については充電時間のところと近しい話。リサイクルについては、マテリアルリサイクルという社会課題と紐づいていてペネ。ただし設備屋として語れるネタは多くはなさそうなので、観点としては挙げてその後の選択からは外すくらいがちょうど良さそう。

  • バッテリ材料と廃棄

    • ほぼ同上。材料について詳しくないがレアメタルなど絡められると社会課題と結び付けられそう。

  • 再エネとスマートグリッド

    • 再エネはそろそろ一般知識と化しつつあるのでプロフェッショナルさを出すにはなにか特別はキーワードが要りそう。スマートグリッドは正直ほとんど知識ないが、固定された物である時点で設備屋のテリトリであるから、教養として調査しておく。

  • グリッド脆弱性と天候変動

    • これは前項とセットで把握すべし

以上とは別に AI 回答をそのまま理想回答とできないとしたら以下の点だろうか。

  • 根本的な課題解決が何なのか見えない

    • 質問文で強調していないせいか深掘りされた感はない

    • 課題〜解決策のセットは良さげなので、それをいかに課題と結びつけるかという印象

  • インフラの捉え方

    • 先に書いた大別で言うと後者の "モビリティ技術から既存のインフラ技術への要請" の枠組で解釈されたと思う。実際にはこの解釈でないとなかなか電気電子分野の技術にたどり着かないことから、こっちをベースとすべきだったかなと感じつつある。

2) 改善案

以上を踏まえた改善構成をアップして本コラムの結論としたい。

必須科目修正構成

求められるレベル感がまだ掴めていないため、ひとまずこれを暫定解としておく。

以上。


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