[2024年ボカクラ?版] DJ始めてみた
はじめまして。そのやまよーくと申します。
今年になってDJやりたくなって急に始めてしまったのですが、その中で感じたことや躓いたこと、これは誰かの役に立ちそうだと感じたことを残しておこうと思い、筆をとりました。
[2024/02] なれそめと私のこと
当方、一般中年男性。義務教育以外での音楽経験なし。好きなコンポーザーは伊藤賢治。俺君、何でボカクラでDJを……?
2024年2月、私は前年の5月にKotonoha Night Party 2でクラブイベントの産湯につかってからというもの、Virtual Voice Harmonyなどに通ってボカクラ(と一言にいうには傍流かも)の味をしめつつありました。
2月末に知り合いのボカクラDJに戯れに概念セットリストと称して、プレイリストを投げつけたのが全ての始まりでした。
そいつが上手いこと私をおだてて44,000円のPCDJコントローラーであるDDJ-FLX4を買わせ、あれよあれよと5月頭に彼が主催するイベントのレギュラーに祭り上げられ、私のファーストステップが始まりました。
今考えたら、私もクレイジーではあったけど、彼は私の数倍狂っていたな……。感謝感謝。
[2024/03-04] 何をしたらいいんだ
冷静になると本番まで2か月しかない。
そして、私はずぶの素人でした。信じられるか?拍と小節の概念すら知らなかったんだぜ?
幸いにもやりたいセットリストは山ほど思いついたので、それを片っ端から組んで繋げて聴いてを繰り返しました。
自分一人で技術的にやりきる自信もなかったので別のDJに指南をお願いしたり、秋葉原雷神というクラブハウスで毎週月曜日に開催される練習イベントに足を運んで実機(DJM-A9+CDJ-3000x2!!!)に触れたり、普段よりクラブイベントに行く機会を多くしたり。
当時私が気にしていたポイント
楽曲の拡張子をmp3かwav、ビットレートは320bps以上に統一する
イヤホンの変換プラグは予備を持つ
楽曲を入れたUSBメディアは複数本持つ
急にBPMを上げたり下げたりしない
ロングミックス時は±5%以下の変化にとどめる
個人的に一曲当たりの変化を押さえたかったので、両方の楽曲のBPMを上げ下げした
大きく変化させる場合はLOOPやFXを挟んで流れを一度破壊する
ロングミックス時
繋ぐ楽曲のLOWを切って、EQを入れ替えることでキックのぶつかりを低減する
ですが、私の素人っぷりは想像以上で、スタートラインが普通の人のはるか後ろ側にあることに気づくにはもう少しかかりました。
[2024/05] 初現場爆死
5月頭、私の初現場が訪れました。
結果から言うと、2か月で仕上げたにしては上出来だが、決してまだ表には出られないレベル感だった、という感想でした。
そのイベントでの最大の失敗は、憧れだった先輩DJとの転換時にめちゃくちゃ雑な渡し方をしてしまったこと。よりにもよって、自分も相手も大好きな曲で。(社会性フィルター)(BEEP音)。
終わった後に様々な助言を受けたものの、その時の私にはそれを生かすことのできる心の余裕がありませんでした。それまで教わっていた方にも合わす顔がありません。自分には心底才能がないものと思いました。ううっ、ウジ虫だ!地球上で最下等の生命体だ!
私は意気消沈し、それからひと月の間、地下(別ジャンル)に潜ります。
[2024/06-07] 微復活
6月頭、重い脚を引きずってVirtual Voice Harmony Vol.4を観覧し、合成音声ジャンルの同人誌即売会に出たりして、ちょっとモチベーションが回復しました。
そこから、5月に受けた助言をもとに少しずつ基礎を詰めました。
自己分析
5月の自分の手番の録画を見て、自分の失敗の傾向や上手く出来ていない部分を、5月に頂いた助言と照らし合わせて確認しました。
リズム感の欠如
楽曲に対して身体のノリが半拍以上ズレていた
繋ぎの手札の少なさ
綺麗にロングミックスで繋げることに拘り過ぎていた
他はECHO/REVERB掛けて音を抜くくらいしかなかった
とはいえ、違和感のないカットインは難しい
この時点では無理だったと思う
繋げる楽曲の音量バランスへの無頓着
ロングミックス時に音量バランスを考慮しない機械的なフェーダーの上げ下げをしていた
CUE打ちのルールが一貫していない
楽曲の音の質を分析できていない
繋げる楽曲の相性などを考慮できておらず、ガンガン不協和音鳴らしたり、違う種類のキックをぶつけた
BEAT FXの切り忘れが多い
文脈・物語に拘り過ぎている
物語的なつながりに重きを置きすぎて、楽曲のつながりが音楽的に気持ちよくない。死
音楽として気持ちよくないとそもそも聞いてもらえない。理解以前
対策
分析に対する対策として以下を実施しました。特に効果があった部分は太字にしました。練習に関しては後程。
太鼓の達人のモバイル版を遊ぶ
極端にリズム感が悪いことが分かっていたので、おススメされていた音ゲーをしばらく遊びました
音楽ライブラリの曲数を増やす
DJを始めた当初に私のライブラリにあった曲数は300曲
この数では手札が少なすぎて何もできないし音楽的に無理が出る
クラブイベントに行く回数を増やす
DJプレイのリファレンスを作る
良いもののストックを増やす
目指したいスタイルを考える
クラブイベントへの慣れを深める
ボカクラ以外も行きました
顔を売る
楽曲のCUE打ちのルールを明確に定める
あくまで私のやり方です
MEMORY CUEのルール
楽曲の特徴的な位置を記録する
セットリスト間で再利用する
歌もの
イントロ-1番くらいまでは細かめに打つ、2番、ラスサビあたりは間奏くらいしか打たず、CUEを節約する
あくまで曲の展開ベースで打つ(歌の切れ目ベースでは打たない)
インスト
全ての特徴に打ってるときりがないので節約する
曲の展開に大きな動きがあって使いやすそうな位置に打つ
HOT CUEのルール
直近のセットリストで使用する位置を記録する
セットリスト間で再利用しない(流用することはある)
基本的にABCしか使わなくていいようにする
HOT CUEの数が少ない機材向けの工夫
Aは掛け始め、Bは次の曲とのつなぎ目
BにLOOPを仕込むこともよくある
Cはジャンプ用
D-Gは印や追加のLOOP用
LOOPは練習機材上で分かりやすいのでFを使うことが多い
練習
ここまでを踏まえて、以下の練習を行いました。
練習法
新しくセットリストを構築して演奏する
MIXを取って何度も聞く
少しでも違和感があるところを限界まで修正する
気にしたポイント
フェーダーの上げ下げするタイミングを言語化した
音量バランスを考慮したうえで、音量の段差が生じず、スムーズな移行ができるような反復練習を行った
BEAT FXをいろいろ使った
使えているFXの数が少なかったので、片っ端からFXを使って、どんな音が生まれるのかを確認した
ループを使用し、繋ぐ部分の小節数を一致させた
本来は間奏の長さが違って繋げない曲も繋げられるようになった
HOT CUE LOOPをあらかじめ設定することを覚えた
カットインを使えるようにした
音の違和感がない場所で、音量バランスを整えて、カットインで瞬時に曲を切り替えることを重点的に練習した
ロングミックス時にキックの種類の違いを意識した
EDMやHouseなどの四つ打ち系はキックの種類がそんなに違わないが、バンドサウンドのキックは千差万別
キックがほぼ同じ:縦フェーダーのみ
キックの差異が小さい:EQを併用
キックの差異が大きい:SWEEPかFILTERを併用
繋ぐタイミングで曲の展開を合わせた
同じような展開が来る場所で繋ぐと違和感のない繋ぎができる
recordboxの楽曲のキー表示機能を活用する
楽曲の相性対策の一つとして
セットリスト全体で見たときの流れを意識した
流れを切ること
ずっと同じ流れを続けると飽きるので味変がいる
BPM変化、カットイン、バックスピン、etc……
曲の与える雰囲気を意識した
曲の雰囲気に統一性があるか
曲の雰囲気を変える場合、その変化は適切か?
[2024/08] 2度目の現場
そうこうしている間にうっかり2度目の現場が生えてきました。
私は5月のリベンジに燃えて、1本のセットリストを10度以上聞き直して詰めたりしました。
それで満足できず、前回の現場で頻発したBEAT FXの切り忘れの対策として、なるべく現場機材に近い環境での練習を積みたいと考えました。
そこで一念発起し、DDJ-800を購入しました。DDJ-800のミキサー部はDJM-900NXS2のレイアウトを継承しており、CFXやBEAT FXなどの配置が当時使っていたDDJ-FLX4より現場機材のレイアウトに近かったからです。
(誰にも相談せずに急にやったのでちょっと心配されました)
こんな感じで練習レベルとしてはいろいろなことをやったのですが、仕事が忙しくなかなか現場機材を触れていないことへの恐れは拭えませんでした。
そんな時に、新興のボカロ系ナイトクラブであるボカブキさんに飛び込みで出演させていただくことができました。クラブイベントに行くときは、とりあえずUSBメディアとヘッドフォンを鞄に入れておくと良いことがありますね。
ボカブキさんの機材構成は次の現場での機材構成に非常に似ており、カンを取り戻すのにかなり助けになりました。
また、現場の客層に応じたセットリストの選曲や、アドリブの重要性も深く感じました。これは今だに出来ているとはいいがたいので、今後の課題としています。
現在、ボカブキさんは毎週のように精力的にイベントを開催しており、今後都内ボカクラにおける台風の目になっていくのではないかと思います。すでに現時点でイベントに出演されているDJがマジでえぐいです。オールナイトイベントになるのが難しい点ですが、ご興味があればどうかよろしくお願いいたします。twitchの配信もありますよ!
そうこうしている間にやってきました、2回目の現場。
今回はミスこそあれど、フロアのトリを務めるという大役を無事にこなすことができたと思いました。お客さんからショットやシャンパンも頂けたのもありますが、なにより自分の満足感の高いプレイができました。
図太さが大事
楽曲をミスで止めてしまってもしれっとかけ直す
FXの切り忘れに気づいても間奏で切り替えて予定通りという顔をする
ミスでさえもショーになる
その時に気の利いた一言を言えればなおよい
お客さんからのお酒を飲むのは手が空くまで待ってもらってもよい
曲が被っても「俺が一番上手く掛けられる」の精神
DJ中は「フロアという世界の中心」になる
[2024/09-] 再出発、今に至る
それから先は目立った動向もなく、平和に練習したりクラブイベントに遊びに行ったりしています。その中で個人的にいろいろと感じたことや、楽しかったクラブイベントをぱらぱらと語っていきます。
急に耳が良くなった
9月頭くらいから、急に聞いている楽曲の性質を耳で理解できるようになってきたと感じました
HI/MID/LOWの音量バランス
音数や音の粗密
メロディラインの複雑さ
キックの種類、キックのメインの音がHI/MID/LOWのどの辺か
自分の音楽の趣味がはっきりしてきた
元々ロックやパンクを聞いていたこともあり、バンドサウンドが好き
BPM170-190あたりのHardcoreも結構好き
発見
同時に鳴っている音数があまり多くない、整理されてる曲が好き
HouseやTrance(特にUplifting Trance)も好き
元々HouseはDAISHI DANCEだけ聴いていたので、傾向はあったかもしれない
特にDeep HouseとかPiano Houseが好き
recordboxのキー解析が全然あてにならないことに気づいた
マッシュアップをするために楽曲を同時に掛けたときに、解析されたキーが完全に一致してるのに不協和音が鳴ったのがきっかけ
最近の楽曲は転調も多い
そもそも、近親調でスケール間での音はある程度共通している
楽曲内でスケール内のすべての音を使用するわけでもないので、曖昧性が絶対に生じる
正確な楽曲のキーを機械的に解析するのは困難なのではないか?
自分の耳しか頼れるものはないという結論が出た
アドリブのためにセルフB2Bを練習に取り入れ始めた
アドリブでセットリストを組み替えることの重要性が分かった
これまではセットリストを用意し、楽曲の相性を聴き込むことによって感覚を鍛えていたが、それだけだと限界を感じた
やっぱりイベントで他のDJとB2B出来るようになりたい!
Melodic Mosaic Vol.1 に行きました
下北沢CREAMという素敵なクラブハウスを知ることができた
フードのロコモコがとても美味しかった
まさにモザイクというのにふさわしい何でもありイベント
とにかく音が良ければ何でも許された
40分間知らないDnBで踊り続けて脚が死にました
Virtual Voice Harmony Vol.5 に行きました
私の運命を変えたイベントはまだまだ未来にありました
合成音声以外も好きだけど、合成音声もちゃんと好きなんだなという気持ちを確認しました
Dig+ Coffee Works に行きました
秋葉原MOGRAに初めて行きました
サブカル系DJの一つの目標になるような、すごい箱だと聞いてはいました
イベント会場で手引きコーヒーを入れてくれる素敵イベントでした。
イベントの楽曲傾向としてはBPM低めのチルい感じ
私の普段聴かないラインにも好みがあるのでは、と気づくきっかけになりました
戦利品ナイト に行きました
私にDJの基礎を教えてくださった方が出演されるので、それ目当てで行きました
このイベントから得たものは大変多かったです
自分がやりたい楽曲のラインが分かった
DJとして目指すべきイベントが明確になった
ラウンジで流れていたHouseとTranceがめちゃくちゃ良かった
素敵なHardcoreの同人CDを山ほど知れた
屋根裏集会 #00 に出演しました
MIX事前提出型の配信イベントに出演させていただきました
レギュレーションが自由だったので、好き勝手やらせてもらいました
再現MIXは こんな感じ
Fragments Junction Vol.3に行きました
戦利品ナイトでHouseの味をしめたのもあり、Houseのクラブイベントに来ました
Another Dimensionのドリンクは本当に美味しい
特にリンゴサワー、レモンサワー
オールナイトイベントでしたが、ゆるやかに一晩過ごしました
BPM120付近めっちゃ好きかもという確信を持ちました
快遊 Vol.6 に行きました
引き続きHouseメインのイベント
合成音声の曲は流れないし、掛かる曲は数曲知っていたか否かくらいだったけれども、そんなのは全く関係がなかった
とにかく音楽として良ければ踊れる、盛り上がれる
DTMを始めました
元々DJになるきっかけになったのは、CeVIO AIの「双葉湊音」というソフトウエアシンガー音源
この音源でDJをやりたいというのが最初の願い
マイナーでかつ、ダンスミュージックが少ない
やはり欲しいものは欲しい人が作るしかない
ここまで長文を読んでくださり、ありがとうございました。
これからも精進してまいりますし、たまには研鑽の結果を何らかの形でアウトプットしていけたらな、と思っております。
機会がありましたら、またよろしくお願いします。