傍聴記録7(後半) 大麻を愛してやまない男の裁判

※プライバシー保護の観点から氏名や住所などはすべて変更しております。

2017年4月18日(火)
裁判官:寺屋太志 書記官:杉下強 検察官:会田友佳 弁護人:岩田徹

裁判官「時間になりました。では開廷いたします。裁判官が交代いたしましたので、公判廷の期日更新を行います。検察官は従前の通りの趣旨でよろしいでしょうか?被告人一度証言台の前に立ってください。前回(前回は裁検弁で打ち合わせ)から裁判官が変わりまして、私はあなたに会うのが初めてですので、お名前と生年月日を教えてください。」

被告人「柏原孝介。昭和45年12月19日生まれです。」
裁判官「はい。では一旦席に戻ってください。まず先に書証の関係ですが、採否留保になっていた甲号証189号証から甲203号証、弁護人これに対するご意見はいかがですか?」

弁護人「189号証から204号証までについては、これまで不同意というふうに意見していましたが、これを撤回しまして、同意することとします。ただし甲189号証から甲204号証に関しては、本件公訴事実と事実の関係が不明でありまして、また公訴事実と関連性が認められるとしても、累計責任証明力の判断になるような恐れの薄い証拠であるため、法律的関連性に欠けるものと思料します。甲189号証、甲204号証は、いずれも犯罪経歴照会結果報告書であり、その立証趣旨は、被告人が連絡を取っていた者の犯歴関係とされています。しかし仮に被告人が連絡を取っていた者に、犯歴関係が存在することが事実であっても、本件公訴事実とどのような関係を有するかは不明であると言わざるを得ません。確かに本件公判においては、被告人の営利目的について争いはありますが、仮に被告人が連絡を取っていた、こういう犯歴が存在するという事実のみでは、営利目的との認定の関係では、何ら関係性もないと言わざるを得ません。この何ら関連性もない証拠ではありますが、仮に、被告人が連絡を取っていた者の一部に、法律関連法違反、前科がある者が存在することを示す証拠は、公判廷に提出されることになれば、被告人が、その法曹の関係で、何らかの薬物をめぐるような関係性を有していたのではないかの変成を与える可能性もあります。そのようなこととなれば、他人の前歴によって、被告人にかかる公訴事実の量刑の判断に影響を与える恐れがあり、証明する判断を誤る恐れの強い証拠であることも明らかであります。以上の通りであるため、甲189号証から甲204号証については、証拠として採用されるべきではないと判断し思料いたします。仮に採用がなされるとしても、当各証拠からの事実認定にあたっては、慎重な判断がなされるべきと思料します。」

裁判官
「弁護人、甲189号証から203号証までの誤りではないですか?」
弁護人「そうですね。ごめんなさい。203号証までで。」
裁判官「検察官、弁護人の意見に対して何かありますか?」
検察官「こちらとしては、被告人の携帯電話の発着信履歴に関わるものについて、関連性が強くあるもとして考えます。」
裁判官「では甲189号証から甲203号証まで採用します。検察官、甲189号証から203号証まで要旨の告知をお願いします。」

検察官「甲189号証ないし甲203号証ですが、被告人の携帯電話の発信履歴に関わる者の前歴関係になります。いずれも大麻取締法違反の前歴があることが記載されています。」

裁判官「弁護人の立証に移る前にですね、書証の整理をしておきますが、まず不同意の甲1号証の現行犯逮捕についての書証、これは撤回でよろしいですか?」

検察官「はい。撤回でお願いします。」
裁判官「甲174号証から甲179号証の不同意となっているものがあるんですけれども、こちらも撤回でよろしいですか?」
検察官「はい。撤回します。」
裁判官「甲182号証と甲183号証も不同意となっていますが、そちらも撤回で?」
検察官「はい。撤回いたします。」
裁判官「それから甲185号証から甲187号証までの不同意部分。こちらも撤回でよろしいですか?」
検察官「はい。撤回いたします。」
裁判官「検察官の証拠の整理は以上になります。続いて弁護人の方の情状立証ですかね?」
弁護人「はい。」
裁判官「まず証拠書類、弁1号証から弁6号証まで、検察官ご意見いかがでしょうか?」
検察官「いずれも同意します。」
裁判官「それから情状証人2名についてのご意見お願いします。」
検察官「こちらは、しかるべく。」
裁判官「では弁1号証から弁6号証まで採用して、情状証人についても採用いたします。まず証拠書類について弁1号証から6号証まで、要旨の告知をお願いします。」

弁護人「弁1号証、リーフレットになります。立証趣旨は、独立行政法人、大阪府立神経医療センターにおける、薬物治療の概要となっております。弁2号証、領収書であります。平成29年3月20日、被告人が薬物医療治療のために、大阪府立神経医療センターに通院した事実であります。弁3号証、南斗総合精神福祉センターのパンフレットになります。立証趣旨は、南斗総合精神福祉センターの概要となっております。弁4号証ですが、リーフレットとなっております。立証趣旨は、南斗総合精神福祉センターの実施する、若年者向け薬物者乱用防止プログラムの概要となっています。弁5号証、領収証書となります。平成29年3月29日、被告人が薬物依存治療のため、府立宮坂医院に通院した事実、および同年4月27日の、次回通院として予約された事実であります。弁6号証、解析結果報告書となります。立証趣旨は被告人の使用している携帯電話の電話帳記録一覧となっております。以上です。」

裁判官「それでは証人尋問を行います。まず、被告人の証人である柿田さん。証言台の前にお越し下さい。」
弁護人「あっ、まだ証人カード書かれていないですか? 裁判官、もしよろしければ、ご意見なければ宮本さんから質問させていただけけると。」
裁判官「わかりました。検察官もよろしいですかね?」
検察官「(うなづく)」

裁判官
「確認のため、お名前と生年月日を教えてください。」

証人
「宮本潔。昭和33年9月12日です。」
裁判官「これから証人として、お話を聞いていきますが、その前に、嘘を言わないという宣誓をしていただきます。宣誓書を読み上げてください。」
証人「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず偽りを述べないことを誓います。」
裁判官「今お話していただいたとおり、記憶にあることを、ありのままにお話しください。わざと記憶にないことをお話されますと、偽証罪で処罰される可能性がありますので、十分にご注意下さい。では弁護人、主尋問をお願いします。」

弁護人「それでは弁護人の岩田から、お話を伺います。私の質問の後に、お答えいただければと思いますので、よろしくお願いします。」
宮本証人「はい。」
弁護人「まず、あなたとですね、被告人の柏原さんとの関係について教えていただけますか?」
宮本証人「柏原君の会社の代表取締役を務めています。」
弁護人「柏原さんは、いつから、あなたの会社で働いていますか?」
宮本証人「3月23日だと思います。」
弁護人「今年のですか?」
宮本証人「はい。そうです。」
弁護人「あなたの会社の名前を教えてもらえますか?」
宮本証人「有限会社宮本実業です。」
弁護人「あなたが立ち上げた会社ですか?」
宮本証人「はい。」
弁護人「いつ頃立ち上げたんですか?」
宮本証人「平成8年に個人で立ち上げて、翌年に法人として登記しました。」
弁護人「現在の社員は何名ですか?」
宮本証人「17名です。」
弁護人「業務内容を教えていただけますか?」
宮本証人「建造物、家屋の取り壊しが主で70%くらい。あと外構工事(?)が30%位です。」
弁護人「立ち入ったお話しになりますが、会社の業績はいかがですか?」
宮本証人「一昨年は売上のほうも今までで一番の売上をあげまして、今年は今はまあ順調に動いているというところです。」
弁護人「会社の業績も好調ということですが、人手というのは足りている状況ですか?」
宮本証人「いや、やはり人材不足なので、非常に足りないというところです。」
弁護人「むしろもっと増やしたいという感じですかね?」
宮本証人「そうですね。はい。」
弁護人「柏原さんを採用することになった経緯というのを教えてもらえますか?」
宮本証人「うちの社員で、新谷という者がおりまして、その新谷と柏原君は、幼い頃からよく知っているということで、それで、ウチの会社でどうですか? ということで、新谷の方から紹介されてですね、それで、まあ、柏原君と面接して、最初は契約社員という期間雇用ということで雇用して、それで、今はウチの会社で働いております。」
弁護人「いま期間雇用というお話が出たんですが、今後は正社員とするようなお考えはありますか?」
宮本証人「はい。色んな形の雇用がありますので、今後本人と相談して、正社員になっていくということであれば、ウチの会社で正社員として働いてもらいたいとも考えております。」
弁護人「今回の事件のことなんですが、いつ、誰から聞きました?」
宮本証人「新谷君のほうから、柏原君との面接の後で、新谷君の方から聞いた次第です。」
弁護人「どんな事件だったというふうに聞いていますか?」
宮本証人「大麻を所持していて、よくわからないですけど、何百グラムも持っていて、それで逮捕されて裁判中という、そのくらいですかね。」
弁護人「今回の裁判は、柏原さんが売る目的で持っていたんじゃないか?という事で疑われていることも聞いていますか?」
宮本証人「あっ、それも聞いています。」
弁護人「もちろんですが、新谷さんからも聞いたと思うんですけれど、本人からも話は直接聞いていますね?」
宮本証人「はい。」
弁護人「今回の話を聞いても、柏原さんを雇用しようと思ったのは何故ですか?」
宮本証人「さきほども言いましたけども、ウチの社員の新谷が、幼い頃から知っていると聞いていることと、こういう事件の本人だけど、新谷のほうから、柏原の面倒は一生見ていくということで、それでまあ、是非お願いしますということなので、会社のほうとしても、新谷がそういうふうに言っているのであれば、ウチで働いてもらって構わないと言いました。ウチの社員達の方も、このことを知っていまして、社員のほうも理解しているということで、みんなで頑張ってやろうということで、そういう方向で行きましょうということになりました。」
弁護人「ちなみになんですが、被告人以外で前科等がある人っていうのはいらっしゃるんですか?」
宮本証人「いませんね。はい。」
弁護人「そうすると今回みたいな事件を起こした人を雇うことに不安はなかったですか?」
宮本証人「まあ、でも、ないって言ったらウソになるかもしれないですけど、本人はキチっとやっていくということなんで、まあ過去は関係なく、これから一生懸命やってくれれば良いかなと考えています。」
弁護人「はい。新谷さんという名前が出ましたが、新谷さんはいつから宮本興業さんで働いているんですか?」
宮本証人「この宮本興業を立ち上げた時からなんですが、その以前に専務として私が会社を運営していまして、その時から一緒に仕事をしてくれている人間です。」
弁護人「すると新谷さんは、あなたがかなり信頼を置いているかただというふうにお聞きしてよろしいですか?」
宮本証人「そうですね。はい。」
弁護人「3月に入社されたということなので、まだ1ヶ月程度ではあると思うんですが、被告人との付き合いをしてみて、どのように感じていますか?」
宮本証人「そうですね。普段私は現場のほうに出ないんですけども、今回そういう機会があったので、柏原君と一緒に現場をやってですね、私が他の仕事をしていて丸一日仕事をしていてできない場合があるので、その時に、柏原君に今日の仕事はここまでなんで、明日はここまでやるからということで、私が先に現場を離れてですね、柏原君に頼んだということで、次の日の朝また私が行くんですけれども、そういう慣れない仕事でしょうけど、きちんと前の日の仕事は終わらせて、必ず終わった時や、わからない時は、必ず私に連絡をちゃんと入れる。と、そういうことはキチンとしていると思います。あとは即戦力とはまだまだいかないんですけれども、現場を任せて1人にしておいても心配はないかなと思っています。」
弁護人「そうすると、仮に柏原さんが服役したり、また犯罪を犯して身柄拘束を受けたりして、仕事ができなくなったとなると、あなたの会社のほうにも当然支障が出るということで間違いないですか?」
宮本証人「もちろんです。」
弁護人「それと仕事を通じて、今度被告人が2度と同じことを起こすことがないように、監視監督をすると、あなたのほうで誓っていただけますか?」
宮本証人「はい。」
弁護人「以上です。」

裁判官「はい。では検察官、反対尋問をどうぞ。」
検察官「検察官から何点か質問します。」
宮本証人「はい。」
検察官「今回被告人が裁判にかけられていることは、ご存知ですよね?」
宮本証人「はい。」
検察官「被告人とは、その裁判の後に知り合ったということになるんですか? さきほどの話がわからなかったので。いつから知り合ったんですか?」
宮本証人「ウチの新谷が、ウチの会社で働くのどうだということで、新谷のほうから紹介されまして、それで仕事をする前に、柏原君と面接して、それから仕事に入ってもらったので、3月20日頃とかですかね。」
検察官「今年のということですか?」
宮本証人「そうですね。」
検察官「事件のことは、ある程度把握されていると思うんですが、被告人自身が大麻を使っていたかどうかというのは把握されていましたか?」
宮本証人「柏原君自身がですか?」
検察官「はい。そうです。」
宮本証人「それは、聞いていないですけれども、持っていたというのは聞いています。」
検察官「実際にどこから大麻を手に入れたかの詳細は聞いていないということでしょうか?」
宮本証人「そうですね。」
検察官「私からは以上です。」

裁判官「弁護人いかがですか?」
弁護人「結構です。」
裁判官「では終わりましたので、元の席に戻ってください。」
宮本証人「はい。」
裁判官「続いて柿田さん。証言台の前にお越しください。」
柿田証人「はい。」
裁判官「あっ、まだ椅子に腰をかけないで立ち上がってください。すみません。」
裁判官「お名前と生年月日をおっしゃってください。」
柿田証人「昭和18年1月8日、柿田文雄です。」
裁判官「これから証人として、お話を聞いていきますが、その前に、嘘を言わないという宣誓をしていただきます。宣誓書を読み上げてください。」
柿田証人「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず偽りを述べないことを誓います。」
裁判官「今読み上げていただいたとおり、記憶にあることを、ありのままにお話しください。わざと記憶にないことをお話されますと、偽証罪で処罰される可能性がありますので、十分にご注意下さい。では椅子に腰掛けてください。では弁護人、主尋問をお願いします。」

弁護人「それでは弁護人の岩田から、お話を伺います。私の質問が終わった後に、答えるようにしてください。まず、あなたと、被告人との関係について教えていただけますか?」
柿田証人「自分の妻と、孝介君のお母さんは、従兄弟関係で、子供の頃からの知り合いです。」
弁護人「被告人から見ると、あなたは叔父さんということになるんですかね?」
柿田証人「はい。」
弁護人「現在なんですが、被告人が保釈手続きで保釈されましてですね、その後は、あなたと同居されているというのは間違いないですか?」
柿田証人「そうです。」
弁護人「被告人と初めて会ったのはいつ頃ですか?」
柿田証人「3、4歳だったと思います。」
弁護人「これまでの間ですけれども、あなたは、被告人のご近所さん、まあ近くに住んでいたということで間違いないですか?」
柿田証人「はい。」
弁護人「被告人の家族と、あなた、もしくは、あなたの家族とは、どのようなお付き合いをしておりましたか?」
柿田証人「親戚ということで、正月を一緒に過ごしたり、お互いの家に行ったり、そういう関係でした。」
弁護人「被告人は、幼い頃から、お父さんがいないと思うんですが、その父親代わりみたいな、そういう立場で、あなたは、あったんですか?」
柿田証人「そうだと思います。」
弁護人「被告人と顔を合わせて話したりする機会は、どれくらいありましたか?」
柿田証人「お母さんが健在の時は、2、3日に1回だとか遊びにきたりしていました。」
弁護人「被告人のお母さんが亡くなった後はどうでしたか?」
柿田証人「そうですね。それから自分も反省していますけど、あまり会う回数も減っていったと思います。」
弁護人「ところで、証人にもお子さんがいらっしゃるんですよね?」
柿田証人「はい。」
弁護人「何名いらっしゃいますか?」
柿田証人「長男と次男と長女の3人です。」
弁護人「そのお子さん達と、被告人の関係はどうですか?」
柿田証人「年も近いから仲良くやっていると思います。」
弁護人「とすると息子さん達からも、被告人は今どんな状況かとか、どんな仕事をしているかとか、そういうお話は聞いていますか?」
柿田証人「聞いていました。」
弁護人「例えばなんですが、これまでの間、被告人と食事をしたりですとか、色々と話をしたりですとか、そういう機会はあったんでしょうか?」
柿田証人「はい。あの自分は空手をやっているんですが、週末には一緒に空手道場に行ったり、食事をしたりしていました。」
弁護人「大体月に1回程度は会ったりするんですか?」
柿田証人「そうですね。もっと月に2回か3回は会っていると思います。」
弁護人「被告人には公務執行妨害ですとか、傷害とかの前科があるんですが、それは知っていましたか?」
柿田証人「はい。未成年の時に、お母さんと、おばあちゃんを連れて、面会に行った記憶があります。」
弁護人「細かいことまでは知らないけれど、そういうことがあったことは知ってるということですね?」
柿田証人「はい。」
弁護人「被告人の仕事について、被告人から話は聞いていますか?」
柿田証人「音楽関係で頑張っていると聞いていました。ウチの息子も、そういう趣味がありまして、話をよく聞いていました。」
弁護人「元々あなたは建築業をやられていたんですか?」
柿田証人「そうです。」
弁護人「あなた自身は、あなた自身のお仕事で、被告人と一緒に仕事をした事はあるんですか?」
柿田証人「はい。」
弁護人「今回の事件の事ですが、誰から聞きましたか?」
柿田証人「次男坊の典隆からです。」
弁護人「どのような事件だと聞きましたか?」
柿田証人「大麻を持っていて捕まったと聞きました。」
弁護人「大麻を売ってたんじゃないか? というふうに思われているというのも聞いていますか?」
柿田証人「そんなことはないと思います!」
弁護人「じゃなくてですね、ごめんなさい。」
柿田証人「はい。」
弁護人「売っていたんじゃないか? と警察とか捜査機関から思われているんだっていう事も聞いていますか?」
柿田証人「そういうことをする子じゃないと思っています自分は。」
弁護人「まあまあ、あの、そういうふうに疑われているんだというふうに聞いたことはありますか? 実際に彼がやっているんじゃなくてね。」
柿田証人「いやー、自分は考えられないですね。」
弁護人「わかりました。それで今回少なくとも大麻を持っていたのを聞いて、被告人は大麻を使っていたんだということも聞いていますか?」
柿田証人「話は聞いていないけれども、持っていたとなると、どうなるんですかね、わからないです。」
弁護人「まあ使っていたんですけれどね。」
柿田証人「はい。」
弁護人「で、今回大麻を使っていたということも含めて、大麻を持っていたことについて、あなた率直にどのように感じましたか?」
柿田証人「びっくりしました。」
弁護人「被告人は大麻を使うようなイメージだったですか?」
柿田証人「いや、全然ないです。」
弁護人「被告人が保釈で出て来てから、あなたは、被告人と今回のことについて色々と話しましたか?」
柿田証人「まあ一緒に住んでいますから。出てきてからは。」
弁護人「大麻を300グラム以上、今回持っていたという事件だけれども、そういうことも本人から聞いていますね?」
柿田証人「はい。」
弁護人「被告人は、あなたに対して謝罪とか、そういうような言葉はありましたか?」
柿田証人「当日、土下座して謝って来てね、まあ、終わったことだから仕方がないけど。猛省していると思います。」
弁護人「あなた自身の認識で良いんですが、薬物っていうことに対して、大麻も含めて覚せい剤とか色々あると思うんですが、それについてどういうふうなお考えをお持ちですか?」
柿田証人「心があるから、そういう快楽等に走ると思うんですけど、今後はそういうことをさせないように、自分が指導していきたいと思います。」
弁護人「世間的には、大麻は良いんだとか、そういう意見もあったりするみたいなんですけれども、そういうことに対して、あなたどう考えますか?」
柿田証人「薬で破滅している人間を何人か見ているんですけれど、そういうのを孝介にもっとちゃんと教えて知らせればよかったと思って後悔しています。」
弁護人「もう絶対にさせないということですよね?」
柿田証人「そうです。」
弁護人「被告人は何で大麻をやっちゃったんだと思いますか?」
柿田証人「自分の考えでは、親しかった息子夫婦と、あとは孫が3人いるんですけど、そういう孫達とも親しかったので、ざっくり言うと寂しかったのかなという思いですね。」
弁護人「被告人はお母さんを亡くしていますよね?」
柿田証人「はい。」
弁護人「ひとつの寂しさというところでいえば、そういうのも原因のひとつのかなあと考えますか?」
柿田証人「はい。」
弁護人「先ほども、ちょっとお話がありましたけど、被告人が大麻を売る為に持っていたんじゃないかと疑われていたんですが、あなたとしては、そんなことは絶対にないというふうに思いますか?」
柿田証人「営利目的の所持というのはないと思います。」
弁護人「被告人がね、派手な生活をしているとか、そういうことは聞いたことはありましたか?」
柿田証人「派手な生活をしている様子はありませんでしたが、お金には困っていなかったと思っています。」
弁護人「お仕事もちゃんとされていたというふうに聞いていたわけですよね?」
柿田証人「はい。」
弁護人「被告人の友人関係について聞きたいんですが、被告人の友人関係について、全部が全部というわけじゃなくて良いんですが、一部でも把握はあなたはしていますか?」
柿田証人「はい。先ほど社長が話したように、新谷君とか、親方になったり、独り立ちしたりした人もいて、頑張っている友人がたくさんいます。」
弁護人「今少しお話いただいたことを整理すると、あなたが建築業をやっていた時に、一緒に働いていた友人達もいる。そういう方達をよく知っているということですね?」
柿田証人「はい。」
弁護人「で、そのうちの1人が、先ほどの宮本さんの会社にいらっしゃる新谷君である。という事ですね?」
柿田証人「はい。」
弁護人「また、あなた空手の道場も開いていたんですね?」
柿田証人「はい。今もやっていますけど。」
弁護人「うん。そこに通っていた友人なんかももたくさんいるんですか?」
柿田証人「はい。たくさんいます。」
弁護人「そうすると、ある程度友人関係については把握していると?」
柿田証人「はい。」
弁護人「空手道場ということなんですが、そういう点では、青少年の健全な育成というところにも携わっているということで、お聞きして良いですか?」
柿田証人「はい。」
弁護人「今日こうやって、お越しいただいたのは、被告人が今後薬物はもちろん、その他犯罪に手を出さないために、監視監督してもらうということのためなんですが、具体的にどうすれば、今後薬物を防ぐということができると考えていますか?」
柿田証人「結婚もしていないし、子供もいないから、そういう心の寂しさから来るものがあるのかなと思って、今は一緒に生活しているんですけれども、すごく反省しているなと思うし、今後は社会に貢献できるような人間にしていきたいと誓います。」
弁護人「今まではね。小さい頃から知っていて信頼もしていたと思うんですが、こういうことがあった以上、今後は厳しい目で見ていただくというふうに聞いて良いですか?」
柿田証人「はい。」
弁護人「今、被告人は病院にも通っているみたいなんですが、今後もキチンと通うかどうか、そういうことも監視監督してもらえますか?」
柿田証人「はい。大丈夫です。」
弁護人「被告人に犯罪を2度と犯させないように、監視監督するというふうに誓っていただけますね?」
柿田証人「はい。大丈夫です。」
弁護人「最後に裁判官、検察官、その他にご迷惑をかけた方々に対して、何かありましたら、簡単にお願いします。」
柿田証人「志を高く、社会に貢献出来る人間に育てあげたいと思っています。(涙をこらえて力を込めながら発言)」
弁護人「以上です。」

裁判官「では検察官、反対尋問をどうぞ。」

検察官「検察官から質問します。証人と被告人の家はご近所さんということですが、歩いてどのくらいですか?」
柿田証人「歩いて5分くらいです。」
検察官「今回逮捕されるまでの間、頻繁に行き来はしていましたか?」
柿田証人「はい。」
検察官「どの位の頻度ですか?」
柿田証人「月に1、2回は会っていたと思います。少なくとも週に1回は、ご飯食べたりして、そこで顔合わせたりしていました。」
検察官「今回大麻を持っていたということで捕まっていますけど、会っていた時とか大麻持っているっていたことは、全く気がつかなかったんですか?」
柿田証人「疑いもしませんでした。」
検察官「じゃあ実際にそうなった時に、とてもビックリされたってことですね?」
柿田証人「はい。」
検察官「じゃあ被告人が、例えばどこから大麻を手に入れていたとか、そういったことも全く心当たりもありませんか?」
柿田証人「ないですね。」
検察官「私からは以上です。」

裁判官「では終わりましたので、元の席に戻ってください。続いて被告人質問でよろしいですかね? 被告人は証言台の前の椅子に腰掛けてください。」
被告人「(柿田証人に無言で深々と礼義正しくお辞儀をする。)」
被告人「はい。お願いします。」

裁判官「では弁護人、主質問をお願いします。」

弁護人「それでは弁護人の岩田のほうから聞いていきますが、私の質問が終わってから答えるようにしてください。」
被告人「はい。」
弁護人「まずですね、前回被告人質問をやっていますが、その時に裁判官から質問があったので、その点に対して確認したいのですが、あなたは大麻を一般的に売られている相場金額というものは知らないということですか?」
被告人「はい。」
弁護人「これまでにね、大麻を購入したことがあるわけだから、その際は、どのくらいで購入していたんですか?」
被告人「まあ、そうですね。平均で3000円から4000円位だったと思います。」
弁護人「3000円から4000円というのは、1グラムに置き換えてですか?」
被告人「はい。」
弁護人「今回は合計380グラムを152万円で購入したということなので、1グラム4000円で購入したことになりますね?」
被告人「はい。」
弁護人「そうなるとすると、仮に売って利益を出すとなると1グラム4000円以上で売らなければならないということになりますか?」
被告人「はい。」
弁護人「1グラム4000円以上というのは、あなたとしては高いと感じますか?」
被告人「はい。」
弁護人「あなたにとっては、なかなか手が伸びないというか、買いづらいという金額になりますね?」
被告人「はい。そうですね。はい。」
弁護人「甲4号証という、事前にあなたに確認を取っていますが、甲4号証の写真番号183、184、および266。示したほうが良いですか?」
裁判官「甲4の、もう一度番号を教えてください。」
弁護人「183、184、266番です。」
裁判官「携帯電話の」
弁護人「あっ、そこの」
裁判官「メモですね。はい。どうぞ。」

弁護人「それからもう1つ甲4号証の写真190、192、320を示します。まず写真番号320のものですが、これは、あなたが書いたものですか?」
被告人「いえ、これは祖母が書いたものです。」
弁護人「そうすると、あなたが書いたものではないということですかね?」
被告人「はい。」
弁護人「写真番号190および192のメモですが、これは、あなたが書いたものですか?」
被告人「はい。私が書いたものです。」
弁護人「この190、192のメモですけれども、これは、どのような目的で、あなたは作成したのですか?」
被告人「はい。平成27年8月くらいに、私の携帯の履歴の中から、薬物で捜査をされるという人が何人か出てきて、それで、その話を聞いて、電話を持っていたらいけないんじゃないかと思ってしまい、必要の友人やら親戚やら、仕事の関係の人やらの番号をメモに取って、そのメモだけ持ち歩くようになりました。」

弁護人
「携帯電話を持ち歩かないようにしたっていうことなんだけれども、あなたの供述調書見ても書いてあることなんだけれども、GPS機能とかで、あなたの居場所がわかったりとか、誰と一緒にいるかがわかったりだとか、そういう心配をしたから持ち歩かなかったということで良いですか?」

被告人
「そうです。」
弁護人「今あなたが、おっしゃったんだけど、あなたとの通話履歴を元にして逮捕された人がいるということなんですよね?」
被告人「はい。そうです。」
弁護人「それは何で知ったんですか?」
被告人「その逮捕された人の周りの人間が、僕に注意というか、大丈夫というか、関係しているの? っていう形で、僕が聞かれまして。」
弁護人「今見ていただいた写真番号190、192の中には、前科があるというかたもいるようなんですけれども、それは何か理由はありますか?」
被告人「それは、あの、まあ、小さい頃からヤンチャしていた頃の、そういう友達が多かったりするので、そういうのが原因なのかななんて思っています。」
弁護人「あなた若い頃、暴走族にも入っていたということなんですよね?」
被告人「はい。そうです。」
弁護人「その頃からの友人が多くいるからではないか。ということでいいですか?」
被告人「そうです。はい。」
弁護人「その人達、その人達っていうのは写真番号190とか192に書かれている番号の方々なんですけれども、その方々が前科があるんだなんてことは知っていましたか?」
被告人「まあ、はっきりとではないですが、なんとなくは、はい、あの、はい、知っていました。はい。」
弁護人「詳しくは知らないということですか?」
被告人「詳しくは知りません。はい。」
弁護人「あなたの大麻の方の使用歴について、ちょっと聞きますが、初めて大麻を使用したのは19歳の頃ということで良いですか?」
被告人「はい。そうです。」
弁護人「で、それから、これまで、ずっと使用していたということなんですか?」
被告人「いえ。あの、その、実家が上野に引っ越したりして、23歳から26歳まで実家に住んでいたりした時があったんですけれど、そういう時は、ほとんど吸いませんでした。あと断続的にというわけではなく、はい。そうですね。はい。そういう吸わない時期もありました。はい。」
弁護人「私の認識だと、19歳の頃からずっと使っていたとなると、毎日毎日大麻を使っていたように聞こえるんですけれども、そういうことなんでしょうか?」
被告人「いえ。聞かれたことに対して、平均的なもので質問には答えています。」
弁護人「質問には、というのは、警察とか刑事さんとか、そういうことですね?」
被告人「はい。そうです。はい。」
弁護人「あなたの供述調書を見ると、週に3回から4回くらい吸うと書いてあるんだけど、そうではないってことですか?」
被告人「持っている時はそれ位吸ったりするということですね。はい。」
弁護人「大麻は持っていないこともあるんですか?」
被告人「もちろんです。はい。」
弁護人「まあ、その時にもよるかもしれないけど、1年の期間のうち、どの位の期間、あなたはどれ位大麻を持っているんですか?」
被告人「まあ、半年も持てないです。」
弁護人「半年も持っていない時は、何故持っていないんですか?」
被告人「年がら年中美味しい大麻があるわけではないですので、そういうことからだと思います。」
弁護人「お金的にも限度があるということですかね?」
被告人「そうです、そうです。はい。そうです。そのとおりです。」
弁護人「いま美味しいものとは、良いものってことなんでしょうけど、そういう良いものとかっていうのは、なかなか買えないものなんですか?」
被告人「はい。もちろんです。」
弁護人「逆に簡単に手に入るというか、簡単に手に入るかもわからないんだけれども、簡単により手に入りやすい、美味しくないけれども。そういったものじゃダメなんですか?」
被告人「はい。何でも良いというわけではありません。」
弁護人「っていうことはね、せっかく良いものが買えたという感覚なんですよね?」
被告人「はい。そうです。この件では。はい。」
弁護人「そうすると、その大麻というのは、他の人に手放したくないという気持ちは強いですか?」
被告人「もちろんです。あの…はい、あの、はい。そうですね。お金を出して買っているものなので、それで、好きで、また買っているものなので、はい、大事に、大事に吸いたいという気持ちがあります。はい。」
弁護人「また、なかなか買えないとなると、なくなっちゃうと、また吸えないわけですよね?」
被告人「はい。そうです。」
弁護人「そうすると残りどれ位あるんだろうとかね、そういう不安というのもあるんですか?」
被告人「もちろんあります。はい。そのため、はい、そうですね。多く買ってしまうことになったり、そのお金に対してすごくあの、細かく几帳面になってしまったりとか、そういうことがあったと思います。」
弁護人「でまあ、そうやって買った物を大切に保管したいとか、残りがどれ位あるかキチッと把握しておきたいとか、そういったことから、あなたは真空パックして、小分けにして、持っていたということなんですね?」
被告人「はい。」
弁護人「これ、真空パックにしておかないとダメになっちゃうもんなんですか? あなたの経験上ちょっと教えてもらえますか?」
被告人「あの、私は過去にあのその、長い間、大麻との、あのその、付かず離れずの関係の、あっ、あの中で、…買ったけど、せっかく美味しくて買ったけど、お金を出して買ったけど、次の日保存をしなかったせいで、保存をしっかりしなかったということで、やはり、次の日には腐らせてしまったりですとか、次の日にカビだらけになってしまったりという、もう、買った次の日に処分するということも、そういうこともたまにありました。」
弁護人「何万円も出して買ったものが、次の日ダメになっちゃったってことがあるってことですね?」
被告人「そうですね。そういうことがあった時は、はい、さすがに、はい、吸えませんでした。」
弁護人「今回のね、逮捕の前で、あなたが最後に吸ったのはいつですか?」
被告人「そうですね。前日ですね。はい。吸いました。」
弁護人「あなたの尿の鑑定書を見るとね、大麻の代謝物は出なかったという結果になっているみたいなんだけれども、それに何か心当たりはありますか?」
被告人「その週は、とにかく福岡の方に知人の出産という事で福岡に行ったり、まあ何にしても、その週は、とにかく飲む機会の方がすごく多くて、逮捕される前日も、その2日酔いで、夜までずっと2日酔いで、そうですね、その中で、吸いかけのその大麻を吸ったんですけど、焦げだったのか、吸いかけのシケモクだったのか、もしかしたらそういうのが原因かもしれませんし、あと飲み過ぎて吐いたりとかもしましたし、トイレにも何回も行きましたし、そういうのが原因なのかなと思ったりもします。」
弁護人「鑑定の結果はともかくとして、間違いなく、あなたの方で使用はしたということですよね? 前日に。」
被告人「はい。そうです。」
弁護人「使用歴を聞いているとね、使用していた時期があったりなかったり、持っていたり持っていなかったりするみたいで、ムラがあるみたいなんですが、これまでに一番使用してきた時期は、あえて言うなら、どの辺りだとあなたは思っていますか?」
被告人「あの、ここ10年位です。」
弁護人「その10年くらいで大麻をやっちゃってた、特にやっちゃってたというのは、何か原因というのは考えられますか?」
被告人「普段から、あの、その、リラックスしたり、音楽聞いたりしながら吸っていたんですけど、今回その大阪府立神経医療研究センターで、1時間位診察を受けたんですけども、もしかしたら母の死が原因なんじゃないかと言われちゃって、もしかしたらそうなのかなあなんて思ったりするところもありました。」
弁護人「今おっしゃられた大阪府立神経医療研究センターというのは、今回の逮捕をきっかけに、あなたが保釈後通っている病院ですよね?」
被告人「はい。そうです。はい。」
弁護人「お母様が平成16年に亡くなられたということですよね?」
被告人「はい。」
弁護人「これ、お亡くなりになった原因は何でしたか?」
被告人「もう、その僕が小さい頃から、母は、薬を1日30錠以上飲むんですよ。朝昼晩と。あの、その薬の副作用というか、肝不全で、はい。亡くなりました。」
弁護人「薬という話が出ましたが、何の薬だったんですか?」
被告人「薬はハッキリとは全てはわからないんですが、まあ、精神的な薬であったり、痛み止めとかもあったと思うんですけれど、そういうのですね。はい。」
弁護人「お母さんは精神病とおっしゃっていましたけど、何か精神の病にかかられたというのは、いつ頃なんですか?」
被告人「事故の前後だと思います。はい。事故じゃない、あっ、事故か。事故があったんですけど。」
弁護人「事故の前後って交通事故っていうことですか?」
被告人「そうです。はい。」
弁護人「ちょっと質問変えて、あなたのお父さんはどうなっているんですか?今は?」
被告人「私の父は、まず、あの、私が2歳か3歳の時に、父と母は、あの別居して、父とは、その後、そうですね、ほとんど会っていません。」
弁護人「別居と言ったけれども、お父さんお母さんは離婚されたんだよね? お母さんは、それを原因に病気を患ったんではないんですか?」
被告人「…」
弁護人「まだ、あなた小さかったから全然わからなかったかもしれないけど、」
被告人「…だと思います。」
弁護人「で、お母さん、あの交通事故って話もあったんだけれども、交通事故っていうのは、どういうことだったんですか?」
被告人「…えーと、(涙声)離婚が原因で、だと思うんですけど、それで、あの、自ら、その、車に…(グスッ)、そうですね、飛び込んでしまって、その事故が、交通事故です。」
弁護人「その交通事故が原因で、お母さんは車イスの生活になっちゃったんですもんね。」
被告人「そうですね。小さい頃から、はい。母は車イスでした。」
弁護人「うん。まあそんなこともあって、おばあちゃんと、3人で一緒に暮らすということになったんですよね?」
被告人「…(涙で声が出ず、ただただ頷く。)」
弁護人「それで、お母さんが亡くなられた時、あなたは、どういう状況に陥りましたか?」
被告人「そうですね。その際は、10年前は、亡くなった時は、2、3日ずっと涙が止まりませんでした。」
弁護人「お母さんに、親孝行してあげようとか、そういうことは思っていたんですか?」
被告人「はい。そうですね、当時、祖母と、その事故で母が入院して、それで退院してきてから、祖母と母と私と3人で暮らすようになったんですけど、順番的には祖母が亡くなるんだろうなと思って、父もいないことですし、しっかりしなきゃ、あの、自分の家のことも、自分の仕事も、人間的にもしっかりしなきゃな。ということで、そうですね。祖母がいる間にと思って、全力でやっていたんですけれど、どうやら母も、体力がもたず…。」
弁護人「あなた音楽頑張っていたということだけれども、あの音楽ではそこそこ、メジャーと言って良いかわからないけど、っていうところまで行っているんですよね?」
被告人「はい。それで食べていた時期も随分ありました。」
弁護人「ところがお母さんいなくなっちゃって、ある意味、ちょっと糸が切れちゃったような精神状態になったと、お聞きしていいですか?」
被告人「そうですね。ここ10年間くらい、あの、振り返ると、地に足がついていなかったんじゃないかなと思うところもあります。」
弁護人「ところでね、今回あなたが所持していた大麻というのは、外国人のジョルジョっていう外国人から買ったということで、お話をしましたよね?」
被告人「はい。」
弁護人「特に連絡先は知らないということで、刑事さんや検察官にお話をされていたと思うんですけれども、何か訂正はありますか?」
被告人「今回起訴後に証拠開示ということで、2度にわたって証拠開示をしていただいたんですよ。それで、その2度目のところで、私の携帯の電話帳に載っかっているメモリー欄に、全て書類として拝見することができたんですけれど、その際に、もしかしたら消しちゃってたかなというジョルジョとの関係する、その出会った当時の頃の電話番号だったんですけど、それがガンジャマフィアということで表記というか、記載されていて、電話番号が載っていました。」
弁護人「今あなたが言った、任意開示を受けた資料。それが今回弁6号証として出している解析結果報告書ですね?」
被告人「はい。」
弁護人「これ、あなたに事前に確認してもらっているから、口頭で説明しますが、解析結果報告書の別紙2という書類のうちの、余白に9という文字が書いてあるページ、その一覧表の下から5段目に、ガンジャマフィアという記載がある。それが、あなたの言っているジョルジョの電話番号で間違いないということですね?」
被告人「はい。」
弁護人「あなたは削除してしまったかと思って気づかなかったっていうことですよね?」
被告人「はい。」
弁護人「このガンジャマフィアというふうに登録されているんですが、ジョルジョという外国人で、ガンジャマフィアと登録したんですか?」
被告人「そうですね。あの、それは、何ていうんでしょう、始めは、名前よりも先に電話番号を交換するっていう感じで、あだ名みたいな表記でつけたという感じで、そういう名前で登録させてもらいました。」
弁護人「ちょっと整理して聞きますけど、あなた随分前のことなので、覚えていないかもしれないですが、あの、一番初めにジョルジョに会った時に、名前をジョルジョから聞きましたか?」
被告人「まあ聞いたような聞いていないような感じですね。」
弁護人「とにかくガンジャマフィアというのは、あなたが付けた名前なんですね?」
被告人「そうですね。はい。」
弁護人「そうすると初めは、あなたは名前を聞かないで、あとからジョルジョっていう名前を聞いたんじゃないですか?」
被告人「そんなような感じだったと思います。」
弁護人「まあ、ちょっと記憶は曖昧だけれどもってことですね?」
被告人「そうですね。」
弁護人「じゃあ、間違いなく、これがジョルジョの携帯電話だと?」
被告人「はい。」
弁護人「この携帯電話は、あなたは電話したことはあるんですか?」
被告人「ほとんどないというか、ないと思います。私からは、はい。連絡したことはないと思います。」
弁護人「今回ね、前回の被告人質問もお聞きしたんですけれども、あなたは、自分自身大麻に依存性や親和性が高いということを自覚していますね?」
被告人「はい。」
弁護人「うん。今回の件を機に本気で大麻を断絶しようというふうに考えていますか?」
被告人「はい。もちろんです。」
弁護人「その決意を持って、大阪府立神経医療研究センターとか、南斗総合精神保健福祉センターとか、宮坂医院に通院する事になったということで良いですか?」
被告人「そうです。」
弁護人「それぞれの病院では、どういう治療を受けているのか簡単に教えていただけますか?」
被告人「大阪府立神経医療研究センターでは、まず、すごく遠い場所だったんですけれど、府立ということで、信頼を持って、そこでは診察を受けました。1時間半くらい診察を受けました。そこで、遠いでしょうということもあり、先生は、薬物依存に対しては、集団カウンセリング、集団セッション、その勉強会みたいなのが、私が住んでいる中央区にあるので、受けてみてはどうか? とそういうことと、その、家の近くに、昔母が通っていた事がある宮坂医院というところに精神科があるので、そこで診療を受けてみたらどうだ? ということで、集団セッションと宮坂医院の方で治療と通院をさせてもらって、少ないんですけれど、処方箋も出していただいています。」
弁護人「集団セッションを行っているのが、南斗総合精神保健福祉センターという事ですね?」
被告人「はい。」
弁護人「今どれ位通っていますか?」
被告人「まだ2回です。」
弁護人「週に何回あるんですか?」
被告人「週1回です。」
弁護人「通い始めてからは毎週行っていますね?」
被告人「もちろんです。はい。」
弁護人「今後も継続しますね。」
被告人「できる事なら継続します。」
弁護人「できる事ならなんですか? 行くんですか? 行かないんですか? どうなんですか?」
被告人「行きたいです。」
弁護人「行きたいのか? 行くのか?」
被告人「行くつもりでいます。」
弁護人「行くつもりなのか? 行くのか?」
被告人「あっ、行きます!はい。」
弁護人「今ね、宮坂医院にお母さん通院していたということなんだけれども、そうすると余計そこに通院するというのは気持ち的に辛いんじゃないですか?」
被告人「はい。」
弁護人「うん。それでも通院しようと思ったのはね、お母さんのためにも本気で大麻をやめようというふうに考えたと聞いて良いですか?」
被告人「母のためでもあるんですけど、会社を紹介してくれた新谷やら、会社の社長やら、あの支えてくれる叔父さんやら、はい、自分自身のこれからのためにも、はい、そうですね、しっかり通いたいと思いました。」
弁護人「今日来てくださった宮本社長もね、あなたがもし懲役に行ったり、また逮捕されたりとかしたら、当然迷惑かけますよね?」
被告人「はい。」
弁護人「柿田さんもこうやって来てくれて、わざわざお話してくださった、そういう事をね、皆さんに迷惑をかけたことについて、あなたは、どういうふうに感じていますか?」
被告人「大変申し訳なく思っております。」
弁護人「あなたには、前科のある友人もいるみたいだけど、今後そういう人とのお付き合いどうします?」
被告人「もちろん断ちます。」
弁護人「でね、今お母さんいらっしゃらないけどね、今のあなたを見たら、どういうふうに思うと思いますか?」
被告人「いや、もう、情けないというか。はい。」
弁護人「今回の件を通じて、十分反省していますね?」
被告人「はい。」
弁護人「うん。以後薬物に関わらず、2度と犯罪を行わないと誓うことはできますか?」
被告人「はい。誓います。その気持ちでいっぱいです。」
弁護人「ちょっと時間がたくさんかかっちゃいましたけど、最後に裁判官と警察官とかね、その他の方々にね、何かあれば手短にお願いします。」
被告人「はい。本当にあの、ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません。周りで支えてくれる人に対して心配かけてしまって、本当に申し訳ないなと、いい歳なのに本当にバカだったなと思います。あと、亡くなった母にもそうなんですけど、父にもそうですし、祖母や、祖父やら、みんないなくなってしまったんですけど、ここ10年で。やり直す、こういうことをしないということは誓いたいですし、はい。誓います。」
弁護人「最後といってアレですけど、一点だけ、お母さんの話も出て、おばあちゃんの話も出たんだけども、あなたのお母さんとか、おばあちゃんとか、迷惑かけた人と、みなさんにですけど、その人たちに誓って、あなた本当に売る目的で持っていなかったと誓えます?」
被告人「はい。誓います。」
弁護人「以上です。」

裁判官「では検察官、反対尋問をどうぞ。」

検察官「検察官から何点か聞きます。」
被告人「はい。」
検察官「先ほど、あなたは、大麻と初めて関わりを持ったのは19歳の頃でしたよね?」
被告人「はい。そうです。」
検察官「きっかけは何だったんですか?」
被告人「きっかけは、興味半分というか、そうですね。興味半分ですね。」
検察官「例えば友人が使っていたとか」
被告人「はい。そうです。はい。」
検察官「先ほど大麻について、美味しいという表現を使いましたけど、」
被告人「はい。」
検察官「それは具体的にどういう意味ですか?」
被告人「えーと、えーと、何て言うか、お酒と一緒で、その、まず香りだとか、その、香り、その香りの奥行き、香りの芳醇さ、鼻から抜ける感じですとか、まあ、その、何というか、香りの濃厚具合だとかもそうなんですけど、あと、口をつけた時の甘みだとか、煙の味ですとか、乾燥具合や熟成度、エフェクト、そういうのも含めて全てなんですけど、その、大麻に関しては、その、そうですね、香り、見た目だとか、その色々口当たりだとか、その、口当たりから喉越し、そして、身体に対する反応ですとか、そういうのが、その、上がったり下がったりもそうなんですけど、そういうものを含めて美味しいということです。はい。」
検察官「ここ10年くらいは、大麻との関わりが強いという話でしたね?」
被告人「はい。そうです。はい。」
検察官「さきほど証人出廷していただいた叔父さんの柿田さんとは、この10年間の間、当然顔を合わせることも、あったんじゃないですか?」
被告人「結局僕が家だったり、クラブだったり、吸っている時が音楽をやっているクラブが多いんで、そんなに、結構、またそこは、場所が違うのかなというか、はい。」
検察官「場所が違うというのは?」
被告人「吸っている場所とか、時間帯が違うということです。はい。」
検察官「あなたが例えば使っていたり、持っていたりすることを、柿田さんには見つからなかったんですか?」
被告人「まあ、基本けっこう自分でコツコツ楽しむというか。はい。そういう願望が強かったので、はい。周りの人にどうこうとか、叔父さんにどうこうっていう、そうですね、そういう周りの人のことは考えていなかったですね。はい。」
検察官「あなたの友人関係で、大麻が好きな人や、大麻を使ったりする人というのは、どの程度いるんですか?」
被告人「10人いたりいなかったり、しっかり、把握をしているわけでもないし、そういうことをみんなと事細かく話したりするわけではないんで、まあちょいちょいいたと思います。はい。それと、普通の人よりかは周りにはいたんじゃないかと思います。」
検察官「あなたの知っている範囲で名前を言うことはできますか?」
被告人「まあ、名前を言うとか、何とも今現在やっているかどうかわからないですし、また、その、そうですね、何とも言いようがありません、それに関しては。」
検察官「私からは以上です。」

裁判官「弁護人、何かありますか?」
弁護人「結構です。」
裁判官「では裁判所からも聞きますね。」
被告人「はい。」
裁判官「今現在、通院されているということで、領収書も出ているんですけど、時間とか行く日とか決まっているわけではないんですか?」
被告人「集団セッションの方は毎週木曜日なんですけど、通院の方は、その都度決めているんですけど、次は5月23日に通院することが決まっています。はい。」
裁判官「大体月に1回位行くんですかね?」
被告人「はい。それ位で診ていきたいねという話をしてくれました。」
裁判官「今回病院に薬物の関係で行くのは今回初めてですか?」
被告人「はい。初めてです。」
裁判官「行ってみて、どんな感想でした?」
被告人「えーと、もう1回位から全くまだ、その集団セッションの方なんかは、そうですね、まだ2回なんですけど、1回1回、もう全然自分が知らない気づかないことで、誤解していたんだなということに気づいたりだとか、その生活のリズム、その、そうですね、食生活、そういうのが、また、そういう、依存に繋がっていたり、そういう生活を乱すじゃないですけど、そういう方向になっていくのって、こういうところがそうなんだなっていう、何かもう毎回が勉強で、はい、あの、やっぱり、あの、ただ単にそういうセッションとかしているんじゃなくて、それなりの理由を持って、もちろんなんですけど、そういうところがあるんだなというのを毎回思い知らされています。はい。もう1つの診療のほうは、自分の生活や生い立ちが、依存だとかそういう薬物に対しては、そういうのに関係してきたり、するとは思っていなかったんですけど、先生にそう言われたり、そうやって先生と話をしていく中で、そういうのあるのかなあなんて思ったりも感じました。はい。」
裁判官「保釈されてから就職したということでいいですかね?」
被告人「そうですね。新谷のほうに相談して、ウチに来いよと言ってくれて。はい。」
裁判官「で、会社のほうでは、集団セッションや診察に行くことについては、優先して良いと、了解されているんですか?」
被告人「新谷と、もう1人親方の南平さんというのがいるんですけど、その直接社長には、何曜日にどういうことがあるということを話してはいないんですけども、あっ、もしかしたら、みんなで話してくれているかもしれないですけれども、親方である新谷と、南平さんというかたには、内容というか、事情は説明してあります。はい。」
裁判官「確認ですけども、最初の人定質問の時には音楽業って言っていたんですけども、そうすると今回は、お仕事は何になるんですかね?」
被告人「僕は解体業、解体工というか、はい。」
裁判官「まだ正社員ではない?」
被告人「はい。まだ正社員ではないです。」
裁判官「試用期間ですか? のちほど正式に雇われるんですか?」
被告人「そういう細かいところまでは、まだ話していないですけど、まだ正味1ヶ月位なんで、働いて。はい。」
裁判官「はい。じゃあ解体業ということで。」
被告人「はい。解体業ということで。はい。すみません。」
裁判官「では終わりましたので、一旦元の席に戻ってください。」
被告人「はい。」
裁判官「はい。では本日はここまでで、これらを踏まえて論告弁論を次回行うということになりますが、双方、準備期間どの程度必要ですか?」
検察官「そうですね、1週間位は。」
裁判官「弁護人はいかがですか?」
弁護人「はい。1週間あれば問題ありません。」
裁判官「では次回期日ですが、5月18日(木)16:10いかがでしょうか?」
弁護人「お受けできます。」
裁判官「検察官もよろしいですかね?」
検察官「はい。」
裁判官「では次回期日ですが5月18日(木)16:10、この法廷で手続きを行いますので、必ず出廷してください。」
被告人「はい。」
裁判官「では本日は以上です。」

2017年5月18日(木)16:10

前の無免許運転の裁判が20分程長引いてしまい、16:30頃開廷。

裁判官「はい。お待たせして申し訳ありません。それでは開廷いたします。論告弁論の手続きになりますので、検察官、論告をお願いします。」

弁護人
「その前に1点だけ、追加で証拠を請求させていただきます。弁7号証ですが、書籍であり、「大麻大百科」という書籍になります。立証の趣旨は、乾燥大麻の保存方法について、密閉し、小さい袋等に保存するべきであるむねの記載がある事実になります。弁8号証としましても、合成カンナビノイド簡易検出キットと題するパンフレットになります。立証趣旨は、ワンステップTHC簡易キットとされている事実です。以上です。」

裁判官「弁護人の立証趣旨について、検察官のご意見は?」
検察官「全部同意いたします。」
裁判官「弁護人の請求証拠について採用いたします。内容は立証趣旨のとおりですかね?」
弁護人「はい、そのままで結構ですよ。原本のほうをお持ちしましたが、書籍のほう1点、提出しましょうか?」
検察官「(笑)」
裁判官「(笑)いいです。では立証は以上でよろしいでしょうか?」
弁護人「はい。」
検察官「(うなずく)」

裁判官「では論告弁論の手続きをいたします。検察官お願いします。」



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