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【ライブメモ】tacica猪狩翔一『新代田で “もうひとつのブラックホール” 』 at 2023.11.23

新代田で “もうひとつのブラックホール”
猪狩翔一(tacica)/ 森田くみこ
2023年11月23日(木・祝)@新代田crossing(配信有)
17時半開場/18時開演


セットリスト

01. CAFFEINE珈琲涅(tacica 2012年miniAL『jibun』)
02. ディスコード(tacica 2023年miniAL『YUGE』)
03. ネバーランド ※僕が今日の日を忘れなくても〜
04. 荒野を行く(tacica 2023年miniAL『YUGE』)
05. リアカー(原曲:PERIDOTS
06. LEO(tacica 2014年Sg)
07. 物云わぬ物怪 ※もう瀕死の太陽からあと何を貰おうと〜

en1. 明かりのない街(原曲:森田くみこ)with 森田さん
en2. ダンス(tacica 2022年AL『singularity』)with 森田さん piano only

猪狩さんは後攻。18:58〜19:42。
アンコールで森田さんと共演して、終演は20:17。

会場のことなど

小春日和であたたかい日だったけど、夜になるとぐっと気温は下がった。

開場時間5分前くらいにスタッフさんが出てきて整列。入場すると物販コーナーに、すでになるやんさんと猪狩さんが座っていて、びびる。

今回の公演を記念して、下北沢にあるこはぜ珈琲とコラボした特製ブレンド「ブラックホールブレンド」が販売された。サイン入りパッケージはこはぜ珈琲店頭のみの限定販売。特製ブレンド自体はオンラインでも買えるようになるらしい。新代田crossingでは、アイスコーヒーとコーヒーハイも提供された。

ブラックホールブレンドのアイスコーヒー。苦味がガツン

猪狩さんもMCで言っていたけど、ブラックホールというだけあってどっしりとした苦味のあるブレンド。一般的にアイスコーヒーだと酸味のあるものが選ばれがちだけど、それとは真逆をいく感じ。ブラックでも全然大好きだけど、ミルク入れて割って飲んでもおいしそう。

サイン入りブレンド。こはぜ珈琲店頭で購入
猪狩さんも森田さんもゴリゴリに苦いのが好きなので、「それじゃあブラックホールにしよう」ってことでこのブレンドができたとのこと。

感想など

猪狩さんはニールヤングのネイビーのスエット、デニム、アディダスにメガネ。ステージに上がったときは、G-SHOCKや物云わぬ物怪のサコッシュなどを身にまとっていた。
水とカフェラテのペットボトル、グラス+ストローでコラボアイスコーヒーを飲んでいた。

今宵もスタンディング歌唱。

一曲目はCAFFEINE珈琲涅。「前回、近藤さんと一緒だったライブの一曲目もこの曲だったことを思い出した」と猪狩さん。短い曲だと先に伝えるんだけど、近藤さんから「こんなに短いと思わなかったよ」と言われたものの、「The White Stripesというバンドがギターとドラムで一音だけ鳴らして終わるライブ(ギネス登録済)をやってて、そんな免疫があるから全然短いと思ってないです」とまとめた。理屈が猪狩さんらしい。

※音量に注意↓

White Stripes「One Note Show」

ディスコード荒野を行くという最新のtacica曲を聴けるのが嬉しい。初披露は単独飛行ではあったものの、バンドとして直近のツアーで歌われた曲たちなので、弾き語りでも聴けちゃうってお得感がある。

ネバーランドはかわいらしい印象の曲。単独飛行vol.2ぶり二度目。

発声練習するときによく歌っているというPERIDOTSのカバー、リアカー。tacica曲には無いような感じの“まあるい低音”で、これまでと違う猪狩さんの魅力が引き出された心地がした。「すっごい難しい曲で、一音半下げて歌った」のだそう。他にも歌いたい曲があるから不定期で“PERIDOTSチャレンジ”をやっていきたい、ということだった。会場がわいた。

森田さんがカバーしたLEOを、猪狩さんも歌唱。「やんないほうがいいの?」と一瞬迷いつつ確認しつつ、「やりまーす」と。tacicaの曲がカバーされること自体が珍しいけど、ピアノの弾き語りという点もまたさらに珍しくて。猪狩さんのLEOと、森田さんのLEO。同じ曲、同じ歌詞なのに、伝わりかたが全然違うのがおもしろかった。当然といえば当然だし、何がどう、と言葉にすることは難しいのだけれど、感覚として「全然違う!」って思った。いわずもがなどちらも素敵だった。

というか、定期的にLEOの歌詞が刺さる期間があるんだけど今はまさにそれで、〈遠ざかる日の中に 新たな旅路を仕舞い込んで キミのもう迷わないとは 只 群れを成して生きる事〉とか。心を殴られるよう。

物云わぬ物怪はじわりじわりと好きだなーーと思う曲。今回、本編ラストに歌われたこともあって、アルバムのラストに似合いそうな風格の曲だと思った。

ディスコードネバーランド荒野を行く物云わぬ物怪と新曲尽くしで、一方で、これまでレギュラーだったぼくら夢中の姿がなくって、ほんのり新シーズンみを感じた。

アンコールはおふたりで

猪狩さんの持ち時間が終わりギターを置くも、鳴り止まぬ拍手を受けてそのまますぐに「やりまーす」となったけど、セッティングもあって5分ほど休憩的な時間。

猪狩さんがインスタのDMで森田さんに「グラビア写真」を送りつけた事件。この日までに何度か会う機会もあったのに何も触れられなかったからその説明をしたい、と猪狩さん。

曰く、ジャケットを制作してくれているデザイナーと打ち合わせしているときに、最近はなんでもAIでできる、デザインも曲もAIがしちゃうんですかね〜という話をしてたら、その後、インスタを見るとAIのグラビアアイドルが出てくるようになった。「これ本物の人じゃないんだ、AIなのか〜」と寝ながらスマホで見てたら手が滑ってスマホを顔に落としちゃって、「送信されました」と表示。誰に何を送ったのか、と思ったら、直近でやりとりしていた森田さんに、そのAIグラビアが送信されてしまったということだった。それを聞いた森田さんは、「じゃあ、そういうことにしておきましょう笑」とまとめた。

アンコール1曲目は森田さんの楽曲、明かりのない街を猪狩さんとふたりで。男女ツインボーカル好きにとっては大好物のパフォーマンスだった。アコギとピアノというのもまた最高。tacicaでの森田さんは、鍵盤とコーラスの参加が多いのだけど、ツインボーカルとしてもいつか聴いてみたいと強く思った。他の人が書いたメロディを歌う猪狩さんはtacicaとはまた違った魅力に溢れているので、いろいろ聴いてみたい欲が増した。

前日にリハで1時間半ほどスタジオに入ったけど演奏を合わせたのは3回ほどで、あとはずっと話していたそう。「それでもやった甲斐はあった。バイブスが合った」(by森田さん)ということだった。

猪狩さんがギターをチューニングしていると3弦がパチンと切れてしまうトラブル。猪狩さんがそのままやろうか張り替えるのか迷いつつ、「張ろう!」と決断。なるやんさんが「自分がやります」とギターを引き取って、猪狩さんと森田さんがトークでつないでいたんだけど、張り替え作業していたなるやんさんの小さい悲鳴とともに、再び弦が切れてしまう事態に……!

森田さんからの提案もあり、ピアノだけで歌うことになったダンス。「ギターを持っていたほうが落ち着くんだけど…」と言いつつ、「だいじょうぶ?FIELD OF VIEWみたいになってない?」という絶妙な喩えを発しつつ、直立歌唱のスタイルでダンスを披露。これはめちゃくちゃ貴重で、いつだかのstarsもこんな感じだったなと思い出しつつ、レコーディング風景を垣間見ているようであり、「さくら(独唱)」の森山直太朗みも多分にあってとてもよかった。

(配信を見ると、森田さんは最初アコーディオンを抱えていたので、当初はアコギ×アコーディオンの想定だったのかも知れない。「ぶっつけでピアノで歌いませんか」という発言もあったから、本当に急遽の、ピアノ弾き語りスタイルだったのかも)

歌い終わった猪狩さんも「REC(レコーディング)っぽかった」と言っていたし、くりかえし「すごい!すごいね!」と森田さんを称えていた。これは他では観ることのできないまさに特異点、ブラックホールなライブだった。

森田くみこさんも素敵だった!

森田さんのソロ演奏を見るのは初めて。物語を歌い聞かされているような感覚がしてすぐにその世界観に引き込まれた。からだごと、たましいごと歌い、演奏する姿に圧倒された。どの曲も素敵で、CDも購入してサブスクでも聴いたりしてちょっとハマっている。特に、鬼、春風、さようならが好きだった。ぜひワンマンライブを観てみたい。

終演後、森田さんが物販に立っていたり、猪狩さんもステージでそのままギターを触っていたり、まったりとした空気感もよかった。

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